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※アンダーラインを付した箇所は運用上の留意事項より抜粋

赤字の箇所は補足説明

057-総論第7章第2節賃料を求める鑑定評価の手法/新規賃料①

第7章鑑定評価の方式

(第2節つづき)

Ⅱ 新規賃料を求める鑑定評価の手法

1 積算法→意義+有効

(1)意義

積算法は、対象不動産について、価格時点における基礎価格を求め、これに期待利回りを乗じて得た額(純賃料相当額=償却後純収益)必要諸経費等を加算して対象不動産の試算賃料を求める手法である。(この手法による試算賃料を積算賃料という。) 

積算法は、対象不動産の基礎価格期待利回り及び必要諸経費等の把握を的確に行い得る場合に有効である。

積算賃料=基礎価格×期待利回り+必要諸経費等              ※基礎価格×期待利回り=純賃料相当額

・この手法は、不動産から一定量の用益を得るために費やされた原価に着目して、その用益の対価である賃料を求めようとするものである。

※交換の対価→価格

・基礎価格(元本価格)に期待利回りを乗じて得られた額は、不動産取得に要した費用(投資額)に対して期待される一定の収益額と観念され、それは不動産に帰属する純収益であり、貸主にとっての純手取高に相当する額であるから賃料と区別して純賃料と呼ばれる。純賃料は、元本に対する果実としての関係をもつものである。※元本果実の相関関係→「不動産価格の特徴①」参照

(2)適用方法

① 基礎価格

基礎価格とは、積算賃料を求めるための基礎となる価格をいい、原価法及び取引事例比較法により求めるものとする。

(継続賃料に係る利回り法もこれに準ずる)

収益還元法により基礎価格を求めるべきではない。収益還元法による収益は、積算法において求めようとする(純)収益に外ならず、一般に賃料に基づいて賃料を求めることは堂々めぐりとなるからである。(循環論に陥る。)

基礎価格を求めるに当たっては、次に掲げる事項に留意する必要がある。

基礎価格(元本価値)の最有効使用の判定に当たっては、賃貸借等の契約の制約を考慮しなければならない。

宅地の賃料(いわゆる地代)を求める場合の基礎価格は

ア 最有効使用が可能な場合は、更地の経済価値に即応した価格である。

イ 建物の所有を目的とする賃貸借等の場合で契約により敷地の最有効使用が見込めないときは、当該契約条件を前提とする建付地としての経済価値に即応した価格である。

建付地=(一体利用合理的な場合の)建物及びその敷地に係る敷地の部分鑑定建物及びその敷地の賃料(いわゆる家賃)を求める場合の基礎価格は建物及びその敷地の現状に基づく利用を前提として成り立つ当該建物及びその敷地の経済価値に即応した価格である。

・基礎価格について

積算法の適用に当たり、基礎価格は対象不動産について賃料の算定の期間の期首(賃料の価格時点)における元本価格として、原価法及び取引事例比較法により求める。基礎価格とは、積算賃料を求めるための基礎となる価格をいい、価格時点において対象不動産の有する経済価値(必ずしも対象不動産の最有効使用を前提とする経済価値とは限らず、使用方法等が賃貸借等の契約によって制約されている場合には、その制約されている程度に応じた経済価値)を示す価格である。

また、中高層賃貸住宅の賃料を求める場合において、基礎価格を原価法で求めるときは、一棟の建物及びその敷地の積算価格を階層別及び同一階層内における位置別の効用比により求めた配分率を乗じて求める必要がある。この場合において、当該一棟の建物に対し敷地が広すぎる場合、建物が低層の場合等敷地が最有効使用の状態でないときは、敷地について過大な配分を行うことのないよう留意すべきである。店舗用ビルの場合には、賃貸人は躯体及び一部の建物設備を施工するのみで賃貸し(スケルトン貸し)、内装、外装及び建物設備の一部は賃借人が施工することがあるので、基礎価格の判定に当たっては留意すべきである。

②期待利回り

期待利回りとは、賃貸借等に供する不動産を取得するために要した資本に相当する額に対して期待される純収益のその資本相当額に対する割合(償却後純収益に対応するもの)をいう。

期待利回りを求める方法については、収益還元法における還元利回りを求める方法に準ずるものとする。この場合において、賃料の有する特性に留意すべきである。

賃料の有する特性→期間的性格、償却後純収益に対応(収益純賃料と同様)

・期待利回りについて

不動産に投資される資金は、金融資産への投資と常に競合関係にあるので、不動産投資から期待される収益率は、それらの金融資産との関係において、その不動産の有する投資対象としての危険性、流動性等を反映して定まるものである。この収益率は、収益還元法における割引率と同じものである。積算法において採用する期待利回りはこの収益率を基礎とし、価格時点以降の賃貸借契約期間中の賃料や基礎価格の変動予測を考慮して基礎価格に対する一期間の期待収益を求めるものとして決定されるものであって、この点で収益還元法における還元利回りと軌を一にするものである。したがって、期待利回りの求め方については、還元利回りの求め方に準ずるものとする旨が規定されている。

ただし、還元利回りは、一般に、不動産が物理的、機能的及び経済的に消滅するまでの全期間にわたって不動産を使用し、又は収益することができることを基礎として生ずる経済価値に対するものであることが多いが、期待利回りは、上記期間のうち一部の期間について不動産の賃貸借等の契約に基づき不動産を使用し、又は収益することができることを基礎として生ずる経済価値に対応するものであることに留意しなければならない。期待利回りを求めるに当たっては、近隣地域又は同一需給圏内の類似地域等に存する対象不動産と類似の不動産の純賃料の基礎価格に対する割合から比準して得た利回り(比準利回りという。)をも考慮して求める場合がある。しかしながら、一般に比準利回りといわれるものには、必要諸経費等を含む賃料に対応する粗利回りであることが多いので、当該利回りの把握に当たってはその内容を慎重に検討する必要がある。

なお、収益還元法を適用する場合の還元利回りは、償却前純収益に対応する還元利回りが基本であり、また、投資家の間で用いられる利回りは一般的にNOI(Net OperatingIncome)ベースの利回りで、基本的には償却前純収益に対応する利回りである。

積算法の必要諸経費等として減価償却費を計上しつつ、償却前純収益に対応する還元利回りを賃料評価における期待利回りとして用いると、減価償却費の二重計上となり、積算賃料は減価償却費分高くなってしまうという問題が生じる。

よって、建物その他償却資産を含む不動産の積算法の必要諸経費等においても、収益還元法と同様に減価償却費を計上する場合と非計上の場合に分けて、減価償却費を計上しない場合には償却前の期待利回りを用いる必要がある。 

・還元利回りを求める方法に準ずるが、期待利回りは賃料の有する期間的な性格に即したものであることにおいて還元利回りとは異なる。

・不動産に投下される資本は、株式、公社債等の各金融資産への投資と常に競合関係にあるので、不動産投資から期待される収益は金融資産との関連で、その不動産の投資対象としての危険性、流動性等を反映して定められる。したがって、期待利回りは、金融市場における利子率と密接な関連を有する。次に、期待利回りの求め方は、収益還元法の還元利回りの求め方に準ずる

すなわち、還元利回りは最も一般的と思われる投資の利回りを標準として、その投資対象としての危険性、流動性、管理困難性、資産としての安全性等を総合的に比較考量して求めるのである(割引率※R=Y―g)が、還元利回りの計算の基礎となるのは、不動産が物理的、機能的及び経済的に消滅するまでの全期間にわたって、不動産を使用し、又は収益することができることを基礎として生ずる経済価値であるのに対し、期待利回りは、上記期間のうち一部の期間(賃料の算定の期間)にわたって不動産の賃貸借契約等に基づき不動産を使用し、又は収益することができることを基礎として生ずる経済価値に対応するものである。但し、還元利回りは、地価上昇が一般化し、元本価値の値上がりに基づく売買差益が期待されるような場合には、その有利性を考慮して低められる場合がある。なお、還元利回りは、償却前後の純収益に対応して、それぞれ償却前もしくは償却後の利回りを、税引前後の純収益に対応して税引前後の利回りを適用することになるが、期待利回りは、純賃料に加算すべき必要諸経費等に減価償却費が含まれているので、償却後の純収益(純賃料)に対応するものとなり、また、必要諸経費のうち公租公課には所得税、法人税等は含ませないのであるから、所得税、法人税引前の純収益に対応するものとなる。また、期待利回りは、積算法における必要諸経費に貸倒れ準備費、空室損失等(投資対象としての危険性)が含まれていることを考慮の上、定めるべきである。→リスク低減

※証券化対象不動産では、貸倒れ損失、空室損失は収益費用項目上、運営収益控除項目となっている。

必要諸経費等

不動産の賃貸借に当たってその賃料に含まれる必要諸経費等としては、次のものがあげられる。利回り法、スライド法もこれに準ずる。

・必要諸経費等について

必要諸経費等の査定は、収益還元法の総費用の査定に準ずる。

なお、減価償却費に代わって資本的支出を計上する場合、期待利回りは、資本的支出を考慮した後の期待利回りを検討することに留意する必要がある。  

ア 減価償却費(償却前の純収益に対応する期待利回りを用いる場合には、計上しない。)

賃貸用不動産の収益還元法において、「総費用」に計上

注)減価償却費は償却前純収益を求める場合、計上しない。

イ 維持管理費(維持費、管理費、修繕費等)

ウ 公租公課(固定資産税、都市計画税等)

エ 損害保険料(火災、機械、ボイラー等の各種保険)

オ 貸倒れ準備費

カ 空室等による損失相当額 

・対象不動産を賃貸して投資収益を確保するのに必要とされる諸経費等のことである。したがって、賃料に含ませることが妥当な経費でなくてはならない。

・減価償却費→対象不動産が建物等の償却資産である場合は、投下資本の回収額として減価償却費の適正額を必要諸経費に計上する必要がある。減価償却費は建物等の基礎価格に基づいて求めることになろうが、求める方法は定額法、定率法、償還基金法等がある。

・維持管理費(維持費、管理費、修繕費等)→貸地については、石垣の修理や擁壁の補修費用、側溝や排水施設等の維持・修繕費等が、貸家については、屋根などの雨漏りや土台、柱等の修繕費ならびに見回り、賃料取り立てに要する差配的費用等が計上されることになる。なお、水道、光熱費、清掃・衛生費、冷暖房費などの付加使用料、共益費等については賃料に含ませることは妥当でないものとされている。付加使用料、共益費等の名目で別途徴収された額が実費額を超えている場合、当該超過部分の金額は実質賃料を構成することとなる。 ※付加使用料→通常、直接賃貸借対象となる建物の部分(専用部分)にかかる光熱費、空調費等  ※共益費→通常、専用部分の機能を発揮させる共用部分に係る光熱費、清掃・衛生費、維持管理費、保安費等

・公租公課(固定資産税、都市計画税等)→対象不動産についての固定資産税、都市計画税、下水道設置に係る受益者負担金(受益期間に適正に配分した額)などを計上する。

・損害保険料(火災、機械、ボイラー等の各種保険)→建物等の火災保険、ビルディングについては機械保険、ボイラー保険、ガラス保険、アパート等の利益保険等、いずれも適正な額を計上することになる。

・貸倒れ準備費→賃料不払いによる損害を填補するために標準的な一定額を計上する。但し、敷金、保証金等の一時金の授受がなされて、貸倒れ損失が十分に担保されている場合は計上する必要がない。 

・空室等による損失相当額 ⇒ 新築貸家の賃貸当初に発生するものと中途解約により発生するものがある。この額は、過去の経験、実例ならびに地域ごとの需給関係を考慮して標準的な適正額を計上することになる。

以上の諸費目は、対象不動産の種別、規模、性格ならびに所在地域における賃貸借等の慣行等を十分に考慮して、取捨選択ならびに金額の査定を行うべきである。

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