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土地区画整理事業/専門家相談事例回想録‐vol.027

お客さまからご相談いただいた、ある土地区画整理事業の事件概要をご紹介します。掲載にあたっては、お客さまのご承諾をいただいております。

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〇〇〇年(〇)第〇〇号

原告 〇〇〇〇

被告 〇〇〇 

〇〇地方裁判所第〇民事部御中

〇〇〇年〇月〇日 

準備書面(7)

〇〇〇都道府県○○区市町村〇〇〇丁目〇番〇号

原告 〇〇〇〇

訴訟代理人弁護士〇〇〇〇

 四 主要論点  

1 広域化の失敗及び必要性欠如

(1)低利用の現実

① 台地部(注1)の状況

台地部は、未だに農地が大半を占めており(甲73)、市街化調整区域と何ら変わり映えなく、健全な市街地(注2)及び宅地利用増進(注3)の気配は皆無である。また、長期的な人口減少社会到来により、今後の増進を期待するのは非現実的であることからも台地部を含めた広域化は明らかな失策である。

(被告は)圧倒的な情報力を有するにもかかわらず、有効な反論、証拠の提出をしておらず、上記事実を概ね認めているものと判断される。

(注1)台地部とは、本件事業区域について中央を南北に延びる緑地帯を境に東側部分と西側部分とに区分した場合における当該東側部分を指す。また、当該西側部分を低地部という。この命名は、被告の按分区域に係る説明書(甲13)に基づく。なお、本件地は台地部南端に存在する(甲73、甲74~76)。

(注2)「市街地」(法第1条)とは、人家の密集したところを指し、農業用の田畑が主である区域は、市街地とはいえない(松浦10頁)。

(注3)「宅地利用の増進」(法第2条第1項)は、公共施設整備と並ぶ土地区画整理事業の目的の一つであり、どちらを欠いても違法となる。・・・・・・ 宅地利用の増進につながるか否かは、・・・・・・ 長期的視野に立ち、将来を見通したうえで判断すべきである。(神戸地判昭和54年9月17日(判例5)、松浦15頁)

② 低地部の状況

低地部においては、街区整備が進み、ある程度の宅地利用の増進が見られるが、一部に未利用地や低利用地が散見され、隣接の〇〇地区(甲52-3、甲73)と比較すれば完成度は遥かに劣る。台地部同様、国全体の少子化傾向を踏まえると、今後の増進は常識的に考えてもあり得ない。

□(被告は)特に有効な反論をしておらず、認めているものと判断される。

(2)非現実的な計画人口

本件事業の成否を端的に示す指標は、当初事業計画書(甲16)5頁に示された計画人口の達成度合いと考えられるため、被告に対して繰り返し情報提供や調査を要請した(被告準備書面(2)6頁、甲77)が、狡猾な妨害や遅延行為により未だに回答が得られない。原告独自に試算したところ、案の定、目標とされた計画人口3300人には到底及ばず、計画は未達成で終わることは明らかである(注)

(被告は)建築件数等を掲げ単なる原告の考えに過ぎないと反論するにとどまり、情報収集能力の点で圧倒的に有利な立場に置かれているにもかかわらず、何ら有効な反証資料を提出していない。

(注)建物疎密度、地域性の類似性の観点から緑町地区、〇地区、〇〇地区等を参考に対比し、建物棟数や統計調査資料のから〇〇〇年1月1日現在の人口を2000~2300人程度と推定した。計画人口には遠く及ばない。

(3)著しい長期化

当初計画では〇〇〇年度に終了していなければならない(甲16(16頁))が、度重なる延期により未だに終了していない。必要性が高いと判断した低地部の整備を先行させ、台地部においては、長期に渡り工事を停止し、時間を浪費した。この事実は、被告自ら広域化が不要、失敗であったと自覚していることを示す。要するに、台地部は余計であったと判断していたからに他ならない。

 □(被告は)特に反論しておらず、認めているものと判断できる。  

(4)台地部保留地の叩き売り

先般行われた審議会において評価員は残った保留地売却について厳しい見通しを明らかにした。そもそも〇〇自動車道を越えると(つまり本件事業区域のこと)宅地需要は極めて乏しいとのことであった。鑑定評価額を低位に抑えて処分価格を設定した上で、しかもその3割程度が売れれば上出来らしい。被告自らも弱気なコメントを繰り返すのみであった。いうまでもなく保留地は地権者の貴重な財産を剥奪したものなのである。売れ残り、叩き売りの原因がすべて被告にあることはいうまでもない。よって、今後懸念される財源不足を地権者負担に転嫁させるが如き不正操作、辻褄合わせの基準改悪等は断じて許されない。      

(5)非効率的な選択(多大な犠牲)

もっとも、後述のとおり整理後の総額が整理前の総額を下回る本件事業においては保留地の設定自体が禁じられており(注1)、ましてや近隣土地の照応を犠牲にした保留地設定((注2)後記10で詳述)は到底法の容認するところではない。被告は極めて不合理な選択により本件事業を敢行し、多大な資源を浪費(注3)した。都市計画道路〇〇線用地の買収のみで事足りたことは誰の目からも明らかである。

(注1)被告が按分地積の留保行為を自白したこと等から本件事業は極めて例外的な減価補償金(法第109条)を要する事業であることが発覚した。 (注2)厳密には本件保留地設定に伴い、本件処分及び〇〇〇神社に対する仮換地指定処分(〇-〇街区〇の指定)等により本件従前地(鎮守の森敷地部分等)に対する使用収益が停止されたこと。

(注3)宅地需要の乏しいところ(特に台地部)で多額の街路整備費、公園整備費が投じられたことは証拠(甲73~75)により明らかだ。まさに“農道”整備のための区画整理であった。

2 緊急性の欠如

(1)事業化までの遠い道のり

上記のとおり、そもそも必要性を欠くのであるから緊急性も認められないのであるが、仮に必要性を肯定した場合でも、市街化区域は10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域(都市計画法第7条第2項)である。被告は遅まきながら〇〇~〇〇年にかけて現況測量や地区界測量(甲45)を実施したものの、施行者にはなりたくないものだからあくまで組合施行に固執し、徒に時間を浪費した。この事実からも到底緊急性は認められない。そして、市街化区域決定後13年もの歳月が経過して遂に組合施行を断念し、やむを得ず自ら施行することを決意するに至ったのである。よって、被告のいう緊急性とは、自らの怠慢が招いた事業開始の遅れに起因するものなのである。

□(被告は)スプロール化現象等事業計画書に記載されている事項を単に読み上げたにとどまり、肝心の事業開始の遅れについては何ら反論していない。したがって、この点につき非を認めているものと判断できる。

(2)計〇回もの計画変更及び著しい遅延化

事業開始後においても、緊急性を前提に当初5年と掲げた事業期間を実に〇回もの計画変更(注)を繰り返すことにより徒に引き延ばし、未だに完了に至っていない。この事実が何より緊急性の欠如を物語る証である。特に、黒浜線整備を最優先し早期に完了した事実は、上記1(5)で述べたこととも符合し、黒浜線の用地買収のみで事足りたことを裏付ける。 

(注)驚くべきことに、当初仮換地指定前日(〇.〇.〇)に行われた第1回計画変更で早くも3年の延長を決定(甲66-2)しているのである。5年の当初公約は一体何だったのか。      

 

【主な引用文献(順不同)】

1 下村郁夫著「土地区画整理事業の換地制度」

平成13年7月30日初版発行(本文において「下村」という。)

2 松浦基之著「特別法コンメンタール土地区画整理法」

平成4年7月10日初版発行(本文において「松浦」という。)

3 新井克美著「登記手続における公図の沿革と境界」

昭和59年7月15日初版発行(本文において「新井」という。)

4 清水浩著「土地区画整理のための換地設計の方法」

昭和49年1月10日初版発行(本文において「清水①」という。)

5 清水浩著「土地区画整理のための換地計画の進めかた」

昭和56年5月17日初版発行 (本文において「清水②」という。)

6 土地区画整理法制研究会著「逐条解説土地区画整理法改訂版」国土交通省監修

平成18年12月10日初版発行(本文において「研究会」という。)

7 芦田修、阿部六郎、清水浩共著「土地評価と換地計画」

昭和50年6月30日初版発行(本文において「芦田等」という。)

8 渡部与四郎、相澤正昭著「土地区画整理法の解説と運用」

昭和50年3月25日初版発行(本文において「渡部」という。)

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