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不動産鑑定評価基準/運用上の留意事項

085-各論第1章価格に関する鑑定評価第1節土地⑤ 借地権(ⅱ)

各論

第1章 価格に関する鑑定評価

(第1節のつづき)

※借地権と底地の価格の合計は、必ずしも更地又は建付地の価格に一致するとは限らない。

①宅地の賃貸借等及び借地権取引の慣行の有無とその成熟の程度は、都市によって異なり、同一都市内においても地域によって異なることもある。

→東京、横浜等の大都市では成熟しているが、大都市内でも高度商業地と標準住宅地とでは前者の方が借地権価格の割合は高くなるのが通例である。

借地権者又は借地権設定者に帰属する経済的利益は直ちにそのすべてが市場価値を形成するものではなく、その市場価値は、近隣地域及び同一需給圏内の類似地域等における取引慣行及びその成熟の程度によって左右されるので、宅地の賃貸借等及び借地権取引の慣行の有無とその成熟の程度を判断しなければならない。

②借地権の存在は、必ずしも借地権の価格の存在を意味するものではなく、また、借地権取引の慣行について、借地権が単独で取引の対象となっている都市又は地域と、単独で取引の対象となることはないが建物の取引に随伴して(借地権付建物として)取引の対象となっている都市又は地域とがあること

→借地権利金の授受が行われていない都市や地域においては、借地権価格は存在しないものといえる。(自然発生的なものを除く。)また、宅地の経済価値に即応した適正賃料が授受されていれば、借地権価格は発生する余地はないものといえる。 

③借地権取引の態様

取引慣行と成熟度に係る地域判定、有・第・堅・権・一・名

ア 借地権が一般に有償で創設され、又は継承される地域であるか否か。

イ 借地権の取引が一般に借地権設定者以外の者(第三者)を対象として行われる地域であるか否か。

ウ 堅固建物の所有を目的とする借地権の多い地域であるか否か。

エ 借地権に対する権利意識について借地権者側が強い地域であるか否か。

オ 一時金の授受が慣行化している地域であるか否か。

→借地契約当初において一時金の授受は行われなかったが、地価上昇に地代値上げが伴わず、宅地の経済価値に即応する適正賃料と実際支払賃料との間に乖離が生じ、いわゆる借り得部分としての借地人に帰属する自然発生的経済的利益が生じ、これが借地権価格形成要因となる場合がある。(一時金授受と自然発生的なものとが混在して借地権価格形成要因となっている場合もある。)

カ 借地権の譲渡に当たって名義書替料(=譲渡承諾料)を一般に譲受人又は譲渡人のいずれが負担する地域であるか。 

④借地権の態様

創・地・転・堅・居・契・特・書・登・定

ア 創設されたものか継承されたものか。

→継承された借地権については、譲渡時に名義書替料が賃貸人に支払われる慣行があることに留意を要する。

□現借地権者が借地権設定者から直接権利設定を受けたものか、第三者から継承したのかの別である。創設された借地権である場合には、借地権者と借地権設定者との個人的関係が反映された契約内容となっている場合があるが、継承されたものについてはこれらが薄められてある程度標準化していることが多い。また、継承された借地権であることは、その地域で借地権の取引慣行がある程度存することを示唆することになる。なお、定期借地権においては、定期借地契約を継承せずに、新たな定期借地契約が締結されていることもあることに留意すべきである。

※名義書替料は、通常、手数料的な意味を有し、借地権価格を構成しない。

イ 地上権か賃借権か。

→裁判所代諾制度(借地借家法)等による賃借権譲渡性の強化、賃借権の物権化→地上権と賃借権の差異が縮小傾向にある!

□地上権は物権であり譲渡性があるのに対し、賃借権は債権であって特約のある場合を除き借地権設定者の承諾又は借地権設定者の承諾に代わる裁判所の許可がなければ譲渡又は転貸することができない。

ウ 転借か否か。

→転借地権は、借地権者の債務の履行を基礎とすることから権利性は弱い。

□借地権設定者の承諾を得て、借地権者が借地権を転貸した場合には転借地関係が発生する。転借地権は、借地権者の地代不払い等の債務不履行により、借地権設定者から原借地契約が解除される場合があるなど、通常の借地権と比較して権利の安定性に欠ける面がある。 

エ 堅固の建物の所有を目的とするか、非堅固の建物の所有を目的とするか。借地借家法第条では堅固・非堅固による借地権の存続期間の区別を廃止し約定最短期間を30 年とした。同法第条では、更新後の借地期間について同じく堅固・非堅固の区別を廃止し、回目の更新後の期間は20 年、回目以降の更新後の期間は10 年に短縮した。

旧借地法第条第項では、借地権の存続期間は堅固の建物の所有を目的とするものについては60 年、その他の建物の所有を目的とするものについては30 年とされている。

なお、同条第項では、契約によって堅固の建物の所有を目的とするものは30 年以上、その他の建物については20 年以上とすることができるとしている。また、旧借地法第条では、更新後の借地期間は堅固の建物の所有を目的とするものについては30 年、その他の建物の所有を目的とするものについては20 年とされている。例外として、大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法(平成25 26 日法律第61 号)による被災地短期借地権の存在期間がある。

また、借地契約において建物の種類、規模又は用途を制限する旨の借地条件がある場合にはそれに従うことになるが、事情変更があった場合には借地条件の変更を裁判所に申し立てることが認められる。借地借家法第17 条第1項では、「建物の種類、規模又は用途を制限する旨の借地条件がある場合において、法令による土地利用の規制の変更、付近の土地の利用状況の変化その他の事情の変更により現に借地権を設定するにおいてはその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるにもかかわらず、借地条件の変更につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、当事者の申立てにより、その借地条件を変更することができる」とされている。なお、借地借家法施行前に設定された借地権についても、その借地条件の変更の申立てが借地借家法施行後である場合には、旧借地法ではなく、借地借家法第17 条が適用されることとなる(旧借地法第条の項においては、非堅固の建物の所有を目的とする借地権が防火地域の指定等により堅固の建物の所有を目的とすることを相当とするに至った場合に当事者間に協議が調わなかったときは、裁判所は当事者の申立てにより、その借地条件を変更することができるとされ、非堅固の建物の所有を目的とする借地条件を堅固の建物の所有を目的とする借地条件に変更する申立てのみに限られていた。)。(附則第10 条)

なお、旧借地法が適用になる借地権においては、借地契約で特に借地上の建物の種類及び構造の定めがない場合、同法第条により堅固の建物以外の建物の所有を目的とする借地権とみなされる。新法においては堅固建物・非堅固建物の区別をなくしたことから、こうした規定は設けられていない。

オ 主として居住用建物のためのものか、主として営業用建物のためのものか。

建物の用途が近隣地域の標準的使用に適合しているか否かは、借地権の市場性に影響を及ぼすこととなる。また、建物の種類、規模又は用途を制限する旨の借地条件がある場合において用途を変更したり、そのために建物の増改築、建替え等をしようとしたりするときには、一般に借地権設定者の承諾を必要とし、条件変更承諾料や増改築承諾料等の一時金を負担することとなることに留意する必要がある。定期借地権の場合においてもその使用目的の変更や建物の増改築、建替え等をしようとするときは、借地権設定者の承諾が必要と考えられるが、借地期間満了時に契約が終了することを踏まえ、定期借地権設定契約等の内容及び、これらの一時金に関する市場慣行等についての観察に努めることが必要である。

なお、居住用建物の用に供される土地等については、公租公課の軽減があることに留意する必要がある。

カ 契約期間の定めの有無

□旧借地法では、借地権は建物の朽廃により消滅する場合があるが、借地契約期間が満了しても建物が存する限り、借地権設定者に正当事由がない場合には借地契約は更新される。したがって、借地契約の実質的な存続期間は、借地上に存する建物との関連性に基づいて判断することが必要であるとともに、借地契約の更新に当たって更新料等の一時金を負担する場合があることに留意すべきである。

また、借地権設定者の正当事由の存在により借地権が消滅する場合には、借地権者は建物買取請求権を行使でき、その買取価格は、「建物の時価」であり、判例により、建物自体の価格にいわゆる場所的利益が付加されることが認められていることに留意すべきである。判例では、「時価とは、建物を取壊した場合の動産としての価格ではなく、建物が現存するままの状態における価格である。そして、この場合の建物が現存するままの状態における価格には、当該建物の敷地の借地権そのものの価格を加算すべきではないが、当該建物の存在する場所的環境については参酌すべきである。ただし、特定の建物が特定の場所に存在するということは、建物の存在自体から当該建物の所有者が享受する事実上の利益であり、また建物の存在する場所的環境を考慮に入れて当該建物の取引を行うことは、一般取引における通念であるからである」(最高裁判例昭和35 12 20 日)とされている。

契約期間に関して借地借家法では、旧借地法にあった堅固・非堅固の別をなくし、最短期間を一律30 年、契約でこれより長い期間を定めたときにはその期間とすることとした(第条)。借地権の更新後の期間については最初の更新に限って20 年、回目以降の更新は10 年とした(第条)。借地権者の更新請求に対して借地権設定者が遅滞なく異議を述べた場合には契約は更新されないが、その異議には正当事由が備わっていなければならない(第条、第条)。借地権者が建物のある借地の使用を継続していることに対し、借地権設定者が正当事由のある異議を遅滞なく述べなかったときは、契約は更新されたものとみなされる(第条)。これを法定更新といい、法定更新後の存続期間は、更新請求による更新の場合と同じである。建物の存在を法定更新の要件とすることによって、建物が存続しない場合にはそもそも法定更新の対象にならないとした。また、更新拒絶の要件である「正当事由」の判断において考慮される事情を具体的に明確化した(第条)ほか、借地上の建物の滅失と朽廃の区別を廃止し、期間の定めのない借地上の建物が朽廃しても借地権は消滅しないこととした(第条、第条)。

キ 特約条項の有無

増改築を禁止する旨の特約があるときは、その特約は有効であり、借地権設定者の承諾がなければ増改築を行うことができない。しかし、増改築の禁止の特約があっても土地の通常の利用上相当とすべき増改築について借地権設定者の承諾を得られないときは、借地権設定者の承諾に代わる許可の裁判(借地借家法第17 条第項、旧借地法第条の項)を求めることができることに留意しなければならない。

□更新料については法律自体では義務づけられていないが、取引慣行に基づく当事者の特約によって支払いが行われるケースも多い。このため、更新料に関する特約についての確認と合わせて、過去における更新料の支払状況についても確認することが必要である。

→更新料に係る判例の動向にも留意する必要がある。

□いわゆる一般定期借地権と平成20 日の借地借家法の一部改正後の事業用定期借地権等のうち存続期間が30 年以上50 年未満のものについては、a.契約の更新をしない、b.建物再築による期間の延長をしない、c.法第13 条の規定による建物の買取請求をしない、というつの特約を定めることにより、定期借地権になるとされている。

また、借地借家法第24 条の建物譲渡特約付借地権においては、借地権を消滅させるため、30 年以上経過した日に相当の対価で借地上の建物を借地権設定者に譲渡する旨の特約を結ぶことができるとされている。この場合、契約期間満了時において、借地権設定者に対し、更地として返還される場合又は借地上の建物の譲渡が行われる場合があることから、特約の内容について留意しなければならない。

ク 契約は書面か口頭か。

一般に借地契約は書面によって行われることが多いが、口頭での契約に留まる場合もある。口頭である場合においても借地契約の効力自体には違いはないが、当事者間の個人的関係により地代が長く据え置かれているなど、書面による借地契約との差異がある場合がみられるので留意する必要がある。地代の授受がない場合には使用貸借契約となるが、地代が著しく低廉なものに留まっている場合にも、借地契約でなく使用貸借契約とされる場合がある。

また、権利の態様の確認に当たっては、基準総論第8章の規定に従い契約内容を的確に確認する必要がある。確認すべき主な契約内容は、契約の目的、契約の種類、契約当事者、契約期間、契約数量、月額支払賃料、一時金の有無とその内容、賃貸条件等に係る特約(利用方法に関する特約の有無及びその内容、賃料改定特約の有無及びその内容、増改築禁止特約の有無及びその内容、賃借権の譲渡・転貸に関する特約の有無及びその内容)等である。特に依頼目的が売買の場合においては、売買に伴い契約期間や地代等の借地条件が変更される場合もあるため、鑑定評価の前提となる契約内容について明記することが必要になる。なお、借地借家法第22 条の一般定期借地権の場合には書面による契約が要件となり、同法第23 条の事業用定期借地権等の場合には公正証書による契約であることが要件となっている。

ケ 登記の有無

□借地権は登記をすることによって第三者に対抗することができる。しかし、借地権が賃借権の場合、賃借人は登記請求権を持たないが、借地借家法第10 条により、借地権はその登記がなくとも、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは第三者に対抗することができる。この場合、建物の滅失(借地権者又は転借地権者による取壊しを含む。)があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有するとされる。しかし、建物の滅失があった日から二年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限るとされている。

コ 定期借地権等(借地借家法第二章第四節に規定する定期借地権等)

□定期借地権には第22 条のいわゆる一般定期借地権、第23 条の事業用定期借地権等、第24 条の建物譲渡特約付借地権の種類がある。これらつの定期借地権は存続期間、利用目的による制限、特約事項、契約の方式、借地関係の終了事由などが異なるので、こうした側面からも借地権の態様を明らかにする必要がある。

鑑定評価を行うためには、資料を豊富に収集し、それらを比較検討することが大切です。

鑑定評価書の内容は、実質的に不動産鑑定士が自己の専門的学識と経験に基づいた判断と意見を表明するものです。

※アンダーラインを付した箇所は運用上の留意事項より抜粋

赤字の箇所は補足説明

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