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不動産鑑定評価基準/運用上の留意事項

※アンダーラインを付した箇所は運用上の留意事項より抜粋

赤字の箇所は補足説明、実務指針等

068-総論第8章第7節鑑定評価の手法の適用

第8章鑑定評価の手順

第7節 鑑定評価の手法の適用 

鑑定評価の手法の適用に当たっては、鑑定評価の手法を当該案件に即して適切に適用すべきである。この場合、地域分析及び個別分析により把握した対象不動産に係る市場の特性等を適切に反映した複数の鑑定評価の手法を適用すべきであり、対象不動産の種類、所在地の実情、資料の信頼性等により複数の鑑定評価の手法の適用が困難な場合においても、その考え方をできるだけ参酌するように努めるべきである。

・鑑定評価の手法に関し、原則として「三方式」を反映した適用可能なすべての手法を適用することを求めている改正前の規定について、市場分析により把握した市場の特性を適切に反映した「複数の手法」を適用することを求める規定に変更され、結果的に、一つの手法の適用であっても、対象不動産が属する市場の特性について十分な説得力を有すると認められる場合(対象不動産に係る市場の特性等を適切に反映した複数の鑑定評価方式の考え方が適切に反映されている場合)には、「複数の手法を適用した」とみなすことができるとされた。この判断の指針となる、不動産の種別・類型等や市場の特性等に応じて具体的にどの手法を適用すべきかについては、基準各論各章に定めるもののほか、不動産の鑑定評価に関する法律に基づき国土交通大臣に届出をした不動産鑑定士等の団体が国土交通省との協議を経て定める指針(実務指針)で定めることとされた。

・不動産市場がグローバル化する中で不動産の評価基準についても国際的な基準との整合性を高めることが求められている。このような市場背景を踏まえ、不動産鑑定評価基準と国際評価基準(International Valuation Standards:IVS)との整合性を高める方向での改正となった。国際評価基準において求める価格の中心は、日本と同様にMarket Value(市場価値)とされており、当該Market Value(市場価値)を求めるためには、不動産鑑定士が必要と判断する「単一」又は「複数」の手法を適用することを求めている。

一方、改正前の基準では、価格形成への影響の程度、正常価格を求めるための試算価格としての説得力の如何にかかわらず、原価方式、比較方式、収益方式の考え方を反映した適用可能なすべての手法を適用することとされており、国際評価基準と相違がある。この結果として、対象不動産の価格形成に及ぼす影響がほとんどないと判断される手法の適用にも、不動産鑑定士は一定の労力を費やしている。

上記を踏まえ、まず「方式」と「手法」との関係を整理し、鑑定評価の各手法が市場参加者の判断基準をどの程度反映しているか等の市場分析を丁寧に行い、さらに三方式の考え方がどのように具体的に各手法に反映しているかを確認することを通じて、鑑定評価の精度を維持しつつ、手法の適用に係る規定について国際評価基準との整合性を向上させることに念頭が置かれている。なお、鑑定評価においては三方式の考え方を併用して正常価格を判断するものであるとする基本的考え方についての変更はない。

・三方式は正常価格(正常賃料)の三面性を追求するものであり、各方式は相互に関連する。

・鑑定評価の手法の適用に関する事項については、鑑定評価報告書に記載し、基準各論第1章から第3章規定の手法の適用ができない場合には、市場分析結果等に照らし、その合理的理由を記載する。

・三方式併用の論拠

鑑定評価で求めるべき正常価格は合理的市場で形成される価格であり、合理的市場における経済人は費用性、市場性、収益性の三面から不動産価値を把握するものである。

・三方式による試算価格を相互に関連づけることの意味

三方式は手法が相違していても、不動産の効用を中心としてその価格を把握しようとするものであるから、相互に関連している。だから、原価方式を適用する場合は比較方式、収益方式の考え方をも採り入れることが必要であるし、比較方式の適用に当たっても原価方式、収益方式の考え方を採り入れることが必要である。例えば、原価法で再調達原価を間接法で求める場合、この方法は、比較方式の類似不動産と比較するという考え方と軌を一にするものである。また、再調達原価について減価修正を行う場合の経済的減価要因の検討は、収益方式の考え方、すなわち収益性の観点からこれを行うものである。同様に、収益方式においても、純収益の算定(間接法)に当たって類似不動産と比較するという比較方式の論拠となる考え方が採り入れられている。

三方式には、それぞれ一長一短 があり(例えば比較方式には、収益性を反映しがたいというような)、それぞれの方式を適用する過程及び三方式によって求められた試算価格を調整して鑑定評価額を最終決定するにあたっては、他の方式の考え方を採りいれて、相互に比較検討を行うことが重視されるのである。

三方式併用困難なケース

①既成市街地については原価法の適用は困難

②学校、公園等の公共公益不動産については事例がなく取引事例比較法や収益還元法は困難

このような場合は、一つか二つの方式適用により価格を求めることを余儀なくされることとなるが、他の方式の考え方をできるかぎり参酌する。

例えば、既成市街地について取引事例比較法を適用して個別的要因比較を行うときに費やされた費用についての原価法の考え方を、収益性についての収益還元法の考え方を採り入れること、その他、原価法の再調達原価を間接法で求める場合、収益還元法の純収益を類似不動産から間接的に求める場合に取引事例比較法の考え方を採り入れることが必要である。

鑑定評価の手法の適用について

対象不動産の種別及び類型並びに賃料の種類並びに市場の特性等に対応した鑑定評価の手法の適用に関し必要な事項は、各論各章に定めるもののほか、不動産鑑定士等の団体が定める指針(鑑定評価の手法の適用について具体的に記述された指針であって、国土交通省との協議を経て当該団体において合意形成がなされたものをいう。)で定める。

なお、地域分析及び個別分析により把握した対象不動産に係る市場の特性等を適切に反映した複数の鑑定評価方式の考え方が適切に反映された一つの鑑定評価の手法を適用した場合には、当該鑑定評価でそれらの鑑定評価方式に即した複数の鑑定評価の手法を適用したものとみなすことができる。

・鑑定評価の各手法は、価格の三面性を反映した鑑定評価の三方式(原価方式、比較方式、収益方式)のいずれかの考え方を中心としているものの、理論的には他の方式の考え方も相互に反映されるべき性格のものである。

・不動産鑑定評価としての鑑定評価額の精度を保つため、市場の特性及び資料の信頼性等についての判断を踏まえ、原則として鑑定評価の三方式の考え方を併用し、基準各論に定められている手法を適用すべきであるが、対象不動産の種類、所在地の実情、資料の信頼性等により鑑定評価の手法の一部の適用が困難な場合もある。そのような場合においても、適用できない手法の考え方をできるだけ参酌するように努めるべきである。

また、対象不動産の属する市場により、対象不動産の類型等に対応して基準各論の規定により適用すべきとされる鑑定評価の手法の中で、典型的な市場参加者の価格等の判断の中心となっている手法がある。このような場合に、対象不動産に係る市場の特性等を適切に反映した手法(原則として複数の手法)を適用するに当たり、当該適用する手法において、複数の方式の考え方が反映され、対象不動産の価格形成について、客観的にみて十分な説得力があると認められる場合に限り、結果的に基準各論に規定する手法を一部省略することができる場合がある。すなわち、市場分析の結果を踏まえ、ある鑑定評価の手法の適用により、複数の鑑定評価方式の考え方が反映され、かつ、十分に対象不動産に係る市場の特性等を適切に反映した精度の高い鑑定評価額が求められると判断される場合には、当該手法の適用において複数の鑑定評価の手法を適用したものとみなすことが可能となる場合もあり得るため、結果的に適用する鑑定評価の手法が限定される場合もある。

・対象不動産の種別及び類型並びに賃料の種類並びに市場の特性等に対応した鑑定評価の手法の適用に関し必要な事項は、基準各論及び不動産鑑定士等の団体が国土交通省との協議を経て定める指針により定めるとされている。

基準では、不動産の種別及び類型並びに賃料の種類並びに取引慣行の成熟の程度に応じて適用すべき手法が定められているので、指針では市場の特性等や複数の鑑定評価方式の考え方の反映を勘案した手法適用上の留意点について規定している。

・適用手法の選択は、対象不動産の調査の範囲を限定する調査範囲等条件の設定と異なり、依頼者との合意により決定するものではなく、不動産鑑定士等の団体が国土交通省との協議を経て定める指針における規定に基づき、市場分析により把握した市場の特性等を踏まえ不動産鑑定士が自ら判断するものである。

・鑑定評価の手法の適用に当たっては、それぞれの鑑定評価の手法が鑑定評価の三方式(原価方式、比較方式及び収益方式)をどのように反映しているか等の手法の特徴を十分に理解した上で、地域分析と個別分析の結果把握された対象不動産に係る市場の特性等(基準総論第6章参照)を勘案して、対象不動産に即して適切に行うべきである。

鑑定評価の各手法を適用して求めた試算価格(賃料)は、それぞれが独立して鑑定評価で求める価格等を指向しており、各手法は価格の三面性を反映した鑑定評価の三方式(原価方式、比較方式、収益方式)のいずれかの考え方を中心としているものの、理論的には他の方式の考え方も相互に反映されるべき性格のものである。なお、「複数の方式の考え方が反映されている場合」の例としては、下記のようなものが考えられる。

・取引事例比較法の適用における価格形成要因の比較に当たり、対象不動産と取引事例との建物の再調達原価や経過年数、管理状況を踏まえた減価修正の格差等の原価方式の考え方を比準の要素として反映している場合。

・取引事例比較法の適用における価格形成要因の比較に当たり、対象不動産と取引事例との想定される賃料水準や維持管理費、修繕費等の費用の格差等の収益方式の考え方を比準の要素として反映している場合。

・収益還元法の適用に当たり、賃貸事例比較法により賃料の査定や実際賃料の検証を行う場合。

・収益還元法の適用に当たり、原価方式の考え方を反映し建物の経過年数や管理状況を踏まえた減価の程度を勘案した修繕費等の費用や還元利回りの査定を行う場合。

・収益還元法の適用に当たり、利回りを取引事例の利回りから比準して求める場合。

しかし、各試算価格(賃料)の説得力には、対象不動産の種類や市場分析の結果及び収集できた資料の信頼性等に基づき優劣が認められるので、精度の高い鑑定評価額を求めるためには、鑑定評価の三方式の考え方を併用し、基準各論に定められている手法を適用すべきであり、具体的には各手法に共通する価格形成要因に係る判断の整合性に留意して、対象不動産に係る市場の特性等を適切に反映した複数の鑑定評価の手法を併用することが原則となる。なお、対象不動産の種類、所在地の実情、資料の信頼性等によりこれらの鑑定評価の手法の一部の適用が困難な場合もあるが、そのような場合においても適用できない手法の考え方をできるだけ参酌するように努めるべきである。

対象不動産の種類や市場分析の結果として把握する同一需給圏内の取引の実情等により、既成市街地内に存する宅地のように原価方式の考え方を中心とする手法の適用がそもそも困難な場合や、対象不動産と比較可能な類似の不動産の取引が極端に少なく比較方式の考え方を中心とする手法の適用が困難な場合、対象不動産が属する市場(地域)において、賃貸の用に供している不動産が観察できず比較可能な賃貸事例等の収集ができないため、収益方式の考え方を中心とする手法の適用が困難な場合等がある。このような場合には、複数の鑑定評価の手法の適用が困難な場合もあるが、当該市場分析の結果を鑑定評価報告書において明確にし、適用可能な鑑定評価の手法の適用に当たり、適用困難な手法の考え方を参酌する等により客観的に鑑定評価額の決定を行う必要がある。

また、対象不動産に係る市場の特性により、対象不動産の類型等に対応して基準各論の規定により適用すべきとされる鑑定評価の手法の中で、典型的な市場参加者の価格等の判断の中心となっている手法がある。このような場合に、対象不動産に係る市場の特性等を適切に反映した手法(原則として複数の手法)を適用するに当たり、当該適用する手法において、複数の方式の考え方が反映され、対象不動産の価格形成について、客観的にみて十分な説得力があると認められる場合(適用しない手法(手法の適用が可能な資料を得られたとしても典型的な市場参加者の価格等の判断に与える影響が著しく僅少であると判断される手法)を適用した場合と実質的に同程度の精度が保てると判断される場合。)に限り、結果的に基準各論に規定する手法を一部省略することができる場合がある。すなわち、市場分析の結果を踏まえ、ある鑑定評価の手法の適用により、複数の鑑定評価方式の考え方が反映され、かつ、十分に対象不動産に係る市場の特性等を適切に反映した精度の高い鑑定評価額が求められると判断される場合には、当該手法の適用において複数の鑑定評価の手法を適用したものとみなすことが可能となる場合もあり得るため、結果的に適用する鑑定評価の手法が限定される場合もある。なお、このような場合には、当該複数の鑑定評価方式の考え方が反映されていると判断した理由について鑑定評価報告書において明確に説明する必要がある。

対象不動産の種別及び類型並びに賃料の種類並びに市場の特性等(市場の特性のほか、社会的要請(特定価格を求める場合)等。)に対応した鑑定評価の手法の適用に関し必要な事項は、基準各論及び不動産鑑定士等の団体が国土交通省と協議を経た指針により規定されることとされており、基準では、不動産の種別及び類型、賃料の種類並びに取引慣行の成熟の程度に応じて適用すべき手法が定められているので、本指針では市場の特性等や複数の鑑定評価方式の考え方の反映を勘案した手法適用上の留意点について規定する。(個別の類型や市場特性に係る具体的な対応例については、さらに検討を進め、国土交通省と今後協議を行っていくこととする。)

適用可能な手法を省略する場合には、典型的な市場参加者が価格等の判断をどのように行っているか、と鑑定評価方式の考え方及び鑑定評価の手法との適合性はどうか、また当該適合性の判断を踏まえ、複数の鑑定評価方式の考え方は適用する手法の中にどのように反映されているかに特に留意する必要がある。

なお、基準各論第3章適用の鑑定評価を行う場合には、より精緻な鑑定評価が求められるため、市場分析により把握した市場の特性にかかわらず適用可能な鑑定評価の手法の省略はできない。

つづき→不動産鑑定評価基準総論第8章第8節試算価格又は試算賃料の調整はこちらへ

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