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資産形成

01-あなたは分譲派それとも賃貸派?/分譲マンションは資産?

分譲マンションの資産価値は?

都心部を中心に分譲マンションの価格高騰が続いています。みんさんの中にも、賃貸からの住み替え等で分譲マンションの購入を検討されている方が多いのではないかと思います。

居住するマンションの権利形態としてしばしば比較されることですが、分譲と賃貸とではどちらがよいのでしょうか。結論的には、個々の収入や貯蓄の状況、家族構成、生活習慣、生活設計、人生観等の違いにより、人それぞれが選択するもので一概にどちらがよいとは言い切れないのですが、ここではマンションの資産性について、不動産鑑定の視点から少しお話させていただきたいと思います。

ここ数年、マンション価格の高騰とともに都心部の地価も上昇傾向にあります。地価公示によれば、既にバブル期を上回っている地域もあるようです。

一般的に不動産とは土地と建物のことを指しますが、両者には大きな相違があります。それは、土地は通常不滅であり、消えるものではないのに対して、建物は経年により、やがては朽廃するという点です。この根本的な違いにより、土地は価値がなくなることはありませんが、建物はいずれ価値がなくなることから、それぞれ資産性が異なるのです。すなわち、土地は無限の資産である一方、建物は有限の資産といえるでしょう。

ところで、(分譲型)区分マンションの資産性を判定する前に、その土地と建物の価格構成に目を向けてみたいと思います。戸建住宅の場合、その価格構成は、敷地の土地価格と建物価格となるのが通常で、これは見てのとおりで分かりやすいと思いますが、マンションの場合も基本的には土地価格と建物価格の合計となります。ただし、土地についてはマンション一棟全体の敷地を共有するのが一般的ですので、敷地全体の土地価格に共有持分を乗じて計算された持分の価格が区分マンションの土地価格となり、建物については、一棟全体のうち個々に区画された建物の一部分を区分所有しますので、一棟全体の価格にその一部分が占める割合を乗じて計算された価格が区分マンションの建物価格となります。

ここで、新築時の戸建住宅の価格を100とし、仮にその価格構成を土地建物半々としますと、景気変動に伴うアップダウンを度外視した場合、土地の資産価値50は永遠不滅ですが、建物の資産価値50はやがて0になります。

一方、区分マンションの場合はどうでしょうか。新築時の価格構成は、立地条件や建物規模等により差が生じますが、土地20に対し建物80、土地30に対し建物70といったところでしょうか。イメージ的には小さな土地に対し、高層化により大きな建物(多くの住戸)というのが区分マンションですが、説明を分かりやすくするために戸建の場合と同様、永遠不滅の土地を50で、建物50の資産価値はやがて消滅するものとします。

では、この場合でも戸建とマンションの資産性は同等といえるでしょうか。

答えはNOです。区分マンションの敷地に対する権利は共有であることを思い出してください。また、区分マンションには規約というマンション共同利用におけるルールがあり、個々の共有者が単独でできることはごくわずかです。

建替えどころか大規模修繕でさえも合意形成がとれす、実行できないという例は枚挙にいとまがありません。このような不都合が多いことから、特に老朽化したマンションの市場価値の逓減は著しいと考えます。ローンの支払いが終われば、自分のものになるが、賃貸では掛け捨て同様でいつになっても自分のものにならないとの理由で分譲マンションを購入する方は多いでしょう。しかし、自分のものになっても永遠の資産であるはずの土地ですら自由に使用することはできません。景気がよく買ったときより高く売れるという特殊な期間を除き、マンションの資産性には疑問符がつきます。

一方、戸建住宅の場合、通常土地建物ともに完全所有権ですので単独の判断で建替え等可能です。筆者個人としては、分譲マンションは高く売れるときに売って、賃貸もしくは購入するなら戸建をというのがおすすめです。みなさんはいかがでしょうか。

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