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不動産専門家相談センター東京
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各論
第1章 価格に関する鑑定評価
第4節 特定価格を求める場合に適用する鑑定評価の手法
Ⅰ各論第3章第1節に規定する証券化対象不動産に係る鑑定評価目的の下で、投資家に示すための投資採算価値を表す価格を求める場合
この場合は、基本的に 収益還元法のうちDCF法により求めた試算価格を標準とし、直接還元法による検証を行って求めた収益価格に基づき、比準価格及び積算価格による検証を 行い鑑定評価額を決定する。
□対象不動産の収益力を適切に反映する収益価格に基づいた投資採算価値を表す価格を求めるためには、標準的な投資家の価格判断の考え方をもとに鑑定評価の手法を適用する必要がある。
□標準的な投資家は、開示される資産流動化計画等の対象不動産の運用計画に基づく一定期間の保有による収益と転売による収益を投資採算価値の判断の基準としていると考えられる。また、基準各論第3章の適用対象となる証券化対象不動産の鑑定評価においては、より詳細な調査と判断過程の明示が必要とされている。
したがって、この考え方に沿ったDCF法により求めた試算価格を標準として鑑定評価額を求めることが適切である。
直接還元法による検証に当たっては、単に求められた試算価格を比較するのみでなく、その過程における収益、費用、利回り等についての妥当性についても相互に確認を行う必要がある。
□投資採算価値は、投資という視点から判断するものであるので、利回りの査定に当たっては、国債等投資対象として比較検討される他の資産とのリスクの程度と利回りの開差との関係にも留意が必要である。
Ⅱ 民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、早期売却を前提 とした価格を求める場合
この場合は、通常の市場公開期間より短い期間で売却され るという前提で、原則として比準価格と収益価格を関連づけ、積算価格による検証を行って鑑定評価額を決定する。な お、比較可能な事例資料が少ない場合は、通常の方法で正常価格を求めた上で、早期売却に伴う減価を行って鑑定評価額 を求めることもできる。
□早期売却を前提とした価格を求める方法として二通りあげられている。
一つは、正常価格の前提となる市場の要件のうち、市場公開期間を短期とした市場を前提として、各手法を適用して試算価格を求める方法である。原価法は、取引事例比較法や収益還元法に比べ、市場公開期間が短いことによる影響の反映の精度が一般的に劣ると考えられるため、検証の位置づけにとどまっている。
一方、比較可能な早期売却事情のある取引事例等が得られない場合には、取引事例比較法や収益還元法の適用が困難であるので、正常価格を求めたうえで、別途早期売却に伴う減価を査定して鑑定評価額を求めることもできる。
なお、対象不動産の最有効使用が建物等を取壊すことと判断される場合の建物等の取壊し費用は、早期売却による減価の対象とならないことに留意する必要がある。
また、早期売却に伴う減価の査定に当たっては、転売目的の市場参加者を想定した取得採算価格(転売予測価格(正常価格)から転売までの期間に対応した費用と利潤を控除して求める価格)も有効な検証手段として考えられる。
Ⅲ 会社更生法又は民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、事業の継続を前提とした価格を求める場合
この場合は、原則として事業経営に基づく純収益のうち不動産に帰属する純収益に基づく収益価格を標準とし、比準価格を比較考量の上、積算価格による検証を行って鑑定評価額を決定する。→企業不動産、事業用不動産
□事業の継続を前提とした価格を求める場合は、前提となる現在の事業を継続した場合に得られる収益に基づく価値はいかほどか、という観点を中心に鑑定評価額を求める必要がある。
したがって、現在の事業から得られる事業収益に基づく収益価格を標準として求める。同業種の事業の用に供されている不動産に係る取引事例等が把握できる場合には取引事例比較法の適用も可能であるが、収益価格に比べその精度が一般に劣る。原価法の適用に当たっては、現在の事業を継続することが対象不動産の最有効使用ではないこともあるので、敷地については土地としての最有効使用との格差、建物については有効活用の程度等に留意する必要がある。また、当該事業に係る業界の動向等についても十分考慮する必要がある。
□投資採算価値については、「証券化実務指針」参照。
□民事再生法及び会社更生法に係る特定価格については、「倒産手続における不動産の鑑定評価上の留意事項」参照。
□特定価格を求める評価目的に対応した適用手法について、求める価格の性格とあわせて依頼者に説明し、理解を求めることが必要である。
鑑定評価を行うためには、資料を豊富に収集し、それらを比較検討することが大切です。
鑑定評価書の内容は、実質的に不動産鑑定士が自己の専門的学識と経験に基づいた判断と意見を表明するものです。
※アンダーラインを付した箇所は運用上の留意事項より抜粋
※赤字の箇所は補足説明
※青字の箇所は実務指針
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