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046-総論第7章第1節価格を求める鑑定評価の手法/収益還元法①

第7章鑑定評価の方式

  (第1節のつづき)

収益還元法

意義

→定義+特に有効+すべて適用すべき+験証手段

収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法である(この手法による試算価格を収益価格という。)。

収益還元法は、賃貸用不動産又は賃貸以外の事業の用に供する不動産の価格を求める場合に特に有効である。

→「特に」有効とあるのは収益還元法のみ。収益性に着目した手法であるから、収益物件なら特に有効である。

また、不動産の価格は、一般に当該不動産の収益性を反映して形成されるものであり、収益は、不動産の経済価値の本質を形成するものである。したがって、この手法は、文化財指定を受けた建造物一般的に市場性を有しない不動産(特殊価格)以外のものには基本的すべて適用すべきものであり、自用不動産といえども賃貸を想定することにより適用されるものである。

→「できる」ではない。

なお、市場における不動産取引価格上昇著しいときは、取引価格と収益価格との乖離が増大するものであるので、先走りがちな取引価格に対する有力な験証手段として、この手法が活用されるべきである。

→「できる」ではない。

・収益還元法は、将来期待される純収益の現在価値の総和として求める。

・収益還元法は、市場性を有しない不動産又は、対象不動産の属する市場において収益性が価格決定に影響を与えていないと判断される場合以外は、現況自用であっても賃貸を想定する等して適用すべき手法である。

・不動産の経済価値(市場価値を含む。)を収益性に着目して求める場合には、価格時点以降に得られると期待される純収益を合計することにより求めることとなる。将来得られると期待される純収益は、それぞれ得られる時点が異なるので、それぞれを現在価値に割り引いたうえで合計する必要がある。

・賃貸事業を含む事業の用に供されている不動産は、その属する市場における市場参加者の価格判断において収益性が重視されることが多いので、特に収益還元法は有効な手法となる。

・収益は不動産の経済価値の本質を形成するものであるので、収益還元法は基本的にすべての不動産に適用すべきものであるが、地域分析及び個別分析により把握した対象不動産に係る市場の特性等から典型的な市場参加者の価格等の判断に与える影響が著しく僅少であると判断される場合には、必ずしも適用を求められるものではない。

・また、取引価格の上昇が著しいときには、収益性からの価格判断は市場で成立している価格の有力な験証手段となるが、その際には、純収益の予測が経済動向と乖離していないか、利回りは金融資産等の利回りとの比較において適切か、等を慎重に検討する必要がある。

2収益価格を求める方法

収益価格を求める方法には、一期間の純収益を還元利回りによって還元する方法(以下「直接還元法」という。)と連続する複数の期間に発生する純収益及び復帰価格を、その発生時期に応じて現在価値に割り引き、それぞれを合計する方法Discounted Cash Flow法(以下「DCF法」という。))がある。

これらの方法は、基本的には次の式により表される。

(1)直接還元法   

基本式

P=a/R

P:求める不動産の収益価格

a:一期間の純収益

R:還元利回り

直接還元法の適用について

ア 一期間の純収益の算定について

→把握の仕方の整合性、初年度・標準化、償却前・償却後、永続的・有期的

直接還元法の適用において還元対象となる一期間の純収益と、それに対応して採用される還元利回りは、その把握の仕方において整合がとれたものでなければならない。

なわち、還元対象となる一期間の純収益として、ある一定期間の標準化されたものを採用する場合には、還元利回りもそれに対応したものを採用することが必要である。

また、建物その他の償却資産(以下「建物」という。)を含む不動産の純収益の算定においては、基本的に減価償却費を控除しない償却前の純収益を用いるべきであり、それに対応した還元利回りで還元する必要がある。

P=a/

P:建物等の収益価格

a:建物等の償却の純収益

R:償却の純収益に対応する還元利回り

一方、減価償却費を控除した償却後の純収益を用いる場合には、還元利回りも償却後の純収益に対応するものを用いなければならない。

減価償却費の算定方法には定額法償還基金率を用いる方法(償還基金法)等があり、適切に用いることが必要である。

P=a´/R´

P:建物の収益価格

a´:建物等の償却後の純収益

R´:償却後の純収益に対応する還元利回り

なお、減価償却費と償却の純収益に対応する還元利回りを用いて償却の純収益に対応する還元利回りを求める式は以下のとおりである。

R´=a´/(a´+d)×R

R´:償却後の純収益に対応する還元利回り

R:償却前の純収益に対応する還元利回り

a´:償却後の純収益

d:減価償却費

a´+d=償却前の純収益

(a´+ d)/R=収益価格=P

P=a´/R´→両辺にR´を乗じて両辺をPで除する→R´= a´/P

Pに(a´+d)/Rを代入すると、R´=a´R/(a´+d)

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