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不動産専門家相談センター東京
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第8章/鑑定評価の手順
第8節試算価格又は試算賃料の調整
→再吟味及び説得力に係る判断の結果を鑑定評価報告書に記載→鑑定評価額決定理由の要旨
試算価格又は試算賃料の調整とは、鑑定評価の複数の手法により求められた各試算価格又は試算賃料の再吟味及び各試算価格又は試算賃料が有する説得力に係る判断を行い、鑑定評価における最終判断である鑑定評価額の決定に導く作業をいう。
試算価格又は試算賃料の調整に当たっては、対象不動産の価格形成を論理的かつ実証的に説明できるようにすることが重要である。このため、鑑定評価の手順の各段階について、客観的、批判的に再吟味し、その結果を踏まえた各試算価格又は各試算賃料が有する説得力の違いを適切に反映することによりこれ(調整)を行うものとする。
この場合において、特に次の事項に留意すべきである。
Ⅰ 各試算価格又は試算賃料の再吟味
(5適否1整合)
1 資料の選択、検討及び活用の適否
→三方式並びに案件に即して、資料が適切に選択、検討、活用されていなければ、適正な鑑定評価額を求めることができない。
収集→適切合理的計画、実査・聴聞・公的資料確認等→資料選択4(5)要件→必要十分信頼性・種類、依頼目的、条件、即応性
2 不動産の価格に関する諸原則の当該案件に即応した活用の適否
→三方式並びに案件に即応する諸原則についての十分な理解がなされているか、特に、案件に即して、最有効使用の原則と予測の原則の判断、活用が適切になされているか。
3 一般的要因の分析並びに地域分析及び個別分析の適否
→価格形成要因の分析こそ、鑑定評価の基礎をなすものであるから、同分析及び判断が適切でなければ適正な鑑定評価が行えないのは当然である。
4 各手法の適用において行った各種補正、修正等に係る判断の適否
5 各手法に共通する価格形成要因に係る判断の整合性
→共通要因判断整合性
6 単価と総額との関連の適否
・正常価格は、単価ではなく、不動産全体の価格(総額)として把握されるべきものである。したがって、何万㎡もの大規模地の正常価格における平均単価と、これに隣接する何百㎡の土地の正常価格における平均単価が一致するとは限らない。
・標準地の地価は、自然的、社会的条件からみて類似の利用価値を有すると認められる地域において、土地の利用状況、環境等が通常と認められる一団の土地について選択された標準地について、その標準面積を基準に単価が定められているものであって、地積の大小が土地価格の単価に及ぼす影響は重視されなければならない。
Ⅱ 各試算価格又は試算賃料が有する説得力に係る判断
1 対象不動産に係る地域分析及び個別分析の結果と各手法との適合性
→三方式には、それぞれ一長一短があることから、対象不動産の種類に応じて、収益物件は収益還元法を重視するというように適切に三方式が適用されるべきであり、また、確認資料、要因資料、事例資料の各種別に応じて、資料の信頼性、案件に対する適応度が重ねて精査、検討されねばならないことを意味する。
2 各手法の適用において採用した資料の特性及び限界からくる相対的信頼性→各方式を適用して求められた試算価格は、正常価格という一つの価格を三面から追求することによって求められた価格であるから、原則的、理論的に、三試算価格は一致する筈であるが、現実の作業では、それらの価格に開差が生じるのが通常である。その理由は、鑑定評価の仕事は実践作業であるから、どのように豊富に資料が収集されようとも、案件に即して完璧に収集されることは極めて困難であり、また、試算価格が求められる各手順の段階には、多くの判断が介在すること等、いかに手順をつくしても三方式の適用によって求められた価格の適正度は専門職業家の実践において実行可能な範囲に限られるのである。また、三方式はそれぞれ重心を置く部分(費用性、市場性、収益性)が異なり、内容、プロセスが相違するのみならず、求められた試算価格はそれぞれの手法に応じた特性を反映して決定される。
そこで試算価格又は試算賃料相互間に開差が生じたならば、それらを再検討し、相互に関連づけることによって試算価格又は試算賃料の調整を行わなければならない。
→三方式は相互に関連し合うものであることを念頭において相互検証(※)を行い、各試算価格又は試算賃料を相互に関連づける(※)ことにより、開差の調整を行う。
※相互検証→収益性を尺度に原価法の減価修正を行う等
※相互に関連づける→他の方式の考え方や手法を十分に比較検討しながら、それを採り入れるという作業に重点を置いて、それぞれの方式を精査、再検討して適用すること
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