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〇〇〇年(〇)第〇〇号
原告 〇〇〇〇
被告 〇〇〇
〇〇地方裁判所第〇民事部御中
〇〇〇年〇月〇日
準備書面(2)
〇〇〇都道府県○○区市町村〇〇〇丁目〇番〇号
原告 〇〇〇〇
訴訟代理人弁護士 〇〇〇〇
1 平成26年2月14日付答弁書に対する反論
(1)P1について
① 経済的不利益は適法な行政処分においても生じうるものである。それを全体の負担とするために設けられているのが憲法で規定された財産権の保障を具体化する損失補償制度である。なお、違法な行政処分に対しては損害賠償請求権が認められている。
② 審査請求権の不行使については後述する。
③ 違法行為の特定については訴状の第2請求の原因中6項、7項に記載のとおりである。被告は、訴状を最後まで読まずに答弁書を提出したものと思料される。最後まで読み終えれば違法行為が特定されていることは誰の目からも明らかであるが、端的に言うと、〇〇〇年〇月〇日付で被告が下した前主に対する仮換地指定処分(本件処分)及びそれによる違法状態の放置である。
④ 損害賠償請求に対する支払拒否の事実は認め、その余を否認するとは、損失補償請求や不当利得に対する支払には応じる可能性があるとの趣旨か明確にされたい。
(2)P2について
① 概略図は本件処分前の住宅地図(甲40)の表示を参考に作成したものである。〇〇〇〇の塀(ブロックではない。)にはドアではなく引き戸を設け通路の用に供していた。
② 乙第1号証の写真は今年の1月に原告が行った樹木剪定後の残材を撮影したものと思料する。原告は、このように、僅かばかり残された鎮守の森を管理し、神社の尊厳維持を図っているのである。荒れ放題か否かは個人の主観の問題である。また、被告が国家のために壮絶な最期を遂げた英霊に対し鎮守の森ではない、尊厳はないなどと侮辱的な言動をとっていることは遺憾であると同時に、その良識を疑わざるを得ない。仮に、現状が被告らの主観のとおり鎮守の森とは言えない、荒れ放題だとしても、その根本原因が本件事業(本件処分及び後述の契約違反等)、つまり施行者である被告側にあるというのが本訴えにおける原告の主張なのであるから、本末転倒であり、被告らが同写真を証拠として提出した意図が不明である。現状が荒れ放題であることを訴えても、それは被告自ら己の首を絞める行為(これについても後述する。)であり、被告が行った違法行為は治癒されない。言うまでもなく、原告が問題提起した照応の原則適否に係る判定基準時は仮換地指定時である。その後の利用状況やその際に地権者がどのような将来計画及び希望を有していたかは同適否に係る判断要素ではなく、従前の利用状況を確保できるか否かにより判断するものである(土地区画整理事業運用指針(国土交通省))。
本件処分の数年後、鎮守の森の大半は被告に買収された(甲10)。買収された樹木の種目、寸法、数量等は別紙一覧表のとおりである。ヒノキ、スギ等良質なものが大量に含まれおり、長期にわたり適切な管理が行われてきた事実を物語っている。樹木群の質、量から判断しても本件処分時において鎮守の森は立派に存在していたことが証明される。参考として、戦前と思われるかつての本件神社の写真(甲41)を提出する。これと本件処分時も変わらぬ維持管理がなされていたものと思料する。
③ なお、乙第2号証の要望書については、これが前主のものであるとしても、先に被告から祠のひさしがはみ出てしまうかのような信じ難い仮換地案((甲42)以下「当初案」という。)を突き付けられ、当初案は適法適正に作成されたものと盲信(誤信)したことにより、四代にわたり百年続いた従来の神社維持が限界を迎えたことを悟ったうえで提出したものである。前主は、いわゆるお上(被告)から提示された当初案の適法性を信じて疑わなかった。つまり、絶対的であるお上が作成した当初案に対し、半ば従来の神社維持を断念せざるを得なかったのである。生前、前主は、毎年祭神の命日には祠の清掃やお供えを欠かさず、また形見として残された遺影や軍服を大切に管理していた。公正証書(甲43)にあるとおり、後世に可能な限り末永く神社維持を継承して欲しいとの願いを託し他界したのである。区画整理という偶然の事象によって先祖伝来の神社が否応なしに縮小され、宅地化されることを望む者などいるだろうか、いるわけがない。お上の当初案をまさか杜撰で違法なものだとは露知らず、適法適正なものと信じ込んだことにより、せめて祠を中心にこの程度の土地は残して貰いたいとの意思表示を具体化したものが同書面に手書きされた図案(以下「妥協案」という。)で、お上に認められるよう当初案に最大限配慮し、画地規模を極力控えめにして懇願したのである。ましてや、理由付け等は全く意味を持たない。お上に認められるようお上が掲げる区画整理のスローガン(宅地利用の増進)に沿う受けのよさそうな文言を添えたに過ぎない。このことは、祠を中心に据えて、その周囲に四方均等となるよう最低限のスペースを確保できるよう事細かな指定をしていること、各画地が公道に接するよう配置するのは区画整理の原則で要望するまでもない事項であること、また、本気で宅地化する気ならもっと良い分割案(地形)がいくらでも考え得る(少なくとも妥協案から宅地化構想は微塵も窺えない)ことからも理解されよう。もっとも、地権者の将来計画は既述のとおり照応の適否とは無関係である。
話が戻るが、そもそも被告は、当初案の根拠、すなわち、土地評価や地積の問題等、何故にこれ程土地が縮小かつ歪(いびつ)にされなければならないのか、それを回避するにはどうすべきか等を前主が理解するよう、情報提供を行ったり、助言したりといった誠意のある説明義務を果たさなかった。しかも、前主の妥協案に対し、その1年後、唐突に拒絶通知を送りつけ、矢継ぎ早に本件処分を下した。いやしくも被告は区画整理のプロで地権者に比して圧倒的に有利な立場にある。前主が知識に乏しいことをいいことになすべき義務を怠った、あるいは意図的に義務を果たさなかったのは重大な義務違反かつ信義則違反である。以前、Hは、すべての地権者から同意書をとって仮換地指定を行ったと説明していた。前主も同意していたなどと平然と嘘をついて原告を丸め込もうとした。まったくのはったりであることは最初から見え見えであったが、その証拠となる書面を見せるよう要求すると用意しておくと言ったものの、最後には見つからなかったと謝罪した。なお、念のために付け加えておくが、地権者の同意も照応適否の判断要素ではない。
以上のとおり、前主には本件処分の違法性を主張する手掛かりや情報が全く与えられていなかった(他の地権者も同様であったろうが、路線価評価の詳細な根拠等は一切不開示であった。執拗に要求し続けた原告に対してさえ不開示)のであるから、被告が審査請求権の不行使を主張するのは信義に反する。不満があっても何をどうしたらよいのか素人には皆目見当がつかなかったというのが実情であろう。決して本件処分(本件仮換地)に満足して歳月が流れたわけではない。妥協案に込められたものが前主のせめてもの願いであった。ただし、これは違法な土地評価及び違法な旧基準地積に基づく当初案を適正なものと盲信し、これに迎合し最大限の配慮(遠慮)を加えたうえで描いたものであるから、その意味においては真意とはかけ離れたものである。
④ なお、南西側の宅地化については、そもそも妥協案と本件仮換地は地形が大きく異なる。被告は、せめてもの願いであった妥協案を無視した上に、換地は長方形を標準に街路に直角に定めるという換地設計基準(甲44)の原則までも無視し、著しく不整形な仮換地を一方的に押し付けた。祠の周囲のスペースは確保されず、左右対称のバランスも失い、しかも南西側に醜く突出した歪(いびつ)な地形を強制的に押し付けられたのである。そして、20年近く経過した後(つまり従来の神社維持を断念させられた後)に、当該いびつな部分を切り離し宅地化したものである。この間、前主にはすべて違法な路線価や違法な基準地積に起因するものだと疑念を抱かせる端緒すら与えられていない。もっとも前主は被告を信じて疑わなかったのである。違法行為を行っておきながら、前主の不知につけ込み審査請求していないことに非があるような主張をするところに被告の本性(背信性)が滲み出ている。法的知識の欠如や情報不足から審査請求を行わなかったとしても、前主の信頼を裏切った被告の帰責性の方が遙かに大きい。
⑤ 組合設立の事実について否認しているが、原告が組合設立の事実を主張したことはない。被告が組合施行として始まった旨の説明を行ったことから、「組合から承継後」と表記しただけである。なお、被告からは「今までの経過」と題する資料(甲45)の交付を受けている。原告は、同資料や被告の説明をもとに、本件事業は事実上組合から承継したものと判断している。
⑥ 仮換地指定日については記載を誤ったものと認める。
⑦ 甲第13号証は誓約書ではないと指摘する趣旨が不明であるから釈明を求める。誓約書と表記したのは、その実質的な意味を考慮し、地積更正登記完了という条件成就により、被告は基準地積を更正する誓約をしたといえるからである。
⑧ 甲第14号証は、現在の基準地積を単純に地積更正登記後の地積に入れ替えて算定したもので構わないという原告の了解を得て作成したものであるとの主張については、甲第14号証の重みづけを否定したいとの意図が見え隠れするが、これも趣旨が明確ではないので説明を求める。
なお、この書面の作成を依頼した際には、従前のもの(甲12)との矛盾がないようにと注意を促し、また授受に際しても当該矛盾なく作成したものか否かを確認しただけで、原告は被告が主張する上記の了解など一切していない。甲第14号証は、あくまで被告自身が補正率等は従前と比べ変化が軽微であるから修正不要と判断したうえで作成したもので、原告は単にこれを受領しただけである。単純に数字を入れ替えるだけなら小学生でもできる計算であり、わざわざ文書(甲3)を提出してまで依頼する必要などない。
また、依頼した際、被告からは慎重に検証して作成する必要性があるという理由で一ヶ月の猶予を求められた。入れ替えだけならその場でできる。繰り返すが、単純に数字を入れ替えるだけで問題ないと判断したのは被告で、その判断に原告は一切関与していない。矛盾なく作成するよう、つまり恣意的な評価や杜撰な評価は懲り懲りであるから、従前の個別評価(甲12)が適正に作成されたものであるならばそれと整合する適正な評価を行うよう念押ししただけである。事実の記載が不適切なのは被告の方である。
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