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不動産専門家相談センター東京

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不動産鑑定評価基準/運用上の留意事項

※アンダーラインを付した箇所は運用上の留意事項より抜粋

赤字の箇所は補足説明

027-総論第5章第1節対象不動産の確定②

第5章鑑定評価の基本的事項

(第1節のつづき)

1.対象不動産の確定について

(1)鑑定評価の条件設定の意 (条件設定の必要性)

鑑定評価に際しては、現実の用途及び権利の態様並びに地域要因及び個別的要因を所与として不動産の価格を求めることのみでは多様な不動産取引の実態に即応することができず社会的な需要に応ずることができない場合があるので、条件設定必要性が生じてくる。

条件の設定は、依頼目的に応じて対象不動産の内容を確定し(対象確定条件)、設定する地域要因若しくは個別的要因についての想定上の条件を明確にし、又は不動産鑑定士の通常の調査では事実の確認が困難な特定の価格形成要因について調査の範囲を明確にするもの(調査範囲等条件)である。したがって、条件設定は、鑑定評価の妥当する範囲及び鑑定評価を行った不動産鑑定士の責任の範囲を示すという意義を持つものである。

条件設定=対象確定条件により対象を確定し、想定上の条件、調査範囲等条件を明確にすること

(2)鑑定評価の条件設定の手順

・依頼内容直接確認

・対象確定条件につき、実査で確認し、妥当性を検討(※独立鑑定不可の場合)

・想定条件3要件

鑑定評価の条件は、依頼内容に応じて設定するもので、不動産鑑定士は不動産鑑定業者の受付という行為を通じてこれを間接的に確認することとなる。しかし、同一不動産であっても設定された条件の如何によっては鑑定評価額に差異が生ずるものであるから、不動産鑑定士は直接依頼内容の確認を行うべきである。 

手順→基本的事項の確定にあたり、依頼者、提出先、利害関係の確認と併せて依頼目的・条件を依頼者に明瞭に確認する。 

対象確定条件について

/ 未竣工建物等鑑定評価は、価格時点において、当該建物等の工事が完了し、その使用収益が可能な状態であることを前提として鑑定評価を行うものであることに留意する。

鑑定評価書の利用者」とは、依頼者及び提出先等(総論第8章第2節で規定されるものをいう。)のほか、法令等に基づく不動産鑑定士による鑑定評価を踏まえ販売される金融商品の購入者等をいう。

対象確定条件を設定する場合において、鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがある場合とは、鑑定評価の対象とする不動産の現実の利用状況と異なる対象確定条件を設定した場合に、現実の利用状況との相違が対象不動産の価格に与える影響の程度等について、鑑定評価書の利用者が自ら判断することが困難であると判断される場合をいう。 

地域要因又は個別的要因についての想定上の条件の設定について(3要件)

想定上の条件を設定する場合において、鑑定評価書の 利用者の利益を害するおそれがある場合とは、地域要因 又は個別的要因についての想定上の条件を設定した価格形成要因が対象不動産の価格に与える影響の程度等につ いて、鑑定評価書の利用者が自ら判断をすることが困難であると判断される場合をいう。

実現性とは、設定された想定上の条件 を実現するための行為を行う者の事業遂行能力等を勘案した上で当該条件が実現する確実性が認められることをいう。

実現性 = 確実性※意思、着手、資力等の有無勘案

なお、地域要因についての想定上の条件を設定する場合には、その実現に係る権能を持つ公的機関の担当部局から当該条件が実現する確実性について直接確認すべきことに留意すべきである。

合法性とは、公法上及び私法上の諸規制に反しないことをいう。

調査範囲等条件の設定について

不動産鑑定士の通常の調査の範囲では、対象不動産の価格への影響の程度を判断するための事実の確認が困難な特定の価格形成要因を例示すれば、次のとおりであ る。

影響が無いと判断し、当該要因を除外して評価する場合とは異なる!

(ア)土壌汚染の有無及びその状態

(イ)建物に関する有害な物質の使用の有無及びその状態

(ウ)埋蔵文化財及び地下埋設物の有無並びにその状態

(エ)隣接不動産との境界が不分明な部分が存する場合における対象不動産の範囲

イ  特定の価格形成要因について調査範囲等条件を設定しても鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないと判断される場合を例示すれば、次のとおりである。

(ア)依頼者等による当該価格形成要因に係る調査、査定又は考慮した結果に基づき、鑑定評価書の利用者が不動産の価格形成に係る影響の判断を自ら行う場合

(イ)不動産の売買契約等において、当該価格形成要因に係る契約当事者間での取扱いが約定される場合

→評価書利用者が契約当事者に限定される場合

(ウ)担保権者が当該価格形成要因が存する場合における取扱いについての指針を有し、(かつ)その判断に資するための調査が実施される場合

(エ)当該価格形成要因が存する場合における損失等が保険等で担保される場合

→損失が生じないと考えられるため

(オ)財務諸表の作成のための鑑定評価において、当該価格形成要因が存する場合における引当金が計上される場合、 財務諸表に当該要因の存否や財務会計上の取扱いに係る注記がなされる場合その他財務会計上、当該価格形成要因に係る影響の程度について別途考慮される場合

ウ 調査範囲等条件を設定する価格形成要因については、当該価格形成要因の取扱いを明確にする必要がある。(除外等)

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