不動産鑑定評価・相続対策等は、当センター(事務局:ことぶき不動産鑑定所)にご相談ください。東京、埼玉、千葉、神奈川を中心に全国対応。

不動産専門家相談センター東京

【事務局】ことぶき不動産鑑定所
〒110-0016 
東京都台東区台東1丁目29-3-1004

JR山手線秋葉原駅中央北口徒歩7分・御徒町駅南口徒歩9分
東京メトロ日比谷線秋葉原駅1番出口徒歩4分・仲御徒町駅1番出口徒歩5分
東京メトロ銀座線末広町駅1番出口徒歩6分

03-6555-2375

03-6869-4526

営業時間
10:00〜18:00 無休(土日祝対応)

お役立ち情報

不動産鑑定評価基準/運用上の留意事項

096-各論第1章価格に関する鑑定評価第3節 建物② Ⅱ建物及びその敷地が一体として市場性を有しない場合における建物のみの鑑定評価~Ⅲ借家権

各論

第1章 価格に関する鑑定評価

(第3節のつづき)

Ⅱ 建物及びその敷地が一体として市場性を有しない場合における建物のみの鑑定評価

□建物及びその敷地が一体として市場性を有しない場合【一般に特殊価格】

この場合の建物の鑑定評価は、一般に特殊価格を求める場合に該当するものであり、文化財の指定を受けた建造物、宗教建築物又は現況による管理を継続する公共公益施設の用に供されている不動産のうち建物について、その保存等に主眼をおいて行うものであるが、この場合における建物の鑑定評価額は、積算価格を標準として決定するものとする。

特殊価格とは、文化財等の一般的に市場性を有しない不動産について、その利用現況等を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。特殊価格を求める場合を例示すれば、文化財の指定を受けた建造物、宗教建築物又は現況による管理を継続する公共公益施設の用に供されている不動産について、その保存等に主眼をおいた鑑定評価を行う場合である。

※費用面から経済価値を追求するもので、文化的価値を求めるものではない。

Ⅲ 借家権

借家権とは、借地借家法(廃止前の借家法を含む。)が適用される建物の賃借権をいう。 

□借家権価格と貸家及びその敷地の価格は、相互に密接な関連をもっているが、この両価格の合計額は、自用の建物及びその敷地の価格と必ずしも一致するものではない。→契約減価・市場性減退

□比準価格

借家権は、個別性が強く、借家権の取引慣行は一般に未成熟であるから、適切な事例資料を得ることは容易ではない。しかし、借家人に帰属する経済的利益が発生している場合、慣行的に取引対象となっている部分が借家権の正常価格を形成するのであるから価格を求める手法は、取引事例比較法が標準となる。

□借家権のその敷地に及ぶ範囲は、建ぺい率等を参考として定めることが必要な場合がある。

□借地借家法のうち借家権に係る規定は、建物の賃貸借一般を規律しているものであって、建物が居住用であるか営業用であるかを問わず同法の対象としており、同法の目的は、一般の借家権については建物の賃借人(借家人)の居住等の安定に主眼が置かれている。

借地借家法においては、建物引渡しによる対抗要件の具備、正当な理由のない解約の制限等が保証されており、借家人は、そこに長期間居住し、又は営業することによって生活上、営業上の種々の利益を受けることになる。

また、都市再開発法(昭和44 年法律第38 号)は、権利変換手続において施行地区内の建築物について借家権を有する者で、施設建築物の一部について借家権の取得を希望しない旨の申し出をした者に対しては、近傍類似の借家権の取引価格等を考慮して求めた相当な価額を補償しなければならない旨を規定している。

このように、借家権の経済価値は、借地借家法を始めとする法令等によって保護されている借家人の社会的、経済的ないしは法的利益により形成されているものといえる。

しかしながら、借家権は、賃貸人の承諾なく第三者へ譲渡し得ないものであり、有償で借家権を取得しようとする者は一般に存在しない。特に居住用建物の借家権は、交換市場において市場価値を形成することはほとんどないと考えられ、飲食店舗等営業用建物の場合に、一部確認できる程度である。

借家権が経済価値として具体的に認識される場合としては、・賃貸人から建物の明渡しの要求を受けた際、借家人が不随意の立退きに伴い事実上喪失する経済的利益の補償を受けるとき

・公共用地の取得に伴い損失補償を受けるとき

・都市再開発法において、施設建築物の一部について借家権の取得を希望しない旨の申し出をした借家人に対して、当該借家権の補償がなされるとき

等があげられる。

一般に、交換の対価である価格は、利益を生み出す元本の価値として把握されるが、借家権価格は、借地借家法等により保護されている借家人の社会的、経済的ないしは法的利益の経済価値を総称するものといわれるように利益を生み出す元本というほどのものが明確な形で存在していないので、喪失する利益の補償、すなわち補償の原理の観点から借家権の経済価値を把握せざるを得ない場合が多いことに留意しなければならない。

借家権①→取引慣行ある場合  

借家権の取引慣行ある場合における借家権の鑑定評価額は、当事者間個別的事情を考慮して求めた比準価格標準とし自用の建物及びその敷地の価格から貸家及びその敷地の価格を控除し、所要の調整を行って得た価格比較考量して決定するものとする。  借家権割合が求められる場合は、借家権割合により求めた価格をも比較考量するものとする。この場合において、前記貸家及びその敷地の1.から6.までに掲げる事項を総合的に勘案するものとする。

□ここでは、借家権の取引慣行があることを前提とした場合の、借家権価格の鑑定評価の原則を述べている。

借家権の取引慣行がある場合とは、借家権が市場において取引されている事実があるということを指しているが、現実には非常に限定的なケースであると考えられる。この原則に従って鑑定評価を行う場合は、最初に借家権の取引慣行の有無及び成熟の程度についての判断が必要となる。

「自用の建物及びその敷地の価格から貸家及びその敷地の価格を控除して得た差額」は、賃貸人及び借家人の双方の保有利益と考えられる。「所要の調整を行う」とは、この保有利益のうち借家人に帰属する経済的利益を適正に判定すること、すなわち、借家権として慣行的に取引の対象となっている部分を判定することをいうものである。

借家権割合は、借地権割合に比べ明確な形で顕在化していないのが一般的である。借家権割合は借家権の取引事例の分析等を経て初めて求められるものであり、安易に税法上採用している借家権割合を適用するようなことがあってはならない。

なお、飲食店舗等の営業用の建物についての借家権の譲渡においては、譲渡人が有する営業上の諸利益も併せて譲渡されることが多い。この場合の譲渡対価には、借家権の対価だけではなく営業権(いわゆる暖簾代)の対価、譲渡人が付加した造作の対価等も含まれていることが多いことに留意する必要がある。

借家権②→借家権の価格といわれているもの  

さらに、借家権の価格といわれているものには、賃貸人から建物の明渡しの要求を受け、借家人が不随意の立退きに伴い事実上喪失することとなる経済的利益等、賃貸人との関係において個別的な形をとって具体に現れるものがある。この場合における借家権の鑑定評価額は、当該建物及びその敷地と同程度の代替建物等の賃借の際に必要とされる新規の実際支払賃料と現在の実際支払賃料との差額の一定期間に相当する額に賃料の前払的性格を有する一時金の額等を加えた額並びに自用の建物及びその敷地の価格から貸家及びその敷地の価格を控除し、所要の調整を行って得た価格を関連づけて決定するものとする。この場合において当事者間の個別的事情を考慮するものとするほか、前記貸家及びその敷地の1.から6.までに掲げる事項を総合的に勘案するものとする。

□取引慣行がない場合にあっても、借家人が長年にわたって居住している場合において、賃貸人から建物の明渡しの要求を受け不随意の立退きを要することとなったときには、明渡しを要求する賃貸人と不随意の立退きをせまられる借家人間の衡平を図る観点から補償の原理に基づいて把握される経済価値を借家権価格として認識する必要がある。

基準では、こうした補償の考え方を取り入れ、前記のとおり規定したものである。

借家権価格は、借家人が事実上喪失する当該貸家に関する経済的利益の補償及び利用権の消滅補償の内容で構成され、移転費用等は不動産の経済価値とは直接関係ないので借家権価格に含まれないと考えられる。しかしながら、喪失することになる経済的利益を直接評価することは困難であり、補償においては、代替建物等との賃料等の差額分や移転費用等の借家人が代替建物へ入居する際に要する費用を基準に算定されることが多いことに留意が必要である。

また、高い収益性が確保されている貸家及びその敷地の場合、自用の建物及びその敷地の価格<貸家及びその敷地の価格となるケースがあり得ることにも留意が必要である。その場合は、「自用の建物及びその敷地の価格から貸家及びその敷地の価格を控除し、所要の調整を行う」方法は適用できない。プラスの家賃差額が生じている(現行家賃>適正家賃)場合には、賃貸人にとって明渡しを要求する合理的理由に乏しく、かつ、借家人にとっても賃貸を積極的に継続する意義が小さいため、借家権の鑑定評価を依頼されるケースは非常に稀である。

なお、賃貸人から建物の明渡しの要求を受けて借家人が不随意の立退きに応ずるときに事実上喪失することとなる経済的利益等、賃貸人との関係において個別的な形をとって具体に現れる価格は、賃貸人による貸家及びその敷地等と借家権との併合を目的とする価格と捉えることができる。このような場合、価格の種類としては限定価格と考えられるが、いずれにしても、個別性が強く、鑑定評価として求めることが相応しくないと判断した場合には、コンサルティング業務として対応すべきである。

また、定期建物賃貸借によるものは、期間満了により正当事由の有無を問わず明渡しがなされること、賃貸借期間の制限がないこと、賃料改定特約を定めた場合には借地借家法第32 条による賃料増減額請求に関する規定が適用にならないこと、借家人からの期間内の解約が制限される(居住用の場合は例外あり)こと、契約形式は書面によること等の特徴を有する。定期建物賃貸借契約においては、様々な特約が付されている場合も多いと考えられるので契約の内容に特に留意する必要がある。

総合勘案事項②(貸家及びその敷地)

1.将来における賃料の改定の実現性とその程度

2.契約に当たって授受された一時金の額及びこれに関する契約条件

3.将来見込まれる一時金の額及びこれに関する契約条件

4.契約締結の経緯、経過した借家期間及び残存期間並びに建物の残存耐用年数

5.貸家及びその敷地の取引慣行並びに取引利回り

6.借家の目的、契約の形式、登記の有無、転借か否かの別及び定期建物賃貸借(借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借をいう。)か否かの別  

7.借家権価格

鑑定評価を行うためには、資料を豊富に収集し、それらを比較検討することが大切です。

鑑定評価書の内容は、実質的に不動産鑑定士が自己の専門的学識と経験に基づいた判断と意見を表明するものです。

※アンダーラインを付した箇所は運用上の留意事項より抜粋

赤字の箇所は補足説明

字の箇所実務指針

①不動産鑑定評価、②相続対策、③借地と底地のトラブル解決、④価格・賃料相場等で頼れる専門家をお探しのお客さまは、当センターの無料相談をご利用ください。出張相談も可能です。必要に応じて、弁護士、税理士等の先生方と連携してサポートさせていただきます。

①財産評価、親族間売買、同族間売買、離婚時の財産分与、共有物分割、民事再生申立等

②遺産分割、生前贈与、相続税等の節税、相続不動産の有効活用

地代・賃料・借地料・更新料・建替承諾料・名義書換料、借地権・底地の売買

④土地価格の相場、家賃相場、地代相場等

ご相談・お見積り・解決策等のご提案はすべて無料サービスとして承っておりますので、どうぞお気軽にご連絡ください。※東京・埼玉・千葉・神奈川を中心に全国対応しています。

お役立ち情報

 お役立ち情報をご紹介しておりますので、参考にご覧ください。 

  • 不動産鑑定評価基準/運用上の留意事項
  • 不動産競売情報
  • 特殊な不動産の鑑定評価(更新料、底地、無道路地、高圧線下地等)
  • 相続対策
  • 借地権と底地(借地権の種類等)
  • マンション
  • 不動産取引等と税金
  • 不動産鑑定評価業務と税金(印紙税、譲渡所得税等)
  • 供託
  • 資産形成
  • 不動産投資/不動産担保ローン
  • 地域紹介/地価の推移
  • 土地区画整理事業専門家相談事例回想録

不動産のことは専門家に相談するのが無難ですね。

※新型コロナウイルス感染症対策として、Zoomミーティングを活用したご相談にも対応しています。

お電話でのご相談は下記へ

03-6555-2375

03-6869-4526
営業時間
10:00~18:00
定休日
無休(土日祝も対応)
✉メールをご利用の場合は下記をクリックください。

※遅くともメールいただいた翌日にはご返信しております。メールが届かない場合、迷惑メールフォルダに紛れ込んでいることがありますのでご確認ください。

Zoomミーティングによるご相談は下記をクリックください。