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(2)本件従前地の地歴
本件事業開始時において本件従前地の一部は、別添概略図(甲5)に示すとおり○○○○における「○○○○○」○○○○○○を祭神とする神社(以下「本件神社」という。)境内地(甲6)であった。
本件神社は、約○○○○年前、○○○○○○、○○○○○○、○○○○○○等が主体となり建立したものである。
また、その境内地は、○○○○○○を原資として取得した、いわば、「○○○○」であり、土地区画整理法第95条に規定される「特別の考慮」を払うべき対象である。
原告は、概略図(甲5)に示すとおり、本件神社の尊厳が著しく損なわれてしまった経緯及び因果関係、すなわち、本件仮換地が何故に○○○○○○なければならなかったのか、先祖伝来の本件神社境内地及び鎮守の森喪失原因を究明するために、被告に説明を求め、資料請求を行うようになった。※鎮守の森とは、社殿を囲む森林部分を指し、神社においては神の宿る場所として大変重要とされる。
なお、本件神社建立の経緯等は、被告が○○○○年に編纂発行した「○○○○○○」(国立国会図書館所蔵)(甲7)や同じく被告が○○○○年に編纂発行した「○○の人物」(○○○○○○立図書館所蔵)(甲8)、「○○○○○○の伝説」(○○○○○○立図書館所蔵)(甲9-1)、「○○○○○○歴史探訪」(○○○○○○立図書館所蔵)等(甲9-2)に詳述されている。
(3)本件事業の経過(組合から承継後)
○○○○年○月○日 都市計画決定
○○○○年○月○日 事業計画告示(○○○○年終了予定)
○○○○年○月○日 仮換地指定処分(甲4)
○○○○年○月○日 立木補償契約(甲10)
○○○○年○月○日 使用収益開始(甲11)
○○○○年○月○日 前主他界
○○○○年○月○日 第○回事業計画変更
○○○○年○月○日 旧基準地積による清算指数計算書受領(甲12)
○○○○年○月○日 基準地積更正に係る誓約書受領(甲13)
○○○○年○月○日 本件従前地地積更正登記完了(甲3)
○○○○年○月○日 基準地積更正及び清算指数再計算申請(甲3)
○○○○年○月○日 新基準地積による清算指数計算書受領(甲14)
○○○○年○月○日 損害賠償請求(甲1)
○○○○年○月○日 賠償金支払拒絶通知受領(甲2)
○○○○年○月終了予定※現在被告が公表している見込み(甲15)
(4)緊急性、必要性を欠く本件事業(被告の大失策)
ア 被告の説明によると、本件事業は、○○○○年代に組合施行として開始されたものを一向に進展しない状況に業を煮やした被告が○○○○年に引き継いだものであり、上記事業経過(遅延化、長期化の事実及び実に○回もの事業計画変更)からも明らかなように戦災復興や震災等の災害復興に係る緊急を要する必要性から計画されたものでない。
イ また、事業計画書(甲16)には、宅地需要の増大に伴うスプロール化対策として本件事業を行う旨が記されているが、一般的に、人口減少が見込まれる先進国では中心部以外の周辺部は便益の将来性が必ずしも長期ではないと考えられるため、区画整理は公権力がするべきものではないとされる。事実として、日本の総人口増減率は、1970年代半ばから急速に低下し始め、近年はマイナス圏で推移することが常態化している。これからの50年で急激な人口減少と高齢化の時代に入るとされており、これらの推移動向は、○○○○区市町村においても同様である。
ウ 「都市計画運用指針(H12.12 建設省(現国土交通省)(甲17)」においても、こうした社会経済情勢の下、土地区画整理事業の計画見直しについて、検討の必要性が示され、一体的に整備すべきとまで判断されない区域が含まれる場合には当該区域を除外する等の見直しもあり得るものであり、これまでの運用において、市街地開発事業の都市計画の見直しについてあまりにも慎重すぎたきらいがあるとされており、これは、国が都市計画行政における判断の遅れや軌道修正の時期を見誤った事実を認めたものと解される。ちなみに、隣接する○○区市町村は、○○○○年代に都市計画決定された土地区画整理事業を時代の変化に対応し必要性がなくなったことを理由に廃止した。(甲18)
エ これに対して、本件事業地域(甲19)のように中心駅から○キロメートルも遠く離れた農家集落地域で、宅地需要が増大する等という非現実的で重大な見込み違いをし、組合から継承してまで事業を敢行した被告の愚策には言葉もない。
オ 本件事業地域の大部分では、工事完了に伴う使用収益開始から既に10年以上が経過しているため、本件事業の効果は発現済みといえる(ただし、被告は、「工事概成時」は未到来としている。)。すなわち、事業計画書に掲げられた本件事業の成果である筈の環境改善、利便性の向上等は既に顕在化していなければならない。しかしながら、未利用地や非有効使用地が散見される有様で、また、○ヶ所に新設された児童公園も低利用が続いており(そもそも少子化だから子どもがいない。)、ゴミ捨て場と化している公園すら存在する(甲20)。これらの現象は、被告が事業計画に定めた将来予測が誤りであったことを露骨に物語っている。いうまでもなく、これらの土地は地権者の貴重な土地を減歩することにより生み出されたものであり、被告は断罪されるべきである。
カ また、本件事業の目玉とされる○○○○線(以下「○○線」という。(甲19、甲21))の整備は、最小限の用地買収や計画的な代替地取得で十分対応できるものであった。区画整理のような一体整備事業は不要だったのである。それにもかかわらず、被告は、合理性や予測の不確実性を顧みることもなく高度成長期の残影を追い求め闇雲に都市計画を推し進め、不必要な広域化により、○○線の利便性を享受し得ない居住者等まで巻き込み、公権力を楯にした事実上の強制立ち退き(強制的同意徴取による換地不交付)や抵抗者に対する直接施行等を含め地域住民等に多大な犠牲を強いた。
キ 本件従前地のように、本件事業区域の○端で○○線から500~600mも離れ、古くから○○○線(甲19、甲24)が整備され、居住環境が整っていた地域まで事業区域に含めたことに合理性や必要性は見出せない。このことは、○端地域についても同様で、○○○線沿いの地権者や○○○○線沿い(甲19、甲23)の一部地権者(○○線の遠隔地権者)等に本件事業による受益は皆無である。
ク なお、○○線の整備は、本件事業地域内での整備を終えた段階で久しく頓挫しており、開通には至っていない。この未開通部分は用地買収方式で進める旨が公表されているが、各権利者間の境界確定も未だ進んでいない状況で、施行者である都道府県もその緊急性や必要性を疑問視している故の遅延と思料され、○○○○バイパスの実現は暗礁に乗り上げている。
ケ 以上のとおり、本件事業は、その緊急性、必要性を著しく欠き、誤った将来予測を無謀に推し進めたものであり、その背後で理不尽にも多数の犠牲者を出し、また、莫大な血税投入や当初の公約である筈の事業期間の大幅超過等被告は大失策を犯したものといわねばならず、その責任は極めて大きい。
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