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不動産専門家相談センター東京

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不動産鑑定評価基準/運用上の留意事項

※アンダーラインを付した箇所は運用上の留意事項より抜粋

赤字の箇所は補足説明

025-総論第4章Ⅶ収益配分の原則~Ⅺ予測の原則

第4章不動産の価格に関する諸原則

(つづき)

収益配分の原則

土地、資本、労働及び経営(組織)の各要素の結合によって生ずる総収益は、これらの各要素に配分される。したがって、このような総収益のうち、資本、労働及び経営(組織)に配分される部分以外の部分は、それぞれの配分が正しく行われる限り、土地に帰属するものである。

企業経営の総収益は、生産に参加し協働する土地、資本、労働、経営等の生産諸要素の結合によって生じたものであるから、その収益は各要素の貢献度に応じて配分することが必要である。すなわち、資本に対しては利子労働に対しては賃金経営に対しては利潤(報酬)土地に対しては地代として配分されるのである。ところで、土地に対する投資は固定的で移動が困難であるが、土地以外の投資は、効率が悪ければ他に移動するという流動性を有する。そこで、収益が最終的に土地に配分されるに当たっても、まず、土地以外の要素が適切か否か、収益獲得に対する各貢献度はいか程か、要素の組合せが均衡のとれたものか等について十分に検討究明することが必要である。そして、土地が最有効使用であるかどうかも念頭に置き、総収益のうち最終的に土地に配分されるべき部分を判定しなければならない。この原則は、不動産に帰属する純収益を基礎とする収益方式と深い関連性を有することに留意しなければならない。また、収益配分が正当に行われるためには生産要素の組合せが均衡を保っていることが必要で、その意味においては均衡の原則と関連性があるが、不動産の収益の限界点における収益額が配分されるべきであるから収益逓増及び逓減の原則とも密接な関連性がある。

寄与の原則 

不動産のある部分がその不動産全体の収益獲得に寄与する度合いは、その不動産全体の価格に影響を及ぼす

この原則は、不動産の最有効使用の判定に当たっての不動産の追加投資適否判定等に有用である。

不動産のある部分が、その不動産全体の収益獲得にどれだけ役立っているか、部分と全体との関係についての原則である。例えば、隣地買収や、建物増築等、二つの不動産を連結することにより、不動産全体の効用がどれだけ増加したか。追加部分の全体に対する寄与度を判定することにより、その追加投資の適否を決定するとともに、これらが付加された後の土地や建物の鑑定評価を行うことができるのである。また、それは追加投資による最有効使用の上昇の程度を判定するものである。そして、この原則は、不動産のある部分に対する投資と全体の収益との関連では、収益逓増及び逓減の原則を不動産のある部分に適用したものであるということができる。また、各部分の組合せが均衡することにより最有効使用状態となるのであるから最有効使用の原則均衡の原則とも関連を有するものである。

適合の原則

均衡の原則とともに最有効使用の原則の『補助的原則』

不動産の収益性又は快適性が最高度に発揮される(=最有効使用)ためには、当該不動産がその環境に適合していることが必要である。したがって、不動産の最有効使用を判定するためには、当該不動産が環境に適合しているかどうかを分析することが必要である。

不動産の収益性又は快適性が最高度に発揮されることが、最有効使用の状態なのである。その最有効使用を内部構成要素間の均衡に基づいて把握しようとするのが均衡の原則で、外部条件との均衡を問題とするのが適合の原則である。すなわち、不動産は地域の外部条件(近隣環境)に適合することが必要であり、それによって効用(収益性や快適性)は最高度に発揮される。 なぜなら、不動産は、その自然的条件、人文的条件の全部又は一部を共通にすることによって、ある地域を構成し、これ(地域)に属するのを通常とし、その属する地域の構成分子として、その地域との間に依存・補完の関係にたち、またその地域内の他の不動産との間に代替・協働・競争の関係にたち、これら相互関係を通じてその社会的、経済的有用性を発揮するものだからである。 鑑定評価上、地域分析における標準的使用と個別分析における最有効使用との相互関係を明らかにすることが求められているのは、まさに個々の不動産と外部条件(近隣環境)との適合の状態を分析することを求められていることにほかならない。

競争の原則

一般に、超過利潤は競争を惹起し、競争は超過利潤を減少させ、終局的にはこれを消滅させる傾向を持つ。不動産についても、その利用による超過利潤を求めて、不動産相互間及び他の財との間において競争関係が認められ、したがって、不動産の価格は、このような競争の過程において形成される。

平均的利潤率を超える利潤を超過利潤というが、経済活動は常にこの超過利潤を求めて競争が引き起こされる。不動産においてもこれを利用することによる超過利潤を求めて、不動産間及び不動産と他の財との間に競争関係が認められ、超過利潤を生む不動産の需要は増加するのが通常であるから、それに伴ってその不動産の価格も上昇するが、このような価格上昇は、やがて超過利潤を消滅させる一つの要因となるものである。

そして、不動産価格は代替可能な他の不動産又は財との競争過程で決定されるものであるから、競争の原則は代替の原則と関連が深いと言える。また、価格は需要と供給の相互関係で定まるが、この需要と供給の作用は競争に基づき成立するものであるから競争の原則は需要と供給の原則を支えるものと言うことができる。

 X予測の原則

財の価格は、その財の将来の収益性等についての予測を反映して定まる。 将来収益予測)不動産の価格も、価格形成要因の変動についての市場参加者による予測によって左右される。要因変動の市場参加者予測)

不動産のあり方並びに価格は常に変化の過程にあるのであるから、鑑定評価においてはその価格形成要因がどのように変化しつつあるかについて的確に把握することが必要である。(鑑定評価の市場代行機能)そのためには、不動産のあり方、価格水準、対象不動産の価格について、その将来の動向を的確に予測することが大切なのである。そして、この予測は、現実から遊離した使用、投機的な、非合法な使用等を想定した予測であってはならず、十分に合理的で、かつ客観性のあるものでなければならない。また、この原則は、次のとおり鑑定評価の三方式の適用に当たって重要な指針となるものである。

原価方式における再調達原価から減価修正を行う場合の経済的残存耐用年数の判定に当たって→あと何年もつか

比較方式における地域要因や個別的要因の比較に当たって要因変動の動態的分析(過去の推移、将来動向の予測)

収益方式における対象不動産が将来生み出すであろう純収益や還元利回り(純収益の変動予測/予測に伴う不確実性)の決定等に当たって

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