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不動産鑑定評価基準/運用上の留意事項

089-各論第1章価格に関する鑑定評価第1節土地⑨ 底地

各論

第1章 価格に関する鑑定評価

(第1節のつづき)

(2)底地

→借地権設定者帰属経済的利益貨幣額表示したもの=実際支払賃料-諸経費等+復帰経済的利益+将来の一時金の現在価値

底地の価格は、借地権の付着している宅地について、借地権の価格との相互関連において借地権設定者に帰属する経済的利益を貨幣額で表示したものである。

借地権設定者に帰属する経済的利益とは、当該宅地の実際支払賃料から諸経費等を控除した部分の賃貸借等の期間に対応する経済的利益及びその期間の満了 等(借地権消滅)によって復帰する経済的利益の現在価値をいう。なお、将来において一時金の授受が見込まれる場合には、当該一時金の経済的利益も借地権設定者に帰属する経済的利益を構成する場合があることに留意すべきである。

→実際支払賃料に基づく地代徴収権に相応する価格のほか、期間満了その他借地権消滅により完全所有権を回復した場合の市場性回復、最有効使用及び担保価値への期待、名義書替料、更新料、承諾料等の一時金収入による経済的利益への期待等が相互関連的に織り込まれて底地価格を形成する。

底地の鑑定評価額は、実際支払賃料に基づく純収益等の現在価値の総和を求めることにより得た収益価格及び比準価格を関連づけて決定するものとする。この場合においては、前記(1)②ア(ア)から(キ)までに掲げる事項(定期借地権の評価にあっては、(ア)から(ケ)までに掲げる事項)を総合的に勘案するものとする。

→期間の満了等によって復帰する経済的利益の現在価値を価格に反映させることが肝要である。

□収益価格

価格時点において現実に支払われている実際支払賃料から諸経費を控除して得られる純収益を資本還元することによって収益価格を求める。

□比準価格

底地を第三者が買いうけた場合の取引事例によって取引事例比較法を適用して比準価格を求める。

以上のとおり求められる底地の鑑定評価額は、第三者が当該底地を買い取る場合の価格である。

また、底地を当該借地権者が買い取る場合における底地の鑑定評価に当たっては、当該宅地又は建物及びその敷地が同一所有者に帰属することによる市場性の回復等に即応する経済価値の増分が生ずる場合があることに留意すべきである。※借地権は混同により消滅する。

底地を当該借地人が買い取る場合における底地の鑑定評価は、当該借地人が底地を買い取ることにより、賃料収入(一時金収入)が期待されるわけではなく、完全所有権獲得により、更地又は建付地としての市場性回復、最有効使用の可能性、担保価値増大等による経済価値増分が得られること等を十分考慮し鑑定評価すべきである。こうして求められた価格が市場価値と乖離していると認められる場合は、求められた価格の種類は限定価格となる。

□借地権設定者に帰属する経済的利益とは、当該宅地の実際支払賃料から諸経費等を控除した部分の賃貸借等の期間に対応する経済的利益及びその期間の満了等によって復帰する経済的利益の現在価値をいう。

□将来見込まれる一時金の経済的利益については、借地権設定者に帰属する経済的利益を構成する場合がある。

□底地の価格は、地代徴収権に相応する価格のほかに将来見込まれる名義書替料、更新料、増改築等承諾料等の一時金の経済的利益及び借地権が消滅し完全所有権に復帰することによる当該土地の最有効使用の実現の可能性、市場性及び担保価値の回復等による経済的利益を加味して形成されるものである。

なお、建物の種類、構造、規模又は用途を制限する旨の借地条件がある場合において、これらの借地条件を変更することによって、借地権者にとっては、より効用の高い利用が可能となる一方、借地権設定者にとっては借地期間の長期化等により、更地復帰の可能性が減退することも考えられる。このため、条件変更承諾料や増改築承諾料については、条件変更や増改築等により実質的な借地期間が長期化し、完全所有権に復帰するまでの期間が長期化することにより底地価格を低下させる要因となる場合もあることに留意が必要である。

□定期借地権が付着している宅地については、定期借地権固有の総合的勘案事項である、「(ク)借地期間満了時の建物等に関する契約内容」について勘案する必要があるが、例えば建物を有償で購入する場合には、借地期間満了時に復帰する建物及びその敷地の現在価値から当該建物買取費用の現在価値を控除する必要がある。なお、もうひとつの定期借地権固有の勘案事項である「(ケ)契約期間中に建物の建築及び解体が行われる場合における建物の使用収益が期待できない期間」は建物建築時や解体時においても契約期間内となるため、原則的に、底地の価格には影響しないが、当該期間について地代が改定される等の特約がある場合には底地の価格にも影響する場合があることに留意する。

□底地を当該借地権者が買い取る場合は、底地を第三者に譲渡する場合に比べると当該宅地又は建物及びその敷地が同一所有者に完全に帰属することによる当該土地の最有効使用の可能性、市場性及び担保価値の回復等に即応する経済的利益があることが通常であるから、その経済価値の増分を考慮して得た額を前記の底地の価格に加算して求めなければならない。なお、この経済価値の増分を鑑定評価額に反映させることによって求められた価格の種類は、限定価格となる。

鑑定評価を行うためには、資料を豊富に収集し、それらを比較検討することが大切です。

鑑定評価書の内容は、実質的に不動産鑑定士が自己の専門的学識と経験に基づいた判断と意見を表明するものです。

※アンダーラインを付した箇所は運用上の留意事項より抜粋

赤字の箇所は補足説明

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