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043-総論第7章第1節価格を求める鑑定評価の手法/原価法⑦

第7章鑑定評価の方式

  (第1節のつづき)

(2)減価修正の方法

減価額を求めるには、次の二つの方法があり、これらを併用するものとする。

耐用年数に基づく方法は、画一的、機械的で個別不動産の減価額の実体が把握しがたいという短所がある反面、迅速な処理が行えるという長所がある。観察減価法は、個別不動産の減価の実情に即して判断することに長所が見出される反面、判断を誤れば独断に陥るという危険性を有している。

このように両者は一長一短があるため、原則として併用すべきとされている。

耐用年数に基づく方法 

ポイント1 定額法・定率法等の選択→実情に即して→経過年数より経済的残存耐用年数重視すべき(あと何年もつか)

ポイント2 分別可能で耐用年数・残存耐用年数異なる場合(躯体・仕上げ・設備)の判断

ポイント3 残材価額(残価率)の扱い

耐用年数に基づく方法は、対象不動産の価格時点における経過年数及び経済的残存耐用年数の和として把握される耐用年数を基礎として減価額を把握する方法である。

経済的残存耐用年数とは、価格時点において、対象不動産の用途利用状況に即し物理的要因及び機能的要因に照らした劣化の程度並びに経済的要因に照らした市場競争力の程度に応じてその効用十分に持続すると考えられる期間をいい、この方法(耐用年数に基づく方法)の適用に当たり特に重視されるべきものである。

耐用年数に基づく方法には、定額法、定率法等(償還基金法)があるが、これらのうちいずれの方法を用いるかは、対象不動産の用途や利用状況に即して決定すべきである。

なお、対象不動産が二以上の分別可能な組成部分により構成されていて、それぞれの経過年数又は経済的残存耐用年数が異なる場合に、これらをいかに判断して用いるか、また、耐用年数満了時における残材価額(残価率)をいかにみるかについても、対象不動産の用途や利用状況に即して決定すべきである。

税法上の法定耐用年数と鑑定評価における耐用年数とは、同一のものではない。前者は画一的、算定的で、現実の減価の状態とは一致しない欠点があり、課税の公平性を図ることを目的とする。したがって、資産の種類ごとに耐用年数を定めることに重点が置かれ、経過年数が重視される。これに対し、鑑定評価の耐用年数は、法定耐用年数を参考にするが、価格時点の現在価格を求めるのが目的であるから、経過年数よりもあと何年もつかという観点に立ち、経済的残存耐用年数が重視され、予測の原則や変動の原則との関連が深い。ここでは、「耐用年数に基づく方法」並びに「耐用年数」及び「経済的残存耐用年数」の定義づけがなされている。

・耐用年数に基づく方法について

耐用年数に基づく方法は、耐用年数を基礎として減価額を把握する方法であり、減価額を把握する方法には、定額法、定率法等がある。

不動産の減価の程度は必ずしも一定ではないため緊急修繕を行う必要がある場合等では、これらの方法だけでは減価の反映が難しいことがある。さらに、建付減価や共有に伴う一体減価等が必要と判断される場合には、耐用年数に基づく方法のみでは減価額の把握が困難な場合がある。これらの減価要因に基づく減価修正に対応するには、耐用年数による方法のみでは十分ではない。したがって、対象不動産の実態に応じた減価を把握の上減価修正を行うためには、観察減価法の考え方を併用して、定額法、定率法等を適用して求めた減価額を再吟味し、必要に応じて補修正を行う等の対応が必要である。

・耐用年数について

耐用年数は、経過年数と経済的残存耐用年数の和として把握される。耐用年数は、対象不動産の構成部位ごとにそれぞれ経過年数と経済的残存耐用年数を判断した後に初めて求められるものである。税法上の耐用年数等を参考に、安易かつ機械的に耐用年数を設定するようなことがあってはならない。

維持管理の良否が際立っていたり、増改築等が実施されていたりする場合の耐用年数については、経済的残存耐用年数の査定に反映させる方法のほかに、経過年数を見直す方法がある。

経過年数とは、一般的に建築時から実際に経過した年数を指すが、経過年数を見直す方法は、経過年数を建築時からの実質的な経過年数と捉える考え方(例えば、新築時から15 年経過しているものの、維持管理が良いことから、劣化の程度は10 年経過した程度と判断し、経過年数を10 年として耐用年数に基づく方法を適用する等である。)をとる。経過年数を見直す方法を適用する場合は、劣化度合いが同程度である類似建物の経過年数等から判断(客観的な資料等により、その判断根拠を示す必要がある。)するものとし、経済的残存耐用年数で重複して反映させないように留意すべきである。

なお、あくまで評価の対象は価格時点におけるものなので、過去に実施した増改築等(条件により実施したものとする場合を含む。)については考慮されるが、将来発生するであろう不確定な増改築等は考慮されない。耐用年数の査定においても、将来想定される増改築等による耐用年数の延長は原則考慮しないことに留意が必要である。

・経済的残存耐用年数について

経済的残存耐用年数の判定は、対象不動産の用途や利用状況から、物理的要因及び機能的要因に照らした劣化の程度、経済的要因に照らした市場競争力の程度を十分に分析することによって行われなければならない。

不動産の経済価値は、当該不動産から将来にわたってどれほどの効用を得られるかという観点をその形成要因の一つとするものであり、経済的残存耐用年数の判断が耐用年数に基づく方法の適用に当たって最も重要視されるのは言うまでもない。

・定額法、定率法について

耐用年数に基づく方法には、定額法、定率法等がある。実務では、定額法又は定率法が適用されることが多いものの、建物の立地条件に基づく高い市場性が認められる場合や建物の収益力が極めて高い場合など建築当初から中期にかけてあまり減価が発生しない不動産では、償還基金率を用いる方法が適合するケースもあり得る。対象不動産の用途や利用状況、及び分別した構成部位の特性に鑑みて、それぞれ最も適切な方法を選択することが重要である。

(a)定額法

・定額法は、耐用年数の全期間にわたって発生する減価額が毎年一定額であるという前提に基づき減価額を求める方法である。この方法は、減価累計額が経過年数に正比例して増加するが、不動産は必ずしも規則正しく一定額ずつ減価するとは限らず、不動産の実際の減価額とは一致しない場合があるので、観察減価法を併用して、その適正を期するよう努めるべきである。

・発生する減価額が耐用期間を通じて毎年一定額であるという前提に基づく減価方法である。但し、毎年規則正しく減価するとは限らないから、減価の個別性に留意して経済的残存耐用年数に重点を置いて修正すべきである。

() 定率法

・定率法は、毎年の減価額が年当初の積算価格に対して毎年一定の割合であるという前提に基づき減価額を求める方法である。この方法は、不動産が新しいほど減価額が大きく発生し、経過期間が長くなるにつれて毎年の減価額が小さくなるので、築年が浅い時ほど大きな減価が発生する構成部位(例えば、早期に汚れが生じやすいクロス等の仕上げ材や、使用の有無及び頻度が市場価値に影響を与えるような衛生等設備)の減価額を査定する場合に有効な方法である。定額法と同様、観察減価法を併用して、その適正を期するよう努めるべきである。

・毎年発生する減価額が耐用期間を通じて不動産の元本価格(毎年ごとの積算価格(残存価格)※期首未償却残高)の一定割合であるという前提に基づく減価方法である。この方法では、毎年の積算価格に対する減価率が一定であるため、当初は減価額が多く、経年に従って減価額が減少する。※定率法未償却残額表により容易となる

償還基金法→耐用年数満了時における減価累積相当額(複利計算による利息相当額を含む)を耐用年数で償還する方法である。この方法は、発生減価額が耐用期間を通じて毎年一定額であることを前提として、毎年一定額を積み立て、これに一定の利子(複利計算)を付するものとして計算した元利合計が、耐用年数満了時において積算価格に等しくなることを想定している。そして、毎年の減価額(積立額)について蓄積利子を付するため、年々の減価額は少なくなり、その不足分は減価額(積立額)の利子が補填する形となる。このことは、積立額に付した利子額を資本還元した額だけ積算価格を過大に評価することになる。=減債基金係数

a 建物について

建物について、木造部分と非木造部分がある場合や、増築部分と既存部分からなっている場合等、外形的に分別できる場合はもちろんのこと、一体となって存している場合においても、できる限り構成部分を分別し、それぞれの特性に応じた減価修正を行う必要がある。特に、建物の躯体と仕上げ、設備では、材としての性質や減価のスピードが異なるため、基本的に躯体及び仕上げ、設備に分別し、それぞれ再調達原価及び減価修正額を別途把握した上で合算することが適当である。その際には、部位ごとの劣化状態が建物全体に及ぼす影響度合、あるいは修繕や更新を行っている場合には建物全体へどれほど寄与しているか、の観点からの検討も重要である。

なお、構成部分ごとの再調達原価及び減価修正額の把握は、絶対額で把握する方法と、建物全体の再調達原価に対する構成割合及び減価率として把握する方法がある。

躯体

基礎を含む躯体には、土台、壁、柱、床、梁、小屋組等が含まれる。躯体は、建物としての効用が維持される期間において、部分的な補修はありえるものの全体的な交換までは原則として不要な部位と考えられる。

仕上げ、設備

仕上げには、外部仕上げ(屋根材、外壁材、外部建具)と内部仕上げ(内部建具、内装仕上げ)があり、設備には、電気設備=電力、通信情報設備等と機械設備=空調、給排水衛生設備等が含まれる。基本的に、原価法の適用においては、仕上げと設備は分別して把握していくものとする。

いずれも躯体に比べ短期間で経年劣化・陳腐化するので、建物としての効用が維持される期間において、交換や全体的な補修が行われている可能性も高い。そのため、対象不動産の用途や利用状況、特に増改築等の実施状況に則して、その対象部位ごとの耐用年数及び減価額を把握することが望ましい。仕上げ、設備の減価額は、その細分化された部位ごとの減価額の合算として捉えるべきである。なお、用途等に応じて細分化のあり方が異なるので留意が必要である。

なお、特に賃貸に供されている不動産の場合は、設備、仕上げが賃借人に属し、対象不動産の範囲外となっていることがあることや、事業の用に供されている不動産においては、通常建物に必要不可欠とされる設備以外に当該建物の使用目的により特殊な設備が付加されている場合があり、条件により当該設備を含まないものとして求めることがあるので、留意が必要である。その場合は、対象不動産の確定において評価の対象範囲を明確にしておかなければならない。

残材価額について

経済的残存耐用年数が適正に査定されていれば、経済的残存耐用年数が経過した時点で建物としての市場価値は無くなり、廃材処分価値だけが残ることになる。一方、昨今の廃材の取引市場では、S造を除くと廃材価値が認められる場合は少なく、解体除去費用が廃材価値を上回っていることのほうが多い。残価がマイナスになると判断できる場合は、残材価額は「無」、すなわち市場価値を求める鑑定評価においては、残価率はゼロと査定することになる。

なお、会計上の残存価額は、「耐用年数到来時において予想される当該資産の売却価格又は利用価格から解体、撤去、処分等の費用を控除した金額」(監査・保証実務委員会実務指針第 81 号)として、会計上の耐用年数到来時点の市場価値を基礎として見積もられるものである。鑑定評価において求める「経済的残存耐用年数が経過した時点の残材価値」とは異なることに留意が必要である。

・その他の構成部分の減価修正について

(a)土地

土地については通常は再調達原価に当たる更地等価格の査定において個別的要因として考慮するため、減価はないと考えられるが、液状化や地盤沈下等の発生、擁壁の経年劣化等、造成のやり直しや補修等リスクに係る減価が考えられ、その場合は、観察減価法を中心に減価修正額を把握することとなる。

(b)土地に帰属する付帯費用

土地に直接帰属する付帯費用については、土地と同様の考え方により減価はないと判断される場合もあるが、例えば造成時のインフラ整備費用、開発者利潤等で、価格時点において損耗、消滅していると判断される場合には、減価修正を行うものとする。ただし、土地価格に比して些少であり、土地価格に含めても価格形成に大きな影響を与えないと判断できる場合には、それを説明することによって、付帯費用について減価修正を行わないことができる。

土地に帰属する付帯費用のうち、建物との関係で発生し、一体として把握される費用(資金調達費用や開発リスク相当額等)のうち土地に配分された費用については、対応する建物等の減価修正の考え方に準ずるものとする。

(c)建物に帰属する付帯費用

建物に直接帰属する付帯費用、及び土地との関係で発生し、一体として把握される費用(資金調達費用や開発リスク相当額等)のうち建物に配分された費用は、建物に準じて減価修正を行うことが適当である。

(d)その他の付帯費用

建物引渡しまでの期間に対応する費用のうち、一体として把握される費用(資金調達費用や開発リスク等)については、下記の考え方で減価修正を行うことができる。

・建物等の維持される期間において配分すべき費用として、建物等と同様の考え方で減価修正する。

・建物等とは別途に減価額若しくは修正率を査定する。

特に、住宅等では、新築物件かどうかで大きな価格差となることが多いが、その原因の一端を開発・分譲に伴う広告宣伝費、開発利潤等付帯費用の差として把握する場合は、これらに対応する再調達原価の内訳のうち多くの部分が新築後間もない時期に減価修正されると考えられる。その場合は、建物等とは別途に減価額若しくは修正率を査定することが相当である。

つづき→不動産鑑定評価基準総論第7章第1節価格を求める鑑定評価の手法/原価法⑧はこちらへ

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