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不動産専門家相談センター東京

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不動産鑑定評価基準/運用上の留意事項

※アンダーラインを付した箇所は運用上の留意事項より抜粋

赤字の箇所は補足説明

041-総論第7章第1節価格を求める鑑定評価の手法/原価法⑤

第7章鑑定評価の方式

  (第1節のつづき) 

【建物及びその敷地の再調達原価】

建物及びその敷地(借地権付建物)の再調達原価は、まず、土地の再調達原価再調達原価が把握できない既成市街地における土地にあっては取引事例比較法及び収益還元法によって求めた更地の価格に発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算した額 )又は借地権の価格に発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算した額を求め、この価格に建物の再調達原価を加算して求めるものとする。

→建物及びその敷地の再調達原価 = 土地の再調達原価(既成市街地は更地の価格+付帯費用)+建物の再調達原価or借地権の価格+付帯費用+建物の再調達原価

建物の再調達原価の内訳

①標準的な建設費

◎直接工事費

○主体工事→基礎工事、木工事、屋根工事、左官工事等

○設備工事→電気、ガス、衛生給排水工事等

◎間接工事費(現場経費、諸経費)

◎利潤(請負者の利潤)

②通常の付帯費用(建設期間中の地代相当額、設計監理費等、その他慣行等によるもの)

(既成市街地)自用の建物及びその敷地の再調達原価の内訳

①更地価格(比準価格及び収益価格)+通常の付帯費用

②建物の再調達原価(標準的な建設費+通常の付帯費用) 

借地権付建物の再調達原価の内訳

①借地権価格(比準価格及び収益価格)賃料差額還元法、借地権割合法 +通常の付帯費用※借地権に原価法適用はない!

②建物の再調達原価(標準的な建設費+通常の付帯費用)

建物及びその敷地の再調達原価は、土地の再調達原価又は借地権の価格に発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算した額に建物の再調達原価を加算して求める。

建物及びその敷地の評価において土地の価格とは建物が存することを所与とした土地の価格を指すが、原価法を適用するに当たっては、敷地が所有権である場合の建付増減価又は一体増減価は減価修正で考慮するものとし、再調達原価においては、あくまで建付増減価を考慮する前の土地の再調達原価を求めることと整理する。

土地の再調達原価は、基準の①で示されている方法で求めることが原則であるが、既成市街地に存する場合等で、①の方法により土地の再調達原価を求めることができない場合は、取引事例比較法及び収益還元法等を適用して求めた更地の価格に付帯費用を加算したものをもって、建物及びその敷地における土地の再調達原価とすることができる。

また、敷地が借地権の場合は、基準各論第1章規定の手法を適用して借地権価格を求める。契約減価については借地権価格を求める過程で考慮し、建付減価相当分は減価修正で考慮する。なお、借地権単独では取引の対象とされず、価格が観察されない場合にも、建物の取引に随伴して取引の対象となり、借地上の建物と一体となった場合に借地権の価格が顕在化する場合があるので、借地権付建物の原価法の適用においては、この顕在化する借地権の価格を適切に査定する必要がある。

更地の価格又は借地権の価格に加算すべき通常の付帯費用とは、建物引渡しまでの期間に対応するコストのうち土地又は借地権の原価に含めることが妥当と判断される費用相当額をいう。また、建物の再調達原価には、建築費及び設計監理料等の建築に付帯する費用のほか、建物引渡しまでの期間に対応するコストのうち建物の原価に含めることが妥当と判断される費用相当額が含まれる。

なお、実務においては、土地・建物に係る付帯費用相当額を、付帯費用を含まない土地建物一体の価格に加算する方法もある。

また、建物については、建物を構成する部位ごとに減価修正率が異なるため、その材の性質及び耐用年数、補修・修繕・更新の頻度等から、基本的に、ⅰ躯体(基礎を含む。)、ⅱ仕上げ(内外装)及びⅲ 設備に大分類した上で、各々再調達原価を把握する必要がある。 

③再調達原価を求める方法には、直接法と間接法があるが、収集した建設事例等の資料としての信頼度に応じていずれかを適用するものとし、また、必要に応じて併用するものとする。

ア 直接法は、対象不動産について直接的に再調達原価を求める方法である。

直接法は、対象不動産について、使用資材の種別、品等及び数量並びに所要労働の種別、時間等を調査し、対象不動産の存する地域の価格時点における単価を基礎とした直接工事費を積算し、これに間接工事費及び請負者の適正な利益を含む一般管理費等を加えて標準的な建設費を求め、さらに発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算して再調達原価を求めるものとする。

再調達原価=直接工事費+間接工事費+一般管理費等(適正利益を含む)+ 通常の付帯費用

(標準的な建設費)

・部分別単価適用法

構成部分別標準単価適用法である。単位数量(面積、容積、長さ、重量等)当たりの構成部分別(屋根、壁、柱、床、基礎等)の標準単価を使用資材の種別、品等、施工の質と量等を考慮して求め、これを集計して求めた単位数量あたりの価格に、当該資産の総数量を乗じて、総工事原価を求め、これに利潤ならびに付帯費用を加算して再調達原価を求める方法である。

・総価格平均法

木材、石材、金具、セメント等の使用資材の単価に資材量を乗じて資材費を求め、単位当たり労賃に労働量を乗じて労務費を求め、これらを積算して得られた総工事原価に利潤、付帯費用を加算して再調達原価を求める方法である。

また、対象不動産の素材となった土地(素地)の価格並びに実際の造成又は建設に要する直接工事費、間接工事費、請負者の適正な利益を含む一般管理費等及び発注者が直接負担した付帯費用(「すべき通常の」となっていないので注意)の額並びにこれらの明細(種別、品等、数量、時間、単価等)が判明している場合には、これらの明細を分析して適切に補正し、かつ、必要に応じて時点修正を行って再調達原価を求めることができる。 ※間接法とは異なり要因比較を要しない。

・変動率適用法

対象不動産の実際の建設費等が判明している場合に、これらの明細を分析して中庸を得た適正額に補正し、かつ、必要に応じて時点修正し再調達原価を求める方法である。

イ 間接法は、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等に存する対象不動産と類似の不動産又は同一需給圏内の代替競争不動産(の建設事例)から間接的に対象不動産の再調達原価を求める方法である。※一般的留意事項(事例収集選択要件)とは異なり類似不動産となっている。

間接法は、当該類似の不動産等について、素地の価格やその実際の造成又は建設に要した直接工事費、間接工事費、請負者の適正な利益を含む一般管理費等及び発注者が直接負担した付帯費用(「すべき通常の」となっていない)の額並びにこれらの明細(種別、品等、数量、時間、単価等)を明確に把握できる場合に、これらの明細を分析して適切に補正し、必要に応じて時点修正を行い、かつ、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って、対象不動産の再調達原価を求めるものとする。※直接法とは異なり要因比較を要する。

直接法又は間接法を適用するに当たっては、造成工事費、建築工事費等の資料の収集に努めるとともに、建築工事原価に関する資料を分析し、建設物価の動向に留意して実証的に検討を加える必要がある。造成工事費、建築工事費等は需給動向により大きく変動するので、時点修正を行う際には留意が必要である。

①不動産鑑定評価、②相続対策、③借地と底地のトラブル解決、④価格・賃料相場等で頼れる専門家をお探しのお客さまは、当センターの無料相談をご利用ください。出張相談も可能です。必要に応じて、弁護士、税理士等の先生方と連携してサポートさせていただきます。

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