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不動産専門家相談センター東京

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不動産鑑定評価基準/運用上の留意事項

※アンダーラインを付した箇所は運用上の留意事項より抜粋

赤字の箇所は補足説明

053-総論第7章第1節価格を求める鑑定評価の手法/収益還元法⑧

第7章鑑定評価の方式

  (第1節のつづき)

(ア)類似の不動産の取引事例との比較から求める方法

→賃貸用不動産の取引事例から求める。

この方法は、対象不動産と類似の不動産の取引事例から求められる利回り(取引利回り)をもとに、取引時点及び取引事情並びに地域要因及び個別的要因の違いに応じた補正を行うことにより求めるものである。

取引事例の収集及び選択については、総論第7章に定める取引事例比較法の適用方法に準ずる。

取引事例から得られる利回り(以下「取引利回り」という。)については、償却前後のいずれの純収益に対応するものであるかに留意する必要がある。あわせて純収益について特殊な要因(新築、建替え直後で稼働率が不安定である等)があり、適切に補正ができない取引事例は採用すべきでないことに留意する必要がある。

この方法は、対象不動産と類似性の高い取引事例に係る取引利回りが豊富に収集可能な場合には特に有効である。

(イ)借入金と自己資金に係る還元利回りから求める方法

この方法は、対象不動産取得の際資金調達上の構成要素(借入金及び自己資金)に係る各還元利回りを各々の構成割合により加重平均して求めるものである。

この方法は、不動産の取得に際し標準的な資金調達能力を有する需要者の資金調達の要素に着目した方法であり、不動産投資に係る利回り及び資金調達に際する金融市場の動向を反映させることに優れている。

上記による求め方は基本的に次の式により表される。

R=RM×WM+RE×WE

R:還元利回り

RM:借入金還元利回り

WM:借入金割合 weight

RE:自己資金還元利回り Eはエクイティ(自己資金)

WE:自己資金割合

(ウ)土地と建物に係る還元利回りから求める方法→複合不動産の場合

この方法は、対象不動産が建物及びその敷地である場合に、その物理的な構成要素(土地及び建物)に係る各還元利回りを各々の価格の構成割合により加重平均して求めるものである。

この方法は、対象不動産が土地及び建物等により構成されている場合に、土地及び建物等に係る利回りが異なるものとして把握される市場においてそれらの動向を反映させることに優れている。

上記による求め方は基本的に次の式により表される。

R=RL×WL+RB×WB

R:還元利回り

RL:土地の還元利回り

WL:土地の価格割合 weight

RB:建物等の還元利回り

WB:建物等の価格割合

 (エ)割引率との関係から求める方法 

この方法は、割引率をもとに対象不動産の純収益の変動率を考慮して求めるものである。

この方法は、純収益が永続的に得られる場合で、かつ純収益が一定の趨勢を有すると想定される場合に有効である。還元利回りと割引率との関係を表す式の例は、次のように表される。

R=Y-g  

割引率=還元利回りから変動予測を除く=時間的選好度+予測に伴う不確実性

R:還元利回り

Y-gを引き算としてではなく、割引率に変動予測を加味したものが還元利回りであると捉える。

Y:割引率

g:純収益の変動率

(オ)借入金償還余裕率の活用による方法

この方法は、借入金還元利回り借入金割合をもとに、借入金償還余裕率ある期間の純収益を同期間の借入金元利返済額で除した値をいう。)を用いて対象不動産に係る純収益からみた借入金償還の安全性を加味して還元利回りを求めるものである。

この場合において用いられる借入金償還余裕率は、借入期間平均純収益をもとに算定すべきことに留意する必要がある。この方法は、不動産の購入者の資金調達に着目し、対象不動産から得られる収益のみを借入金の返済原資とする場合に有効である。

上記による求め方は基本的に次の式により表される。

R=RM×WM×DSCR

DSCR→純収益/元利返済額

R:還元利回り

RM:借入金還元利回り

WM:借入金割合

DSCR借入金償還余裕率(通常は、1.0以上であることが必要)

DSCR(Debt Service Coverage Ratio

純収益/元利返済額

◎大きいほど、借入金の元利返済に余裕があり、融資する側としては安全性が高い。

◎1より小さい場合、毎期の純収益では返済できないことになる。

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