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〇〇〇年(〇)第〇〇号
原告 〇〇〇〇
被告 〇〇〇
〇〇地方裁判所第〇民事部御中
〇〇〇年〇月〇日
準備書面(7)
〇〇〇都道府県○○区市町村〇〇〇丁目〇番〇号
原告 〇〇〇〇
訴訟代理人弁護士〇〇〇〇
7 路線価評価の違法性
(1)調査義務懈怠及びあるまじき資料不備
路線価の計算は地区面積にもよるが、整理前後を合わせるとかなり厖大なものになるので算定に当たっては事前の調査を的確に行うこと、これを正しく計算の各要素に合わせて整理すること、そして計算の様式を分かりやすくしておくこと等の注意が必要である。
① 土地利用状況調査と用途区分
路線価計算で用いる土地用途の区分は、都市計画上の用途地域とは必ずしも合致する必要はないが、各種係数はこの用途区分に従って付設されるので現地を十分調査し、これを図化することが必要である。整理前については都市計画の基礎調査で作成した土地利用現況図、建物用途現況図があればこれらをもととし、さらに現地調査によって補足することが必要である。整理後については事業計画書の市街化予想図をもととすることが妥当である(芦田等58頁)。
② 道路現況調査
公道については、管理者ごとに道路台帳によって系統、幅員、構造等を調 査するのであるが、必ず現地調査による確認を行う。台帳や公図にあっても現地に存在しない道路もある。
私道については、法的には道路法により指定認定を受けた道路、建築基準法第42条第1項5号の道路の指定を受けているもの、同法第42条第2項、第3項の規定により道路の指定を受け道路とみなされているもの等、以上のいずれにも該当しない私道も多く存在する。また、私道を機能別にみると公道と公道を連絡するもの、公道と私道を連絡するもの、私道と私道を連絡するものに分類されるが、これら私道の現況を正確に現地調査することが必要である(芦田等59頁)。
従前の土地調査にあたって、登記簿、公図からだけでなく、現地と公図について権利者と立会しておくことも調査内容として大切であろう。これからは1筆測量を実施する時代かもしれないが、そのときは今述べた心配はなくなる(芦田等147頁)。
被告が路線価評価に当たり必要とされる上記調査を怠り、あるいは杜撰に行い、しかも整理前の状況を記録した資料を何ら保存していないことについては、訴状等に記載したほか証拠資料(甲81(注))に示されるとおりで、被告も認めるところである(被告準備書面(2)7頁、14頁、16頁他)。
(注)審議会議事録(甲81)には、路線価評価に際し、幅員は公図(構図は誤記であろう。)に基づいたとする被告の説明に対し、審議委員は正確な資料に基づいているので異議なしとする呆れた答弁の様子が描写されている。旧来の公図の精度の低さは公知の事実である。しかも、専門家である筈の評価員さえ何ら意見を付さずに被告案を議案として事前承認しているのである。被告はこのように無知な関係者の信用を逆手に取り、数々の杜撰な処理を行い、また、それが放任されてきたのである。なお、議事録には概要程度の内容しか記録されていないことから、これは氷山の一角に過ぎない。
(2)事実誤認(実態無視)及び恣意的操作(権利の濫用)
被告は事前調査を十分に行うことなく評価作業に入ったことから当然のことであるが、次項以下に述べるとおり大きな過ちを多々犯したのである。大局的な見地からいえば、従前の用途区分において既存住宅群と宅地見込地(田畑)とを混同して安易な均一化を図ったことから、本来あるべき個々の受損益格差を著しく歪曲したものといえる。
もっとも、均一化を”謀る”ことに主眼を置いていたため、詳細な調査を不要としていたとも考え得る。また、個々の受損益を均一化するためには実態を無視することが必要と判断していた疑いすら生じる。いずれにしても、緻密な検証を行うべき各機関(受託業者、被告、評価員、審議会)が機能不全に陥っていたことから、職権濫用の横行、職務怠慢の慢性化が放任されてきたのは事実である。
(3)街路係数について
訴状(13頁)、原告準備書面(2)(21頁)等で述べたとおりであるので再度参照されたい。
(4)接近係数について
① m値の不正処理(上限規制違反)
これについては、追加説明を特に要しないであろう。一目瞭然、明らかな逸脱である。
② 実現可能性を欠く駅距離
被告は、都市計画道路〇〇線について〇〇橋完成(〇〇年竣工)等による駅までの接近条件改善は本件事業外の要因に基づくものであるから整理後評価に反映すべきではない旨主張している(被告準備書面(2)13頁、甲81)。この見解を前提にした場合でも、本件路線(整理後路線0-3)の駅距離は、〇〇〇橋を渡るルート以外には考えられないことから50M短縮は実現不可能であること、また、全路線の駅距離が一様に改善されるが如く数値が入れ込んである事実(甲30,31)からも、恣意的かつ杜撰な不正処理であることは明かで、これを覆す証拠の提出もない。
□(被告は、)この点何ら反論できずに、今後検証するなどと釈明を回避し、黙秘している。よって、恣意的不正処理を認めたものと判断できる。
③ バス停位置の取り扱い
新設のバス停位置はまったく考慮外らしい。これでは話にならない。
何のために評価項目として基準に掲げたのか理解に苦しむ。都市計画道路として駅までの整備と歩調を合わせて工事をすすめた〇〇線にバス停ができるのは常識的に考えても予測可能な範囲である。何も正確な位置まで予測せよと言っているわけではない。これも〇〇線の減歩率を考慮してのものかと疑わざるを得ない。後述のY値に関する取扱いの不法性と対比すると著しい恣意的操作であるといわねばならない。具体的には既存住宅地群の上水道完備という確定事実を黙殺する一方で、明らかに予測可能(厳密な位置までの予測ではない。)なバスによる受益を排除している点である。
【主な引用文献(順不同)】
1 下村郁夫著「土地区画整理事業の換地制度」
平成13年7月30日初版発行(本文において「下村」という。)
2 松浦基之著「特別法コンメンタール土地区画整理法」
平成4年7月10日初版発行(本文において「松浦」という。)
3 新井克美著「登記手続における公図の沿革と境界」
昭和59年7月15日初版発行(本文において「新井」という。)
4 清水浩著「土地区画整理のための換地設計の方法」
昭和49年1月10日初版発行(本文において「清水①」という。)
5 清水浩著「土地区画整理のための換地計画の進めかた」
昭和56年5月17日初版発行 (本文において「清水②」という。)
6 土地区画整理法制研究会著「逐条解説土地区画整理法改訂版」国土交通省監修
平成18年12月10日初版発行(本文において「研究会」という。)
7 芦田修、阿部六郎、清水浩共著「土地評価と換地計画」
昭和50年6月30日初版発行(本文において「芦田等」という。)
8 渡部与四郎、相澤正昭著「土地区画整理法の解説と運用」
昭和50年3月25日初版発行(本文において「渡部」という。)
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