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不動産専門家相談センター東京

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不動産鑑定評価基準/運用上の留意事項

※アンダーラインを付した箇所は運用上の留意事項より抜粋

赤字の箇所は補足説明

021-総論第3章第3節個別的要因⑤

第3章不動産の価格を形成する要因

(第3節個別的要因のつづき)

建物に関する個別的要因

建物の各用途に共通する個別的要因 の主なものを例示すれば、次のとおりである。

1.建築(新築、増改築又は移転)の年次

建築基準法施行令改正による新耐震基準前か否か、いつの時点の法令に基づくかの判断に有用。 

建物の建築年次は、経過年数の把握、残存耐用年数等の判断において建物の経済価値(価格)に影響を及ぼす。

2.面積、高さ、構造、材質等

建物の面積は、建築面積、延べ面積で表される。面積は建物の高さと均衡が保たれているか否か(均衡の原則)、近隣環境に適合しているか否か(適合の原則)が重要な要因である。                       

【建物の構造区分】

(1)主たる構成材料による区分

木造、土蔵造、石造、煉瓦造、コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造等

(2)屋根の種類による区分

瓦葺、スレート葺、金属板葺、合成樹脂葺、ガラス葺、草葺、陸屋根等

(3)階数による区分

平屋建、二階建等

以上の諸区分の組合せによって、建物の構造は、木造瓦葺二階建というように表示され、構造の相違は、建物の強度、耐震性、耐火性、耐湿性、耐用年数等を左右し、建物価格に影響する。

3.設計、設備等の機能性

(1)建物の各用途に共通する個別的要因

各階の床面積、天井高、床荷重、情報通信対応設備の状況、空調設備の状況、エレベーターの状況、電気容量、自家発電設備・警備用機器の有無、省エネルギー対策の状況、建物利用における汎用性等に特に留意する必要がある。

建物の設計は、その用途(住宅、店舗、事務所等)にふさわしいものであるか否か、設計の具体的内容である各室の間取り、採光、通風等は良好であるか、外観のデザインは、近隣環境にマッチしたものであるか。電気、ガス、給排水、冷暖房、エレベーター等の設備は必要なものが配置されているか。 以上はいずれも、建物の快適性、利便性、収益性等に関連して建物価格に影響を及ぼす。

4.施工の質と量

建物を建築する労働者の質、すなわち、その技術や誠実さや熟練の程度と、単位面積当たりの投下労働量は、相乗的に作用して、建物の品等、耐用年数等に影響を及ぼす。同一材料を使用した場合でも、施工の質、量の相乗積の大なるものは小なるものに比して、建物価格も高くなるのは当然であろう。

5.耐震性、耐火性等建物の性能

(1)建物の各用途に共通する個別的要因

建物の耐震性については、建築基準法に基づく耐震基準との関係及び建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づく耐震診断の結果について特に留意する必要がある。 

耐震改修促進法

6.維持管理の状態

(1)建物の各用途に共通する個別的要因

屋根、外壁、床、内装、電気設備、給排水設備、衛生設備、防災設備 等に関する毀損・老朽化等の状況及び保全の状態について特に留意する必要がある。

7.有害な物質の使用の有無及びその状態

(1)建物の各用途に共通する個別的要因

建設資材としてのアスベストの使用の有無及び飛散防止等の措置の実施状況並びにポリ塩化ビフェニル(PCB)の使用状況及び保管状況に特に留意する必要がある。 

PCB→かつて蛍光灯等に使用されていた。

8.建物とその環境との適合の状態

適合の原則

建物は、近隣環境に適合していることが最有効使用の状態である。建物の面積、高さ、構造、材質等のほか、設計、デザイン等が近隣環境に適合していないものは、建物に減価が生じる。

9.公法上及び私法上の規制、制約等

(1)建物の各用途に共通する個別的要因

増改築等、用途変更等が行われている場合には、法令の遵守の状況に特に留意する必要がある。

公法上の規制の主なものは、都市計画法、建築基準法に基づく地域地区と建築物の構造、規模、形態等についての規制が挙げられる他、消防設備の設置義務等についての消防法の防火規制が挙げられる。私法上の制約としては、賃借権によるもの(借地契約上)、相隣関係、区分所有権(管理規約)等によるものが挙げられる。なお、建物価格を構成している部分別の諸項目は、概ね次のようなものが挙げられる。これらは、特に積算価格を求め、減価修正を行うに当たって着目されるものであり、比準価格を求める場合に比較項目として用いられる。

【建物価格構成部分別諸項目】

(1)木造

①屋根、基礎、外壁、柱、内壁、天井、造作、床、その他主要構造部分

②建具その他の工事(出窓、庇(ひさし)、階段等)

③建築設備(電気、ガス、給排水、衛生設備等)

④その他の諸経費(登記登録費、利潤、金利、補償費、地代、公租公課、設計監理費等)

※設計監理費→発注者が直接負担すべき通常の付帯費用

(2)非木造

①主要構造部、基礎工事及び間仕切り骨組

②外部仕上げ、内部仕上げ、床仕上げ、天井仕上げ、屋根仕上げ

③建 具

④特殊設備(劇場等のステージ、銀行のカウンターや金庫等)

⑤建築設備(電気、ガス、給排水、冷暖房、衛生設備等)

⑥仮設工事

⑦その他の工事

⑧その他の諸経費(登記登録費、利潤、金利、補償費、地代、公租公課、設計監理費等) 

建物に関しては、まず新築後の年数によって経年減価の度合いを推し量るとともに、その年次により適用された法令(建築基準法等)の基準が異なるため、構造や設備等の内容が異なっている可能性に注意する。また、当該要因が建物の機能性や耐震性等の性能及び有害物質等の使用の有無の判断材料になる場合もある。さらに、増改築、修繕・模様替等や移転の年次により、単に数量や材質が新築時と異なるだけでなく、例えば設備等の多くが更新され機能性や経年劣化が回復している場合もあり、建物の老朽化の程度や修繕の必要性の検討に役立てることができると考えられる。

設計、設備等の機能性については、業務系の建物を中心として、各階の床面積、天井高、床荷重等の躯体に関わるもののほか、情報通信対応設備の状況、空調設備の状況、エレベーターの状況、電気容量、自家発電設備・警備用機器の有無等があり、これらについては建物利用における汎用性等にも影響を与える。東日本大震災以降、防災対策、省エネルギー対策に関する設備の状況についても着目されている。防災対策としては、エレベーターの耐震性能向上や自動診断仮復旧システムのほかに、非常用電源や自家発電設備の有無とその稼働持続時間、非常用井戸の設置、帰宅困難者のための飲料水、食料、毛布等の備蓄の状況等がある。省エネルギー対策の設備としては、LED照明、自然採光システム、空調負荷や自然換気・自然採光システム等の設備が挙げられる。また、省エネルギー・省CO2等の環境性能を示す指標や格付けとして、一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構が所管しているCASBEE(Comprehensive AssessmentSystem for Built Environment Efficiency:建物環境総合評価システム)、米国グリーンビルディング協会 ( U.S. Green Building Council)が所管しているLEED(Leadership in Energy and Environmental Design)、DBJ(Development Bank ofJapanInc.:株式会社日本政策投資銀行)が所管している「DBJ Green Building 認証」等があるが、これらの指標や格付けが個別の不動産の市場価格の形成に影響を及ぼすことも考えられるため、これらを適切に反映できるように常に市場観察を行うことが重要である。

参考:CASBEEとは

「CASBEE」(建築環境総合性能評価システム)は、建築物の環境性能で評価し格付けする手法である。省エネルギーや環境負荷の少ない資機材の使用といった環境配慮はもとより、室内の快適性や景観への配慮なども含めた建物の品質を総合的に評価するシステムである。

CASBEEは、2001 月に国土交通省住宅局の支援のもと産官学共同プロジェクトとして、建築物の総合的環境評価研究委員会を設立し、以降継続的に開発とメンテナンスを行っている。

CASBEEの特徴は、建築物の環境に対する様々な側面を客観的に評価するという目的から、(1)建築物のライフサイクルを通じた評価ができること、(2)「建築物の環境品質(Q)」と「建築物の環境負荷(L)」の両側面から評価すること、(3)「環境効率」の考え方を用いて新たに開発された評価指標「BEE(建築物の環境性能効率、BuiltEnvironment Efficiency)」で評価すること、というつの理念に基づいて開発されている。また、評価結果が「ランク(素晴らしい)」から、「Aランク(大変良い)」「B+ランク(良い)」「B-ランク(やや劣る)」「Cランク(劣る)」という5段階のランキングが与えられることも大きな特徴である。

出典:一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構HP


建物の性能に係る耐震性については、昭和56年の建築基準法施行令改正以降のいわゆる新耐震基準に基づくものか、それ以前の基準に基づくものかによって、設計、設備等の機能性と同様に還元利回りや割引率の査定上、差が生じてきている。また、平成12年の改正では、一般構造に関する基準の性能規定化や構造強度に係る基準の整備、防火に関する基準の性能規定化等が行われ、木造住宅においては、地耐力に応じて基礎の特定とこれに伴う地盤調査が事実上義務化となり、構造材とその場所に応じて継手・仕口の仕様を特定され、耐力壁の配置にバランス計算が必要となった。平成251125日に施行された、「建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律」では、病院、店舗、旅館等の不特定多数の方が利用する建築物及び学校、老人ホーム等の避難に配慮を必要とする方が利用する建築物のうち大規模なもの等について、耐震診断を行い報告することを義務づけし、その結果を公表することになっている。また、耐震性に係る表示制度を創設し、耐震性が確保されている旨の認定を受けた建築物について、その旨を表示できることになった。このため、建物の耐震診断の結果を示す各種情報提供により、新耐震基準以外の情報としての耐震性能の表示が建物の価格形成に影響を与える可能性があることに留意すべきである。なお、設計、設備等の機能性は、原価法において建物の再調達原価を求める際の工事費の算定時に必要とされる項目であるとともに、取引事例比較法及び賃貸事例比較法において建物の品等格差による修正率や収益還元法において還元利回りや割引率を求める際に勘案すべき項目となる。

参考:耐震性に係る表示制度(建築物の耐震改修の促進に関する法律第22 条)

(建築物の地震に対する安全性に係る認定)

第二十二条 建築物の所有者は、国土交通省令で定めるところにより、所管行政庁に対し、当該建築物について地震に対する安全性に係る基準に適合している旨の認定を申請することができる。

2 所管行政庁は、前項の申請があった場合において、当該申請に係る建築物が耐震関係規定又は地震に対する安全上これに準ずるものとして国土交通大臣が定める基準に適合していると認めるときは、その旨の認定をすることができる。

3 前項の認定を受けた者は、同項の認定を受けた建築物(以下「基準適合認定建築物」という。)、その敷地又はその利用に関する広告その他の国土交通省令で定めるもの(次項において「広告等」という。)に、国土交通省令で定めるところにより、当該基準適合認定建築物が前項の認定を受けている旨の表示を付することができる。

4 何人も、前項の規定による場合を除くほか、建築物、その敷地又はその利用に関する広告等に、同項の表示又はこれと紛らわしい表示を付してはならない。

維持管理の状態の良否は、建物の減価の度合い及び将来見込まれる修繕費用の多寡に影響を与えるものであり、対象不動産の価格形成に大きな影響を及ぼす可能性がある。

有害な物質の使用の有無及びその状態は、対策工事費等の要否及びその多寡に影響を及ぼすものであり、対象不動産の価格形成に大きな影響を及ぼす可能性があるものである。

建物とその環境との適合の状態は、建物がその効用を十分に発揮するためには、所在する地域の特性に適合することが必要であり、適合の状態が悪い場合には、対象不動産の鑑定評価額は、その物理的な価値(建築工事費等の投資額)を下回ることになると考えられる。

公法上及び私法上の規制、制約等については、新築時の遵法性を建築確認済証、検査済証等で確認できたとしても、増改築、用途変更、修繕が施されたことによって、現状の建築基準法等の法令に不適合な建物となっている場合があるので、特に古い建物の評価において注意しなければならない。なお、建築基準法(昭和25 年法律第201 号)第3 条第2 項に該当する建築物(いわゆる既存不適格建築物)に留意する。 

なお、市場参加者が取引等に際して着目するであろう個別的要因が、建物の用途毎に異なることに留意する必要がある。

(2)建物の用途毎に特に留意すべき個別的要因

建物の用途毎に特に留意すべき個別的要因を例示すれば、次のとおりである。

ここでは、不動産の用途について例をあげ、用途毎に特に留意すべき価格形成要因を例示している。耐震性、安心・安全及び省エネルギーに係る対応の有無は、東日本大震災以降、特に重視されるようになった項目である。

① 住宅

屋根、外壁、基礎、床、内装、間取り、台所・浴室・便所等の給排水設備・衛生設備の状況等に留意する必要がある。また、区分所有建物の場合は、このほか各論第1章第 2節Ⅳ.1.及び本留意事項Ⅷ2.(2)に掲げる事項についても留意する必要がある。

また、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)に基づく日本住宅性能表示基準による性能表示、長期優良住宅の普及の促進に関する法律に基づき認定を受けた長期優良住宅建築等計画等にも留意する必要がある。

住宅については、その耐久性に影響を与える屋根、外壁、基礎の状態のほか、床、内装の仕上げ、間取りの状態、台所及び浴室・便所等の給排水設備・衛生設備等の状態について留意する必要がある。内装や設備等のリフォームによる機能回復・向上や、これらに関するインスペクション(検査、視察)等による個別の住宅の状態の精緻な把握、修繕履歴等の把握が、現実の不動産市場の形成に影響を及ぼす可能性があるため、これらが価格形成に与える影響について市場観察に努めることが必要である。

中古戸建て住宅について築後2025 年で建物価値をゼロとみなしてしまうことが多い流通時の現状の評価について、必ずしも個別の住宅の本来の使用価値を考慮した適正な建物評価が行われているとは言い難いとし、平成26331日、国土交通省(土地・建設産業局不動産業課・住宅局住宅政策課)より原価法の運用改善・精緻化による建物評価の改善を内容とする中古戸建て住宅取引の関係者の参照指針として、「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」が発表されている。

さらに、品質確保の促進等に関する法律に基づく日本住宅性能表示基準による住宅性能評価を受けているか、長期優良住宅の普及の促進に関する法律に基づき長期優良住宅建築等計画の認定を受けているかという観点も重要である。

住宅性能評価は、耐震や耐火の程度や、劣化、建物の維持管理、省エネルギー対策、空気・光・視・音環境対策、高齢者等への配慮、防犯対策の程度等について国に登録した第三者機関が一定の基準により評価を行うものである。住宅性能表示がある住宅は、民間金融機関による性能表示住宅の住宅ローン優遇、地震保険料の割引を受けられる場合がある。長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅(「長期優良住宅」)についてその建築及び維持保全に関する計画(「長期優良住宅建築等計画」)を認定する制度については、平成21 6 月より運用が開始されている。この認定を受けた住宅は住宅ローン減税等の税制上の優遇を受けることができること等から普及が進んでいる。したがって、鑑定評価に当たっては、これらの評価又は認定が住宅価格に及ぼす影響を考慮することが必要である。

参考:住宅性能表示制度に基づく新築住宅の性能表示項目(概要)

構造の安定に関すること

1-1 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)1-2 耐震等級(構造躯体の損傷防止)1-3 その他(地震に対する構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)1-4 耐風等級(構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)1-5 耐積雪等級(構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)1-6 地盤又は杭の許容支持力等及びその設定方法1-7 基礎の構造方法及び形式等

火災時の安全に関すること

2-1 感知警報装置設置等級(自住戸火災時)2-2 感知警報装置設置等級(他住戸等火災時)2-3 避難安全対策(他住戸等火災時・共用廊下)2-4 脱出対策(火災時)2-5 耐火等級(延焼のおそれのある部分(開口部))2-6 耐火等級(延焼のおそれのある部分(開口部以外))2-7 耐火等級(界壁及び界床)

劣化の軽減に関すること

3-1 劣化対策等級(構造躯体等)

維持管理・更新への配慮に関すること

4-1 維持管理対策等級(専用配管)4-2 維持管理対策等級(共用配管)4-3 更新対策(共用排水管)4-4 更新対策(住戸専用部)

温熱環境・エネルギー消費量に関すること

5-1 断熱等性能等級 5-2 一次エネルギー消費量等級

空気環境に関すること

6-1 ホルムアルデヒド対策(内装及び天井裏)6-2 換気対策(居室の換気対策)6-2 換気対策(局所換気対策)6-3 室内空気中の化学物質の濃度等6-4 石綿含有建材の有無等 6-5 室内空気中の石綿の粉じんの濃度等

光・視環境に関すること

7-1 単純開口率7-2 方位別開口比

音環境に関すること

8-1 重量床衝撃音対策 8-2 軽量床衝撃音対策 8-3 透過損失等級(界壁) 8-4 透過損失等級(外壁開口部)

高齢者等への配慮に関すること

9-1 高齢者等配慮対策等級(専用部分) 9-2 高齢者等配慮対策等級(共用部分)

10 防犯に関すること

10-1 開口部の侵入防止対策

11 現況検査により認められる劣化等の状況に関すること

11-1 現況検査により認められる劣化等の状況 11-2 特定現況検査により認められる劣化等の状況(腐朽等・蟻害)

参考:長期優良住宅の認定基準の概要

劣化対策 :数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること。

・通常想定される維持管理条件下で、構造躯体の使用継続期間が少なくとも100 年程度となる措置。

耐震性 :極めて稀に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図ること。

・大規模地震力に対する変形を一定以下に抑制する措置を講じる。(ex. 建築基準法レベルの1.25 倍の地震力に対して倒壊しないこと。)

維持管理・更新の容易性:構造躯体に比べて耐用年数が短い内装・設備について、維持管理(清掃・点検・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられていること。

可変性 :居住者のライフスタイルの変化等に応じて間取りの変更が可能な措置が講じられていること。

バリアフリー性:将来のバリアフリー改修に対応できるよう共用廊下等に必要なスペースが確保されていること。

省エネルギー性:必要な断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること。

居住環境:良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること。

住戸面積:良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること。(ex.一戸建ての住宅:75 ㎡以上(人世帯の一般型誘導居住面積水準))

維持保全計画:建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること。

② 事務所ビル

基準階床面積、天井高、床荷重、情報通信対応設備・空調設備・電気設備等の状況及び共用施設の状態等に留意する必要がある。特に、大規模な高層事務所ビルの場合は、エレベーターの台数・配置、建物内に店舗等の区画が存する場合における面積・配置等にも留意する必要がある。

事務所ビルについては、執務スペースの快適性、業務効率性に繋がる専用部分の基本的性能、すなわち基準階の床面積、天井高、床荷重、情報通信対応設備、空調設備及び電気設備等のほか、執務スペース以外の共用施設(例えば、リフレッシュコーナー、喫煙スペース、トイレ、パウダールーム等)の状態にも留意することが必要である。また、大規模な高層事務所ビルの場合には就労人口が多くなるため、エレベーターの台数及び配置、並びに建物内の店舗等の区画及び面積、配置等にも留意する必要がある。

また、東日本大震災以降、地震、火災等で被害を受けても重要な業務が中断しないようなBCP対策(Business Continuity Plan、耐震化、自家発電機能、エレベーターの自動最寄階停止機能、電源や回線等の設備の二重化、仮設トイレと敷地内井戸及び防災資機材と非常食等を備えた防災備蓄倉庫等)が大型事務所ビルに備え付けられ、これらへのテナントニーズも高まってきている。 

③ 商業施設

各階の床面積、天井高等に留意する必要がある。特に、 多数のテナントが入居するショッピングセンター等の大規模な商業施設については、多数の顧客等が利用することを前提とした集客施設としての安全性を確保しつつ収益性の向上を図ることが重要であるとの観点から、売場面積、客動線、商品の搬入動線、防災設備の状況、バリアフリー化の状況、施設立地・規模等に関する法令等に留意する必要 がある。

商業施設については、各階の床面積、天井高等のほか、特に多数のテナントが入居するショッピングセンター等の大規模な商業施設については、多数の顧客等が利用することを前提とした集客施設としての安全性を特に確保した上で収益性の向上を図ることが重要であるとの観点から、売場面積、客動線、商品の搬入動線、消防・防災対応設備の状況、バリアフリー化の状況、施設立地・規模等に関する法令等に留意する必要がある。

施設立地・規模等に関する法令等に関しては、大規模小売店舗の出店に当たり地元中小小売業者との商業調整を行ってきた「大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律」(大店法)が規制緩和の一環として平成12 年に廃止され、平成10年~平成12年にいわゆる「まちづくり三法」が制定され、従来の商業調整に替わる新たな枠組みへと転換している。また、今後の少子高齢化社会に対応し、都市の拡大成長から、既存ストックの有効活用と都市機能の集約促進等を目指した「コンパクトな街づくり」の一層の促進を図ることを目的として、平成18 5 月に都市計画法、同6月に「中心市街地活性化法」の見直しが行われている。

・大規模店舗の出店に際して周辺の生活環境保持に配慮を求める「大規模小売店舗立地法」(大店立地法)

・空洞化の進行する中心市街地の活性化を図る「中心市街地における市街地の整備改善と商業等の活性化の一体的推進に関する法律」(中心市街地活性化法)

・まちづくりの観点から大規模店舗の立地規制などを可能にする「都市計画法」

④ 物流施設

階数、各階の床面積、天井高、柱間隔、床荷重、空調設備、エレベーター等に留意する必要がある。特に、大規模で機能性が高い物流施設の場合は、保管機能のほか、梱包、仕分け、流通加工、配送等の機能を担うことから、これらの機能に応じた設備や、各階への乗入を可能とする自走式車路の有無等に留意する必要がある。

階数、各階の床面積、天井高、柱間隔、床荷重、空調設備、エレベーター等に留意する必要がある。特に、大規模で機能性が高い物流施設の場合は、保管機能のほか、梱包、仕分け、流通加工、配送等の機能を担うことから、これらの機能に応じた設備や、各階への乗入を可能とする自走式車路の有無等に留意する必要がある。なお、物流機能の高度化に伴い、物流施設における労働者への快適な労働環境や利便性に資する共用施設の充実度についても、重要性が高まりつつあることに留意する必要がある。

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