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103-各論第2章賃料に関する鑑定評価第1節宅地⑥Ⅱ継続賃料を求める場合(ⅳ)

各論

第2章 賃料に関する鑑定評価

(第1節のつづき)

3.契約上の条件又は使用目的が変更されることに伴い賃料を改定する場合

契約上の条件又は使用目的が変更されることに伴い賃料を改定する場合の鑑定評価に当たっては、契約上の条件又は使用目的の変更に伴う宅地及び地上建物の経済価値の増分のうち適切な部分に即応する賃料を前記2.(継続中の宅地の賃貸借等の契約に基づく実際支払賃料を改定する場合)を想定した場合における賃料に加算して決定するものとする。

この場合においては、前記2.に掲げる事項(総合勘案事項③(継続賃料))のほか、特に次に掲げる事項を総合的に勘案するものとする。

総合勘案事項④(継続賃料)

(1)賃貸借等の態様

(2)契約上の条件又は使用目的の変更内容

→契約条件又は使用目的変更により、どの程度、最有効使用の阻害の状態が緩和されるかについて、近隣地域の標準的使用とも関連づけることにより、変更に伴う経済価値増分を把握することが肝要である。

(3)条件変更承諾料又は増改築承諾料が支払われるときはこれらの額

→建物等の増改築を制限する旨の借地条件を変更する場合、又は非堅固建物所有目的から堅固建物所有目的に変更する場合等において、宅地、地上建物の最有効使用の程度が上昇すると、それに即応して宅地、地上建物の経済価値も増大する。そこで、当該経済価値の増分を借地人のみならず土地所有者(地主)にも適正に配分することが妥当である。すなわち、経済価値増分のうち貸主に帰属する部分を適正に判定しその部分に即応する賃料を前記1によって求められる改定賃料相当額に加算し、かつ上記3事項を勘案して鑑定評価額を求めるのである。

□契約上の条件又は使用目的が変更されることに伴い賃料を改定する場合とは、非堅固の建物所有を目的とする借地権を堅固の建物所有を目的とする借地権に変更する場合や、住宅用の建物を建築することを目的とした借地契約を、店舗兼住宅用の建物を建築することを目的とした借地契約に変更する場合等である。この場合において、実際支払賃料のみならず条件変更承諾料、建替承諾料等の一時金の授受を考慮した実際実質賃料又は実際支払賃料の改定を依頼されることがあるので、条件に即して継続賃料を適切に求めなければならない。

・賃貸借等の態様

当該宅地の賃貸借等の契約が借地借家法又は廃止された借地法(以下「旧借地法」という。)の適用を受けるものであるか否か、書面による契約であるか口頭による契約であるか、登記されているものであるか否か、転借か否か等によって借地条件の変更に著しい影響を与えるので注意する必要がある。

・契約上の条件又は使用目的の変更内容

賃貸借等の契約において、建物等の増改築の禁止の特約又は建物等の用途、構造等の定めがあり、当該宅地の最有効使用を阻害しているときは、借地条件等の変更に伴う経済価値の増分を把握する必要がある。

・条件変更承諾料又は増改築承諾料が支払われるときはこれらの額

旧借地法が適用される借地権の場合、非堅固の建物所有を目的とする借地権を堅固の建物所有を目的とする借地権に変更することによって、借地権者にとっては、より高度の利用が可能となる一方、借地権設定者にとっては賃貸借の契約期間の長期化により、更地への復帰の可能性が減退することとなる。借地権者は利益を受け、借地権設定者は不利益を受ける結果となる。

この借地権者と借地権設定者間の利益調整を図るため、一時金として条件変更承諾料が支払われることがある。

また、建物等の増改築についてこれを制限する旨の借地条件を変更して緩和する場合において、一時金として増改築承諾料が支払われることがある。

これらの一時金は、実際支払賃料に影響を与えることとなるのみならず借地権の価格を構成する要素となることに留意する必要がある。

鑑定評価を行うためには、資料を豊富に収集し、それらを比較検討することが大切です。

鑑定評価書の内容は、実質的に不動産鑑定士が自己の専門的学識と経験に基づいた判断と意見を表明するものです。

※アンダーラインを付した箇所は運用上の留意事項より抜粋

赤字の箇所は補足説明

字の箇所実務指針

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