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土地区画整理事業/専門家相談事例回想録‐015

お客さまからご相談いただいた、ある土地区画整理事業の事件概要をご紹介します。掲載にあたっては、お客さまのご承諾をいただいております。

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〇〇〇年(〇)第〇〇号

原告 〇〇〇〇

被告 〇〇〇 

〇〇地方裁判所第〇民事部御中

〇〇〇年〇月〇日 

準備書面(3)

〇〇〇都道府県○○区市町村〇〇〇丁目〇番〇号

原告 〇〇〇〇

訴訟代理人弁護士〇〇〇〇

1 審議会及び評価員への個人情報漏洩について

〇〇〇年〇月〇日に開催された本件事業に係る審議会及び評価員合同会議において、被告は、原告の同意を得ることもなく本訴えに係る個人情報を漏洩した(甲49)。被告には当該情報を外部提供する権利はおろか義務すらない。また、本訴えに対してすべて適法適正に業務を行ってきた旨の反論を法廷で繰り返している事実に照らしても、本件外部提供の必要性は生じ得ない筈であるから、もはや正当な職務行為とは到底いえない背信的違法行為である。

そして、審議委員や評価員からの質問攻めに遭い、被告はただひたすら事態の収拾に追われる破目となった。まったく愚行としか言いようがない。肝心な情報はいくら請求しようとも頑なに拒み続ける一方で、開示権限もない個人情報をいともたやすく漏洩してしまうあたりが公僕としての資質の低さを窺わせる。日頃から被告のコンプライアンスの欠如により○○区市町村民の法益が如何に犠牲にされているか、この一件からもお分かりいただけよう。この騒動は被告の単なる軽率さ、思慮不足にとどまらない根本的な遵法精神の欠如(積極的、意図的法令無視)を象徴する事件と言える。繰り返すが、すべてを適法適正に行ってきた自負があるならば、いかなる訴えを起こされようとも事業遂行上何ら支障はなく、これを周知する必要もない筈である。このように被告の言動には常に論理的な矛盾が見られる。不法な個人情報漏洩について参考とすべき判例を掲げておくので一読されたい。(東京高裁平成19年2月14日判決、名古屋高裁平成20年5月13日判決)

2 前回の補足

(1)容積率等について

① 路線価はあくまで各路線に接する標準画地(本件地前面路線の場合間口20m×奥行25mの矩形の画地)の価格である。本件地は大規模地であり、仮に容積率等を変更してもその変更が及ぶ範囲は全体の一部、すなわち道路境界から奥行25mの範囲に限られ、背後の部分には及ばない。被告が算定した整理後路線価に容積率等の変更を加算要素として織り込んでいるとしたら、整理後個別的要因補正においてはその分が減額されていなければならないが、現行ではこの点につき何ら減価処理がなされておらず、論理的整合性を欠くものである。

② 本件基準(甲27)上、「u」は「宅地に対する建築物の容積的利用可能度」と定義されていることから、これまで鑑定理論的な観点から「容積率」の法的可能性について論じてきたが、別の視点から以下補足する。

ア 本件基準は、昭和25年建設省通達「宅地利用増進率算定標準(以下「算定標準」という。)」を基に作成されたものであろう。

イ 本件基準及び算定標準は、「u」の上位概念である「宅地係数」を「宅地自身の持つ利用状態、・・・」と定義している点では共通しているが、「u」の定義においては異なる。

ウ 算定標準上「u」は「宅地に対する建築物の容積的利用の程度」から考慮するものとされ、上位概念「宅地係数」の「宅地自身の持つ利用状態、・・・」との定義と整合している。

エ 本件基準においては、宅地係数の定義に反して、「u」の値を容積率の上限値に基づく法的可能性に手直しし、それを価値尺度として評価している点は次のとおり不正である。

明らかに不合理な土地利用をしている場合を除き、あくまで現実の利用状態を基準に価値判定すべきであり、仮に机上操作で容積率や建蔽率を変更したところで当該変更に追随する土地利用の実態(土地利用の状態)が見受けられなければ価値は変わらないのである。このことは前回までに述べてきた論旨と同じであり、算定標準の解釈規範とされるところである。

オ よって、被告の行った評価は、需要のないところに不要なサービス(法的に可能な容積率や建蔽率)を押し売りし、代わりに金品を強奪したのと同じである。

カ 本件地前面路線沿道においても、仮に容積率や建蔽率の変更をしたところで土地利用の状態に変化がない以上、算定標準の解釈規範に照らしてもこの点での受益はない。

(2)F(P)について(被告はこれについても一切黙秘を継続しているので原告の行った検証(推測を含む。)内容を述べる。)

① 算定標準では、F(P)=(1+0.2P1/2)/(1-ξP)とされ、本件基準はこれと一部異なり、F(P)=(0.5+0.1√P)/(1-15dP)と手直しされている。これが地域特性を考慮した上での手直しであるのか否かは説明拒否により不明である。

② 両者の相違は、次のとおりである。

ア 分子の値が本件基準では算定標準の1/2となっている。

イ 分母における1から控除するPの係数が算定標準ではξ(公共空地配置密度)であるのに対して、本件基準では15にd(公共空地配置密度=4m以上の街路延長/計算区域面積)を乗じた値とされている。

ウ 一般的にdの係数は5とされており、Pとdは概ね比例して変化するものと考えられることから、本件基準は、F(P)のPやdに対する弾力性が非常に大きくなるよう手直しされていると言える。

エ 公共空地配置密度算定上の基礎となる街路延長について、算定標準は6m以上のものを対象としているのに対し、本件基準は4m以上のものを対象としている。

③ これらの手直しの妥当性は被告の釈明を待つこととするが、各採用数値の算出過程等について次のとおり検証した。

ア Pの値は整理前において「0.081」とされているが、これは事業計画書(甲16)より公共用地27,363.10(㎡)/事業区域全体336,621.41(㎡)の算式により計算され、小数点以下第4位を四捨五入して求めたものと推測する。整理後は「0.250」とされており、これも同様の計算によるものと推測される。なお、本件事業区域を囲む幹線道路等の大部分は事業区域外とされていることからP値計算の基礎には何ら影響を及ぼすことはない(注1)。このことが後述の全体平均値採用の弊害と相俟って不適正評価の一要因となっている。

(注1)本件事業区域は整理前から四方を幹線道路等に囲まれているが、当該幹線道路等のうち大部分は本件事業区域に含まれていないことから「公共用地」や「計算区域」の面積には含まれず、Pやdの計算にはまったく影響を及ぼさない。しかしながら、現実的にはこの隣接道路がその付近の宅地の防火保安性向上に最も大きく寄与していることは厳然たる事実である。整理前後の防火保安性を対比する上で、隣接道路の果たす役割、貢献度を度外視することは整理前から各宅地が持つ防火保安性を存在しないものと仮定するのと同義で、適正な防火保安性変化率を算出することはできず(新設街路等の比重が過大となり、変化率は過大に算出される。)、また、その点を修正する措置もなされていないことから、Pの値は防火保安性を反映する算式の適正な基礎値とはなり得ない。

そして、本件地のような隣接道路沿いの辺境区域においては、P値及び次に述べるd値に内在する不当性に前記②ウの手直しによるレバレッジ効果が加わり、後述の全体平均値採用の不当性がさらに拍車をかけることで、実態とは大きくかけ離れた不実の受益が計上されているのが現状である。

イ dの値は整理後においては、「0.026」とされており、事業計画書から幹線道路及び区画街路(第54号線除く。)の延長計8,893(m)/事業区域全体336,621.41(㎡)の算式により計算され、小数点以下第4位を四捨五入して求めたものと推測する。なお、幹線道路延長では事業区域と接する部分を一部除外(注2)しており、このことが後述の全体平均値採用による弊害と相俟って不適正評価の一要因となっている。

(注2)ここでも、前記(注1)の趣旨が当てはまり、dの値は防火保安性を反映する算式の適正な基礎値とはなり得ない。

一方、整理前においては「0.017」とされており、これは根拠データ不開示のため詳細な検証は困難であるが、事業計画書の数値から逆算すると、4m以上の街路延長は事業区域全体336,621.41(㎡)×0.017の算式により、約5,723mと計算される。これは、整理前路線価計算書(甲30)から判断される幅員4m以上の街路延長とは明らかに大きな隔たりがあり、全体平均の観点からは地権者側に有利に設定されていると見る余地があるものの、評価は“個々に”適正な受損益を反映させるべきという本来目的から考えれば適用上問題ありというべきである。

実際問題として被告がこの根拠データを紛失し検証不能という事態となれば、推測するより他に手がないわけであるが、考え得る想定としては整理前路線のうち狭隘なもの(4m未満のもの)をすべて4mとみなしたということが挙げられる。先般、本件基準の宅地係数の算式が地域特性の観点から本件事業区域に適合しない旨の指摘をしたところだが、この想定が農地地域に不適合な算式を無理矢理当てはめるための裏技、あるいは苦肉の策ではないかと考えられる。整理前後の路線図を俯瞰した限りでは、この想定も全く見当外れとは言い難いが、真相は藪の中である。

④ 算定標準の解釈規範上、公共空地率(P)や配置密度(ξ(d))は一つの地区でも性質の異なった区域がある場合はそれぞれ別々に計算することとされている。

⑤ これに対し、被告は事業区域全体について、公共空地を除く宅地には均一に建物が建蔽され、この宅地部分は失火の習性、延焼速度は均一(計算区域=事業区域全体)という非現実的で余りにも緻密さを欠く精度の低い条件を前提にP及びdを算出し適用した。この前提がいかに実態から乖離し、各路線価ひいては個々の土地評価の客観性、公平性を損なっているかは説明を要しないであろう。整理前後の状態から合理的に判断し、区域を分けて適正なF(P)を計算すべきである。

⑥ 本件地北側隣接街区は整理前後とも4m街路のままで、本件地についても整理前から県道に接しており、本件事業の街路整備等とは無縁である。また、背後の緑地帯はもともと存在していたものを被告が減歩により管理下においただけであり、“本来の”P、dに整理前後で変化はなく、受損益格差は生じていない。それにもかかわらず、不当なP、dに基づくレバレッジの利いた全体平均値を押し付けられ、存在しない不実の受益が計上されたのである。

※緑地帯については、整理後においてのみ公共用地の一部としてPの加算要素とされ、整理前から存在していた事実をまったく勘案していない処理は妥当性を欠くものである。

⑦ さらに注目すべき点は、算定標準解釈規範上、公共空地の配置密度は消防自動車の活動可能範囲に限定するため、幅員6m以上の街路延長とされているのに対し、本件基準は被告の手直しにより4m以上とされている点である。

本来であれば、相対的に大きな受益を受ける6m以上の新設街路沿道地権者が中心となり負担すべき部分を、従来より4m街路に囲まれたままの区域や街路整備の影響を受けない辺境区域の地権者が共同で、しかも同率で負担させられているのである。これは、客観性、公平性及び受益者負担の原則を損なう不正評価に他ならない。

⑧ 以上を整理し簡潔に表現すると次のとおり集約され、結論としては、被告の行った評価は各土地の整理前後における適正な防火保安性格差を反映するものではない。

ア P及びdが適正な基礎値として算出される前提条件を欠き、また、その修正措置もないこと

イ P及びdの弾力性が非常に大きくなるよう算式が手直しされていることウ 上記ア及びイより、不適正な基礎値を不当な算式に適用することで、著しいレバレッジ効果による過剰な受益(過剰な防火保安性の向上)を計上するものとなっていること

エ 実態無視の全域一律扱い(現行では、都市計画道路〇〇〇線沿線も本件地のような辺境区域も同率負担となっており、甚だしい不公平性、受益者負担原則の無視が顕在化している。)

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