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(8)結論(本件処分の違法性及び違法状態の放置)
ア 本件処分が国家賠償法第1条第1項にいう「公権力の行使」に当たることは異論のないところである。
イ 次に、本件仮換地の不照応(違法状態の作出)について、被告には故意性(計画性)があったことは説明したとおり明らかであるが、仮にその故意性(計画性)が否定されたとしても、少なくとも重過失があったことは、通常の職務義務に違反することにより整理法の求める照応義務に反する結果をもたらした事実から否定できない。
ウ 以上、「①緊急性、必要性のない本件事業及びそれを裏付ける長期化、遅延化の事実」、「②恣意的かつ杜撰で路線価指数の設定(事実誤認、裁量権逸脱)」及び「③更正不作為に起因した明らかに事実に反する旧基準地積」に係る被告の故意(少なくとも重大な不注意(重過失))に基づく重大かつ明白な瑕疵、違法性を有する本件処分から、本件従前地(本件神社)は、本来不要であった筈の過分な強減歩を強いられ、本件仮換地がそのまま本換地となる(被告の説明)ことから大切な鎮守の森の大部分を永久的に喪失し、修復不能な取り返しのつかない重大な損害を受けたまま長期にわたり放置されている。結局、前主は、何故に本件神社の大切な森を失わなければならなかったのか、被告の背信性に気付くことなく他界した。
被告は、本件神社の由来等を十分認識していたのであるから(甲7~甲9、甲10、甲37)、本来であれば、換地計画において「特別の考慮(整理法第95条)」をすべきであった。決して、(喪失部分の)買取代金相当額をこれから支払えば免責されるというものではない。
7 損害金及び遅延損害金の算出
(1)以上のとおり、原告(前主を含む)は、被告の故意(あるいは重過失)による違法な本件処分により、本来なされるべき照応原則に適った仮換地の指定を受けられず、理不尽にも本件従前地の一部(現公簿地積と本件仮換地の地積との差積相当分)の使用収益権を長期にわたり剥奪され(具体的には、〇〇〇年〇月〇日に締結した立木補償契約(甲10)に基づき、大量の立木を被告に買い取られたとき、すなわち、事実上の明渡を行ったときが、使用収益喪失の始期であると考えられる。)、地権者に求められる通常の受忍義務の限度を遥かに超えた不利益(損害)を放置されたまま今日に至っている。
(2)そこで、被告の違法な本件処分及びそれに続く違法な長期不作為と社会通念上相当因果関係にあると判断される〇〇〇年〇月〇日現在の損害金及びその遅延損害金を次に記載の算出方法により計算したところ別表1、2のとおり算出され、同日、事務所にて被告にその支払を請求(以下「本件請求」という。)したところ、熟慮期間として2ヶ月間の猶予を求められたのでこれを了承した。そして、〇〇〇年〇月〇日、すべて法令のとおり適正に行われており請求には応じられない旨の通知を受けたため、本訴えを提起するに至った。(3)損害金及びその遅延損害金の算出方法
ア 損害金の計算式
(ア)本件事情に基づく損害金の算出方法を検討するに当たり、規範性の高い次の資料を参考として、本件損害の原因に係る性質を考察したところ二つの見解が得られた。
参考資料
①最高裁昭和46年11月30日判決(第一審岡山地裁、第二審広島高裁)
②公共用地の取得に伴う損失補償基準細則
③財務省普通財産貸付事務処理要領
④財務省誤信使用財産取扱要領
⑤〇〇都道府県行政財産使用条例
⑥〇〇区市町村行政財産使用料条例
A)本件従前地(注1)の一部(本件従前地と本件仮換地との物的範囲の差に相当する部分(以下「本件逸失差積分」という。))の強制的な無期限使用停止処分類似の関係性
注1)ここでいう本件従前地とは、現公簿地積に基づくものを指す。
B)想定仮換地(注2)と本件仮換地との物的範囲の差に相当する部分の強制的な暫定的使用停止処分類似の関係性
注2)想定仮換地とは、本件において適法適正に行われていたならば指定されていたであろう仮換地を指す。具体的には、既述のとおり本件事業による受益は皆無であることから現公簿地積に基づく本件従前地と同一態様の原位置仮換地である。
(イ)このうち、一時的な不法占有による所有権侵害とは異なり、その瑕疵が治癒され得ない、つまり、本件仮換地がいずれこのまま本換地となることからその侵害性がより強度な事実上の強制収用といえる本件事情に適合した前者Aの見解により、本件逸失差積分の使用収益の対価である適正地代を「得べかりし利益=損害金」と捉えることが妥当であると判断し、次の計算式を採用した。
【基本式】本件従前地の各年の時価相当額(注3)の単価×本件従前地の地積-本件仮換地の同年の時価相当額(注3)の単価×本件仮換地の地積)×0.5%(月)(注4)=損害金(月) 【変形式】本件逸失差積分時価相当額の単価(注7)×本件逸失差積×0.5%(月)=本件逸失差積分時価相当額×0.5%(月)=損害金(月) |
注3)「本件従前地(または本件仮換地)の各年の時価相当額」は、次式により求める。
① 前面路線の各年(1月1日時点)の相続税路線価(注5)×1.25(公示価格倍率)×1.1(実勢取引価格倍率)= 前面路線の各年(1月1日時点)の正常路線価 ② 前面路線の各年(1月1日時点)の正常路線価×0.95(個別的要因補正率(注6))= 本件従前地(または本件仮換地)の各年の時価相当額の単価(注7) ③ 本件従前地(または本件仮換地)の各年の時価相当額の単価×本件従前地(又は本件仮換地)の実測地積 = 本件従前地(または本件仮換地)の各年の時価相当額 |
注5)「本件従前地(または本件仮換地)の〇〇年の時価相当額」の計算においては、評価時点(損害金の算定時点)である〇〇年〇月〇日現在で「前面路線の〇〇年(1月1日時点)の相続税路線価」が公表されていなかったため、〇〇年(1月1日時点)の相続税路線価を採用した。注4)「0.5%(月)」は、年率換算すると6.0%の利回りであるが、既述のとおり、本件損害は、本件逸失差積分の土地に一時的な使用制限が課されたことにより生じたものとは異なり、土地の使用収益権が最終的(永久的)に剥奪されたことにより生じたもの、つまり、想定仮換地は換地処分により実現する可能性がないことから、本件における利回りは、土地収用の場合と同率とするのが妥当であるとの判断に基づく。
注6)「個別的要因補正率」については、本件従前地及び本件仮換地ともに奥行距離等の画地条件を考慮し、総合で▲5%とした。
※本件仮換地の方が地積が小さく、不整形による地形減価の程度が大きくなるものと判断されるが、便宜上同率とした。
注7)「本件従前地(または本件仮換地)の各年の時価相当額の単価」について、本件従前地の各年の時価相当額の単価と本件仮換地の同年の時価相当額の単価は、「個別的要因補正率」を同率としたことから等しくなり、「本件逸失差積分時価相当額の単価」も同様に「前面路線の各年(1月1日時点)の正常路線価×0.95(個別的要因補正率)」の計算式で求められることから、【基本式】を簡略化した【変形式】により損害金を計算することとした。
イ 遅延損害金の計算式
上記により求めた損害金(月)×0.4166%(遅延利率(月))=遅延損害金(月) 遅延損害金(月)×遅延期間(月)(注8)= 遅延損害金(〇〇年〇月〇日現在) |
※〇〇年〇月〇日以降の分は、請求の趣旨記載のとおり法定利率年5%とする。注8)遅延期間(月)は、各月ごとに1日から末日までの期間に相当する損害金(月)について翌月1日から遅延になるものとして〇〇年〇月〇日までの遅延期間を小数点以下第二位を切捨し同第一位までを採用した遅延月数で表したものである。
ウ その他
上記計算過程において生じた一円未満の金額は、すべて四捨五入により処理した。
(4)損失補償との関係
整理法第101条各項の規定は、当然のことながら施行者が“適法な”仮換地指定等により関係者に損失を与えた場合の補償義務のみ列挙するものである。
つまり、本件のように施行者が上位規定である整理法の基本理念(照応義務)を意図的(故意)に軽視、無視、または、看過(重過失)し、下位規定である施行条例の恣意的解釈により違法状態(仮換地不照応及びその長期放置)を作出するような異常事態まで立法者は想定していないのである。このことからも原告が被った経済的不利益は法の予定しないものであるから、その原因者たる被告には不法(違法)行為(不作為含む。)があったものというべきである。
なお、本件における損失補償請求権の存否について、〇〇〇年〇月〇日、都道府県収用委員会事務局にその裁決申請の当否について質問したところ、〇〇〇年〇月〇日、整理法(第101条)に該当する規定がないため、申請しても却下になる旨の回答を得た。
(5)不当利得について
仮に、損害賠償や損失補償の要件を欠くとされた場合でも、被告は保留地処分等により、法律上の原因を欠く受益を得ている。いうまでもなく、当該受益は、原告らの被った損害(損失)、すなわち、既述の「過分な強減歩」により生み出されたものを基礎としている以上、両者は、社会通念上の相当因果関係を有する。
なお、この場合の損害(損失)も通常の地代相当とされるのが一般的であり、悪意の受益者である被告は、その侵害利得の返還義務を履行しなければならない。
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