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お客さまからご相談いただいた、ある土地区画整理事業の事件概要をご紹介します。掲載にあたっては、お客さまのご承諾をいただいております。
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〇〇〇年(〇)第〇〇号
原告 〇〇〇〇
被告 〇〇〇
〇〇地方裁判所第〇民事部御中
〇〇〇年〇月〇日
準備書面(6)
〇〇〇都道府県○○区市町村〇〇〇丁目〇番〇号
原告 〇〇〇〇
訴訟代理人弁護士〇〇〇〇
1 書面提出について
前回口頭弁論期日において、本日(〇/〇)までに書面を提出するようにと裁判長からのご指示をいただいたところ、〇月〇日時点で被告から「土地区画整理事業定型化」等の資料提出がなかった(注1)ため、同日、原告側の書面作成が完了しない旨を書記官に電話でお伝えしたところである。したがって、作成中の書面の内容を大幅に変更したうえで本書を提出した次第である。
また、後記3(1)に記載のとおり、情報収集につき被告から信じ難い妨害を受け証拠資料の提出予定が大幅に狂わされている事情もあるため、後日追って書面(注2)の提出を行いたいのでご容赦いただきたい。
(注1)被告は、裁判長から原告の資料提出を考慮して早めに提出するよう指示を受けた筈である。
(注2)これまでの主張や論点を整理した書面を作成中である。
2 既提出書面に係る訂正について
(1)「本件処分」との表示について
〇年〇月〇日付仮換地指定処分(甲4)は、〇年〇月〇日に取消され(甲55-1)、同日、全体の外郭線を不変として内部の線形のみを変更する仮換地指定処分が行われた(〇年〇月〇日効力発生(甲55-2))。さらに、〇年〇月〇日に一部が取消され(甲56-1)、同日、全体の外郭線を不変として内部の線形のみを変更する仮換地指定処分が行われて(〇年〇月〇日効力発生(甲56-2))、現在に至る。
上記三回にわたる一連の仮換地指定処分は一定の法律効果の発生を目指している点で共通しており、実質的に同一の違法性を有し、最初の仮換地指定処分の違法性が最後の処分にまで順次承継されてきたと考えるのが相当であることから、これまで訴状等の既提出書面においてはこれらを一纏めにし、総称して「(〇年〇月〇日付)本件処分」と表記してきたところであるが、必ずしも正確な表記とは言えず、法的には緻密性が求められるべきであることから次のとおり訂正する。
以下、〇年〇月〇日付仮換地指定処分を「本件処分①」とし、〇年〇月〇日付仮換地指定処分を「本件処分②」とし、〇年〇月〇日付仮換地指定処分を「本件処分③」とし、これらを総称する場合には、引き続き「本件処分」と表記する。よって、これまでの主張もその文意に合わせ上記のとおり解釈されたい。また、本件処分①により生じた反復継続的損害(損失)は、〇年〇月〇日その取消処分とともに一旦途絶え、間髪入れずに行われた本件処分②により、再び反復継続的損害(損失)が発生した。そして、本件処分②により生じた反復継続的損害(損失)は、〇年〇月〇日その一部取消処分とともにその一部が一旦途絶え、間髪入れずに行われた本件処分③により、その一部についても再び継続的損害(損失)が発生して今日に至るというのが正確なところであるから、これまで「本件処分後の不作為」と記された部分及びこれと同様の趣旨で記された部分を「本件処分①が行われた後同取消処分までの間の不作為、本件処分②が行われた後その一部取消処分までの間の不作為及び本件処分③が行われた後の不作為」と訂正する。
(2)照応判断の基準時について
既提出の証拠資料「概略図」(甲5-1・2・3)中「仮換地指定時(〇年)」を「本件事業開始時及び本件処分①が行われた時」と訂正する。
また、照応適否の判定時点について、これまで「本件処分時」又はこれと同様の趣旨で記した箇所を「本件事業開始時及び本件処分①が行われた時」と訂正する。
照応適否の判定時点については、これまで仮換地指定処分時説で述べてきたが、判例では事業開始時説を採っていることから上記のとおり既提出の証拠資料や訴状等の記載を訂正するものである。なお、両時点において本件従前地には特段の変化は生じておらず、被告も何らこの点につき争っていないことから裁判所の判断への影響はないものと思料する。
(3)保存樹林について
原告準備書面(5)5頁に記載した「保護樹林」を「保存樹林」と訂正する。なお、当該保存樹林の指定については、先般、担当の〇〇課に確認したところ次のとおり説明を受けたので掲載しておく。
【保存樹林指定第〇号(保存樹木等台帳)】
1 指定年月日 〇年〇月〇日
2 対象地
(1)〇〇土地区画整理〇-〇街区〇
地目 山林
(2)〇〇土地区画整理〇-〇街区〇
地目 境内地
(1)(2)面積計〇,〇〇〇㎡
3 上記変更年月日 〇年〇月〇日
上記一部指定解除(注)により面積計〇,〇〇〇㎡ (注)(1)のうち一部の樹林が伐採さ れたため
この一部伐採による保存樹林指定解除の一部分(甲57-1・2、甲58-1・2)は、本件処分①及び後続の立木補償契約により被告管理地とされた我が鎮守の森の一部分に他ならない。被告が緑地帯として整備、管理すべき義務を怠った結末であり、完全な契約違反である。
(4)証拠資料甲第42号証「当初案」について
〇区市町村当初案の範囲が誤っていたため別紙のとおり訂正する。
3 被告準備書面(3)について
※単なる反論の応酬で無意味と判断し、一部割愛。
(1)P1について
① 被告は昨今の個人情報の取り扱いに係る法整備等の状況を熟知していないものと見受けられる。これについては別途法的に争う考えである。
また、審議会は諮問事項に関すること以外は述べることができないように運営されており、審議員の意見陳述権は著しく制限されている。実態としては、とても民主的な意見交換の場とは言えず、単なる被告の報告の場に過ぎない。 さらに、適正かつ的確な意見を述べるためには、過去の経緯等に関する情報収集が不可欠であるが、緊急的に敢行された情報公開制度の改悪により、知る権利を著しく制限された。被告は、本訴えの最中、類を見ない条例変更を狡猾的に行っていた(甲59-1・2・3・4・5)のである。被告は「原告こそ自らの主張が正しいのであれば・・・・・・審議会の場でもそれを訴えればよい」と言いつつ、また「再度正式に開示請求があれば・・・・・・提供できる。」(被告準備書面(2)7頁)、「条例に基づいた書類を提出する機会はいくらでもあったはず」(被告準備書面(2)8頁)などと主張する裏で密かに著しい情報統制を図っていたのであるから、その意地の悪さは筆舌に尽くし難い。
〇〇区市町村情報公開条例の驚くべき改悪の内容は次のとおりである。
そもそも申請書式が異なり、正式な申請がなされていないことから情報開示義務はないというのが被告の主張であった。本訴えに係る書面提出期限(〇/〇)に合わせて書面を作成しつつ、やむを得ず同条例の添付様式で必要な証拠資料を再申請した(甲59-3)ところ驚愕の事実を目の当たりにした。知らぬ間に同条例を改悪(甲59-5)し、著しい情報統制を敢行していたのである。説明を求めたところ、具体的には、それまでコピー1枚につき10円のみであったのに対し、まず開示手数料として300円を前払いさせ、さらに情報1ページの閲覧につき30円、さらにそのコピーで1ページにつき10円を加算するというもので、例えば、欲しい情報がたまたま1冊100頁の冊子、簿冊等の1頁部分に収録されていたとすると、当該1頁のコピーを入手するのに合計でなんと3,310円(=300円+30円×100枚+10円×1枚)もの費用を徴収する、つまり不要な99ページ分の閲覧費用(この例では30円×99枚=2,970円)まで徴収するというのである(甲59-4)。しかも、事前に合計金額がいくらになるかは教えられないというのであるから、請求する側としては恐ろしくて躊躇せざるを得ないのが実情である。その料金システムたるやほとんど暴利に等しい。これでは、繁華街のぼったくりバーと何ら変わりがない。こうして法や条例の理念は何処へやら、区市町村民の知る権利は事実上消滅し、全国一情報が閉ざされた自治体へと変貌を遂げたのである。
以上のとおり、原告と揉めている間に、時代に逆行した前代未聞の謀略を秘密裏に進めつつ、正式に申請していないと原告を批判し、正式に申請があれば開示できると主張する一方で、正式に申請されないよう予防線を張っていたわけである。その意地の悪さは尋常ではなく、もはや正気の沙汰ではない。しかも、議会ではその金額計算の具体的な方法までの詳細説明は行われず、他の議案にこっそり紛れ込ませ、大した審議もなされないままにまんまと可決させてしまったのである。たかが原告1人を封じるために条例まで変えてしまうのだから〇〇区市町村民も浮かばれない。
なお、新条例案可決後、費用について新条例施行までの間は旧条例が適用されるが、駆け込み請求を避けるために不実の新条例をホームページ上に掲げていた(甲59-2)のである。その手口たるや巧妙かつ悪質極まりないもので、法令不遵守どころか、信義もへったくれもない単に働きたくないだけの怠け者集団と化し、もはや自治体としての使命を放棄したに等しく、これ以上存続する意義はない。
② 被告の不正評価は、路線価評価に係る内容のみならず個別の画地評価においても存在する。本訴えに係る損害(損失)額を算出するうえでは、その便宜上、路線価及び地積の不正を指摘することのみで大凡事足りることから、画地評価の不正については詳細な指摘を割愛してきたが、容積率変更を受益とする誤った主張に対しては、画地評価の不正を指摘する必要があることから補足したものである。
「実質的な受益」を反映したものが画地評価にも反映されていなければならないことに異論はあるまい。各路線の標準画地の単価、すなわち「路線価」における“容積率変更=受益”との主張は、被告自ら行った画地評価(甲12、甲14)においては事実上“容積率変更≠受益”との判断をしている、つまり高台部分(神社部分)には容積率の変更が及ばないのであるから“容積率変更=受益”を前提とするならその分の減価補正を要するにもかかわらず、何らその補正がなされていないことから矛盾があることを指摘したのである。要するに、単なる容積率変更が受益を意味するものではないということを被告自ら本件評価の際(〇〇年初頭)に明らかにしている(甲12)のである。
③ 「用途地域の変更による受益」とは、具体的に何を指すものか明確にされたい。続けて「明らかに受けている」とし、これについては既述したとしているが、答弁書9頁において単に用途地域の区分、容積率、建蔽率の変更を記載したにとどまる。これらが変更されると何故に“明らかな受益”となるのか、負の影響はないのか専門家らしく明確にされたい。
④ 画地評価の問題点及び「u」値については、別途述べる。
なお、上記②③とも関連するが、被告の主張には「実質的な受益」と土地評価(路線価評価及び画地評価)とは無関係でいわば別物である旨の思考が見受けられる。原告は、「(実質的な」受益」を反映したものが土地評価であるべきとの考えでこれまでの主張を行ってきた。
土地評価基準や土地評価要領(甲60)は、被告自ら評価の適正を図るために定めたいわば“公約”(甲61-1)であり、また、自ら行った評価が適正に行われたことを示す根拠、すなわち地権者等を説得するための説明資料として活用してきた(甲61-2)ものであることに異論はなかろう。そうであるなら、土地評価基準等に基づく土地評価と「実質的な受益」との関係を施行者らしく明確にされたい。これが曖昧では話にならない。
(2)P2について
① 「算定標準」については別途述べる。なお、「土地区画整理事業定型化」については早急に取り寄せるなどして、原告に十分な検証時間を与えるよう配慮されたい。あくまで公僕であることを肝に銘じ、訴訟中といえどもこのことを忘れてはならない。
② 「用途地域の変更=受益」とする論拠を明確にされたい。
③ “事業計画上の事業区域”に幹線道路等を含めるか否かが施行者の判断によるとしても、評価は客観的な適正価値を求めるものであることから、pやd等の基礎数値の把握の仕方、すなわち“評価上の計算区域”等は常に最終的な結果(決定路線価)の妥当性を視野に判断されるべきである。土地評価(路線価)という客観的な指標を算出する過程において、施行者に裁量を挟む余地はない(最判平成9年1月28日、東京地判平成24年10月3日)ことを肝に銘ずべきである。なお、整理前後(縦の関係)で同様の取扱いをなすべきは当然である。もっとも、そのことのみで問題なしとする被告の判断は明らかに失当であるり、整理前後で同様の取扱いをするだけでは縦の関係のみならず横の関係でも適正評価の十分条件とはいえないことを先般詳述したところである。
④ 区域を分けるほどの大差なしとする見解は、畦道と都道府県道とは同等であるとするのと同義であり、不正評価に繋がるものである。また、被告の採用した整理前の道路面積は明らかに実態と乖離したものであるが、これに対する正当な論拠を明確にされたい。
⑤ 個人所有から公共所有となったことが防火保安性向上に寄与する論拠を明確にされたい。
(3)P3について
① 「算定標準」については別途述べる。
② 原告は宅地係数の算式に係る被告の解釈、適用が不適法だとしているのである。
③ 原告の文面に判例の一部引用があることは、その体裁から明らかであり、何ら見せかけを演出するものではない。原告は、裁判所が当該判例の全文等を容易に入手できる立場にあることを百も承知である。
④ 本件事業の施行規模について、被告はまたしても原告主張の趣旨を捻じ曲げている。事業必要性の欠如(未だに農地だらけの事実(台地部))、遅延化の責任(市街化区域決定後事業開始までの約13年間に及ぶ時間の浪費及び事業期間5年の公約破棄)並びに〇〇年現況測量実施の事実を勘案したうえで判断すると、被告自らの怠慢等に起因する、いわば自作自演、自業自得による緊急性のしわ寄せが地権者に及んでいるのである。被告は、この点を認めざるを得ないことからその釈明を回避するために、あたかも原告が他事業との単純な面積比較のみで施行規模を判断すべきと主張しているかのごとく見せかけている。
⑤ 施行条例第22条第3項の職権更正規定の存在意義及び職権更正が具体的に如何なる場面で発動されるべきものかについて施行者らしく明確にされたい。これも今後検証するから今論じる意味がないとするのか。
(4)P4について
① 判例を一部抜粋していることは文面の体裁から明らかであるから、何ら一部抜粋であることを隠した事実は存在しない。したがって、隠した事実がないのであるから隠す意図も存在しない。これも無意味な言いがかりと思われる。② 乙4における時効取得は、他人の土地に対する原始取得の問題であり、本件のような自分の土地に係る錯誤に基づく不実の公簿地積の問題とは根本的に類似性を認めることはできない。また、被告の説明には何ら説得力がなく、被告独自の考えに過ぎない。
③ 「緊急を要する」のが上述のとおり被告の自作自演、自業自得、怠慢等に起因するとの指摘に対して説得力のある反論を期待したい。
④ 按分率の検証を測量図なしでどのように行うのか、その具体的な手法を明確にされたい。単に既存の調書に書き込まれた数値を鵜呑みにするだけでは検証とは言えない。もっとも、基本的な検証能力すらない、やる気もないことは証拠(甲61-2・3)に示すとおりである。
「按分の精神は立会実測に基づくもの」については、別途説明する。
⑤ 被告は、「当該街区に保留地を設定するメリットは皆無」であるとしているが、それは次のとおり真実ではない。
まず、区画街路第66号((甲62、甲63)以下「66号街路」という。)は、当初事業計画書の添付図書である設計図(甲64)、市街化予想図(甲65)には表記がなく、その位置関係から本件保留地に係る建築基準法上の接道要件を充足させることのみを目的として本件処分①の前日に急遽追加決定された(第1回事業計画変更(甲66-1・2))ものである。
次に、本件従前地及び〇〇神社従前地は本件事業区域内でも有数の大規模地で、かつ相隣接した山林であることから当然に大きなまとまった縄延びが予見される。その規模は田畑の比ではない。保留地は位置的集約化を図ることにより効率的な配置が可能となることから、施行者にとって久伊豆神社は格好の保留地設定候補地だったといえる。しかも、〇〇神社は公共的色彩の強い団体で、同境内地は、事実上、氏子と呼ばれる地元地権者らのいわば準共有地とでも言うべき性格を有することから、施行者にとっては、一個人の所有地よりも遥かに交渉しやすく、融通を利かせやすい。
しかしながら、当該街区の路線(本件地前面路線)は、被告の為した不正路線価においてすら整理前後の格差率は相対的に低位となっていることから減歩率も相対的に低位となり、かつ、〇〇神社に対する特別の考慮(整理法第95条に基づくノー減歩)と相俟って、本来であれば保留地を設ける余剰スペースは乏しい。そして、按分区域は、その細分化を徹底すればするほど、按分すべき地積が各区域に分散することから各地権者の適正な権利地積の保護に資する反面、施行者としては保留地の位置的集約化が困難になるというトレード・オフの関係が存在する。
これらの実情に照らし、〇〇神社のような格好の保留地設定候補地を確保するためには按分区域の細分化を回避するに十分な動機が存在する。そこで、被告は、早期に実測申請を打ち切り、当該期限の経過とともに66号街路及び本件保留地設定を事実上決定したのである。その結果、本件保留地や66号街路の地積は、適正な按分が行われていれば本来その付近の従前地権者の権利地積として配分されるべきものでありながら、本件事業区域全体に拡散され、又は、被告の懐に留保されてしまったのである。そして、そのしわ寄せは、本件従前地を著しく歪(いびつ)化かつ縮小化することにより吸収させたのである。つまり、地権者の権利保護より保留地集約化をメリットと捉え、これを強行したというのが真相である。施行者側にとって、保留地(付保留地を除く。)は既存街路や新設街路(当初から計画されていたもの)に接道させるのが本来は合理的であるが、地権者の反対等からその配置には苦慮することから、交渉しやすい〇〇神社を逃すことは絶対に避けたかったのである。
⑥ 被告の言う換地不足回避行為、すなわち、按分不作為、留保地積の存在は、施行条例第22条第4項の規定に明らかに違背し、地権者の権利保護に反するものである。何を根拠にその正当性を主張するものか明確にされたい。 また、「あん分率設定後の何らかの変動」(被告準備書面(1)3頁)とは、具体的に何を指すものか、また、「与える換地が不足してしまう事態」とは具体的に何を指すものか明確にされたい。
(5)P5について
① 本件に係る清算金処理を按分不作為の理由にしてしまうあたりは、被告が得意とする後付け、場当たり的な言い訳である。地権者を犠牲にした杜撰な処理を繰り返した(甲61-2・3)挙句の時効主張や辻褄合わせの釈明はあまりに見苦しい。本来地権者の権利地積に加算すべき縄延地積を適正に按分することなく、施行者が留保することを施行条例は許していない。不実の基準地積に基づく仮換地がそのまま換地となり、その過程に違法があっても事情判決が事実上約束されている区画整理において、被告の留保行為は地権者に対する背信行為に他ならない。原告の調査、指摘がなければ、留保地積の存在は表面化することなく、地権者に還元される可能性すらなかったであろう。被告が着服したまま闇に葬られることは目に見えている。
② なお、仮換地をそのまま換地としなければならない法的根拠は存在しない。適法か違法かの問題は別として、あくまで施行者の決定したところによる(自由裁量の意ではない。)のである(甲67)。使用収益開始後であることをもって、仮換地変更はできないとしているが、使用収益開始させる前には十分過ぎるほど評価等の誤り(職権更正含む。)を正す時間があったのであるから理由にはならない。
これまでの被告の主張を箇条書きにすると次のようになる。
ア 換地計画がないのだから仮換地がどのようになされていても違法、損害はあり得ない。
イ 仮換地はあくまで法に基づき工事のために行ったのであり、換地計画作成のために行ったのではない。
ウ でも、現在の仮換地がそのまま換地となることは決まったことだ。
エ 不可思議な点や疑義があったとしても“これから”土地評価基準を変えて換地計画を作成して最後には清算するから、今論じても無意味だ。でも、換地はこのままだ。
オ 古いことを言われても困る。何も分からない。すべて時効だ。
誰が聞いてもどこか変な気がするであろう。仮換地が換地となることが決まっているなら、仮換地が何を根拠に決まったものか詳細に説明できなければいけない。古い話だ、時効だでは済まされない。
これら被告の理不尽極まりない説明に加え、すべてがブラックボックスの中で進められている現実(審議会委員ですら被告を信用するしかないのが現実である(甲61-2・3)。)を考えると、地権者は有効な法的対抗手段の糸口すら見出せないのが実情であり、頼りである筈の評価員や審議会は機能不全に陥っており、結局施行者の意のままに恣意的かつ杜撰に進められてしまうのである。ここで、審査請求に対する裁決の写し(甲68-1・2・3)を入手したので証拠として提出する。原告が予想したとおり、すべて却下であった。請求の趣旨が単に願望を示すものとなっていることから不適法とされているものばかりであるが、地権者には十分な情報が開示されていないのであるからそのような記載となってしまうのは致し方ない。全部で4件あると被告は言っていたが、1件は補正を指示したところ取り下げてしまったらしい。このように、地権者はなす術がなく無力である。被告のなすがまま服従するしかないのであるから、信義に反する杜撰な処理など許されてはならない!前主が審査請求していないとの反論が何を意味するのか。これら3件の却下裁決や前主が審査請求していないのは情報が足りなかった、つまり被告の情報提供、説明が不十分であった事実を証明するものである。これまでに原告が入手したすべての資料が全地権者に開示されていたら3件では済まなかった筈だ。誰だって審査請求したところで己の無力を痛感するだけの惨めな結果が目に見えているから諦めてしまうのだ。区市町村民にとっては情報統制こそ最大の敵なのである。被告は最小限の当たり障りのない情報のみを見せることで信用させ、地権者、審議会、評価員の詮索をことごとく排除してきたのである。
③ ところで、上記アからオまでをつなぎ合わせると、「仮換地の指定は工事のために行ったもので、換地計画がないのだから違法の問題はあり得ない。仮換地の詳細は大昔のことで不明だ。おかしな点があっても“これから”基準をつくり変えれば済むことだ。すべてカネで清算するのだから文句を言われても困る。違法であってももはや時効だ。でも仮換地がこのまま換地になることは決定だ。いまさら換地修正はしたくない。」となる。
さらに単純化すると、『工事のための仮換地は施行者のさじ加減で決めて良い。なぜなら換地計画がないからだ。既成事実に合うよう“これから“基準をつくり変えるから古い事はもはや意味がないのだ。でも換地はこのままだ。』となる。これは、明らかに矛盾に満ちた方便である。当然次のとおり反論することになる。
1 換地計画がないなら、何故換地はこのままで決定事項といえるのか?!2 基準は仮換地を決める際に遵守すべき公約だった筈である。いつも基準に基づいているから正しいと説明されてきた。既成事実をつくってから、それに合わせるよう基準をつくり直すのは本末転倒ではないか!
被告の論理矛盾に満ちた屁理屈がまかり通るようでは憲法に掲げる財産権保障も単なるスローガンになってしまう。おまけに、最後の砦、セーフティネットとして事情判決が施行者を過剰に擁護するのでは、あまりにも地権者保護を欠く。これは公共の福祉という美辞麗句による制約ではない。単なる違法行為による犠牲なのだ!“
この現実を踏まえると仮換地指定に先行して行われる土地評価が何より決定的に重要な意義を有することに異論はなかろう。詳細不明、これから検証、時効、カネで解決等無責任な釈明で済まされる話ではならない。代々受け継いだ先祖の名誉は著しく汚され、修復は不能なのだ!
④ Hとのやり取りについて、具体的な反論を回避して提案をしたのは議論を効率化するためである。この部分についての主訴は、被告(H)は基準地積の事後変更を抑制したかった、つまり地権者保護の精神がそもそも存在しないという真実を明かすことにある。案の定、被告が「現実的に不可能な提案」だと批判してきたことで原告の論証は完結した。地権者保護の精神が微塵でもあるのならこのような批判はあり得ない。通知を出せば良いだけなのであるから現実的に可能な提案である。換地計画未作成で、工事のための仮換地しか行っていないのであるなら何ら不可能とする理由はない筈だ。そのための留保地積ではないのか。
なお、期限後申請の受理は本件を除き3件あるとHは言った。これについて、調停委員から聞いたところによるとすべて仮換地の修正変更で対応したとのことであった。
⑤ 事実経過に関して原告の記載に変化がある場合、それは被告の読解力不足に起因する無意味な反論や言いがかりに対して、原告が表現を変えて分かり易く丁寧に言い直しているためである。当然、事の真相は不変である。屁理屈こねる前に被告はもう少し読解力を磨くよう自省すべきである。
⑥ 従前地の所有権に係る処分の対価が清算金という名目で支払われることに対し特に不平を主張した覚えはない。ただし、問題はその中身であり、金額の算定方法に係る被告の考え方については既述のとおり異議がある。
なお、期限後地積更正の問題は、被告の配慮不足、実測権限(職権更正)不行使、按分義務不履行(違法な按分区域の設定、違法な留保行為)に起因するものであることはこれまで既述したほか、さらに別途説明する。
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