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不動産専門家相談センター東京

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不動産鑑定評価基準/運用上の留意事項

※アンダーラインを付した箇所は運用上の留意事項より抜粋

赤字の箇所は補足説明

038-総論第7章第1節価格を求める鑑定評価の手法/原価法②

第7章鑑定評価の方式

(第1節のつづき)

・ 再調達原価について

既存建物については、増改築・修繕・模様替等(以下「増改築等」という。)が施されていることが多いため、建物評価の精緻化に当たっては、増改築等を適正に反映させた評価を行うことが重要となる。増改築等が施される前提の評価(未竣工建物等鑑定評価)が一定の要件の下で認められる規定に改正されたこともあり、増改築等を施した建物若しくは増改築等を前提とした未竣工建物等について、再調達原価の求め方についても明確化した規定に変更された。

なお、増改築等により価格時点の建物の価値が建築時点から変動したと判断される場合には、当該変動を適切に反映した再調達原価を求めなければならない。

・改正前の基準では、再調達原価として加算すべき「通常の付帯費用」の具体的な内容が明確になっていないことから、「付帯費用」についての規定が追加された。また、付帯費用には建物引渡しまでの期間に対応するコストが含まれる場合がある。

・減価修正について

耐用年数に基づく方法と観察減価法の関係

耐用年数に基づく方法と観察減価法は、相互に他の方法の考え方を併用することによって初めて市場性を反映した適切な減価修正を行うことができる、いわゆる補完関係にあることを明確にした。

耐用年数に基づく方法の明確化

耐用年数に基づく方法」並びに「耐用年数」及び「経済的残存耐用年数」を定義づけ、それらの概念が明確化された。

耐用年数は、経過年数と経済的残存耐用年数の和を基礎として求め、経済的残存耐用年数を重視すべき。経済的残存耐用年数の判断に当たっては、対象建物の現況を十分調査・確認し、基準等に規定する原価法における減価の要因を把握したうえで判断すべきである。

増改築等を施した場合の耐用年数等減価修正への適切な反映

増改築等を施した場合の減価修正について、特に耐用年数への反映について適切に行う。

減価修正の手順における一体減価の取扱い

建物及びその敷地の減価要因については、土地・建物各々の減価修正において考慮する場合のほか、実務の実態を踏まえて、建物及びその敷地一体の減価として考慮される場合もある。

持続型社会の実現に向け、既存建物に増改築等を施すことで建物の長期利用を図っていこうとする社会の意識変化が生じている。国の施策として、平成25年に不動産特定共同事業法が改正され、建物の耐震化や老朽不動産の増改築等を促進するための環境整備が行われたほか、中古住宅の流通促進・活性化に向けた取り組み等が現在も進められており、それを受けて、耐震化や省エネ対応等建物の価値を向上させる増改築等が増加している。鑑定評価にあっては、このような社会・経済の変化に適切に対応していく必要があり、増改築等を実施した建物(実施前提の建物を含む。)について、その価値を的確に評価していくことが求められている。

特に、今後は、不動産特定共同事業法を適用する際の増改築等を前提とする鑑定評価や、中古住宅流通における売買価格の参考のための査定、担保評価等の鑑定評価の依頼が増加していくことが見込まれる。このような既存建物についての性能や維持管理の状況等を適切に反映した鑑定評価というニーズに対応することが求められる。

適用方法

(1)再調達原価の意義

再調達原価とは、対象不動産を価格時点において再調達(建築、造成等による新規の調達をいう。)することを想定した場合において必要とされる適正な原価の総額をいう

なお、建設資材、工法等の変遷により、対象不動産の再調達原価を求めることが困難な場合には、対象不動産と同等の有用性を持つものに置き換えて求めた原価(置換原価)を再調達原価とみなすものとする。

→再調達原価は、対象不動産の積算価格における上限を示すものである。また、経済合理性を有するものである限り当該不動産の最有効使用の状態における価格である。

置換原価は、対象不動産が住宅のような一般性のある建築物について有用である。ただし、神社、仏閣等のような特殊建築物等については、特殊な工法や資材がそれ自体として存在意義を有する場合もあり、こうした場合には安易に置換原価を求めることは適切ではないことに留意すべきである。

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