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土地区画整理事業/専門家相談事例回想録‐vol.36

お客さまからご相談いただいた、ある土地区画整理事業の事件概要をご紹介します。掲載にあたっては、お客さまのご承諾をいただいております。

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〇〇〇年(〇)第〇〇号

原告 〇〇〇〇

被告 〇〇〇 

〇〇地方裁判所第〇民事部御中

〇〇〇年〇月〇日 

準備書面(7)

〇〇〇都道府県○○区市町村〇〇〇丁目〇番〇号

原告 〇〇〇〇

訴訟代理人弁護士〇〇〇〇

ウ 実態との乖離

u値とは、ヘドニックアプローチ等による統計データと絡め、整理前の「事実としての宅地利用の程度」と整理後の「予測としての宅地利用状態」を対比させ、演繹法的に価値増(受益増)を数値化する手法の基礎数値、端的にいうと建物疎密度を表す数値と考えられる。

つまり、これだけ有効利用度に変化があるのであれば、宅地の価値(価格)がこの程度は変化(上昇)するのが一般的であると考えることにより、有効利用度の変化を土地評価の一構成要素、客観性のある指標として捉えようとするものであろう。

これを前提に本件評価の妥当性を以下検討する。

整理前においては、本件土地評価基準上「0.81.2」の値を適用するものとされているところ、全路線を画一的に2区分として「0.80」又は「0.90」の「事実としての利用度」を有するものとされ、整理後においては、「1.01.5」の値を適用するものとされているところ、全路線一律に「1.05」の「(予測としての」利用度」となるであろうと設定された。田畑の畦道が整理前において最低限度である「0.80」とされたことは妥当といえる。これに対し、本件路線(整理前路線1-0)が「0.90」であるなら、整理後の全路線を均一化する場合、すべて「0.90」でなければならない。なぜなら、本件路線(整理前路線1-0)沿線地域は良好な住環境を保護する低層住宅地域として構想され、容積率80%・建蔽率50%を前提に評価された筈だからである。

そして、整理前の本件路線沿線地域の利用状況は証拠(甲40、92)に示すとおり店舗兼用住宅の混在する既存宅地地域であり利用度(疎密度)の上昇余地は無いに等しいからである。

次に上昇の程度については、被告は容積的利用度が31.25%(1.050.80)上昇する路線と16.67%(1.050.90)上昇する路線とに区分したことになる。被告が予測した整理後の有効利用度は本件評価時(〇〇年初頭)に指定されていた〇〇年構想及びそれを踏襲した本件事業開始時の構想に係る用途地域等(建蔽率、容積率等)を前提にしたものである(被告は本件用途地域等の変更を予測して評価したわけでないことは前記①で論証した。)から、既に建物が建ち並んでいた既存宅地の本件路線(整理前路線1-0)は上昇の余地が無いに等しくその変化予測は相対的に軽微なものとなる。

一方、インフラ等を論じる以前に2項道路にも該当しない畦道は、有効利用度(疎密度)の変化は著しいものとして予測しなければならない。そして現実的な結果においても、本件路線(整理前路線1-0と整理後路線0-3)沿線地域には利用度の変化は殆ど見られず(注)、畦道は新区画街路としてまるで別世界の如く生まれ変わり有効利用度(疎密度)が飛躍的に上昇している、すなわちゼロ%から100%への劇的な変化(甲73~75)を遂げている。

0.801.05の変化は上限が1.50であることから地域性を考慮すれば相当なものといえよう。しかしながら、31.25%と16.67%の格差は、実態と乖離すること甚だしく、客観性を要する土地評価の世界において容認されるものではない。

インフラも何もなかった田畑から住宅が建ち並ぶまでに至った劇的変化が“0.81.05”とされるのに比べ、インフラが整った既存住宅地で何ら変化がない状況が“0.91.05”とされるのは明らかに均衡を失する。

後者は“1.051.05”又は整理前を基準とするなら“0.900.90”とされていなければならない。整理前の最低が0.80であること、u値がF(P)値との相乗積で受益とされることを考えれば、畦道が0.801.05で、既存住宅地域路線を1.051.05とするのが妥当な線であろう。

被告は各数値の算出根拠すら説明を拒否している(説明できない)ことから詳細な検証はできないが、回帰的、統計的な数値から区画整理において一般化、標準化された数値を選択した可能性が高い。あるいは、当初事業計画書作成の際の街区評価から減価補償金(法第109条)が出ないように辻褄を合わせるために逆算した可能性も否定できない。いずれにしても真相は藪の中であるが、これらが実態に見合ったものでないことは上述のとおり明白である。  (注)既存店舗がすべて消滅し、むしろ衰退したというのが実情である。

エ 過剰容積率であることの実証例

なお、先般、本件路線沿線地域内の近隣地が相続に伴いハウスメーカーに売却され、その後当該ハウスメーカーが新築住宅を建設し、建売住宅として販売した。当該ハウスメーカーは東証一部上場企業であり、〇〇区市町村内で多くの建売実績を持つことから、地域の特性を十分理解し、合理的な判断のうえ、当地の最有効使用を前提とした建物設計をしたと考えられる。

ここに、当該設計図(甲86-1・2・3)を証拠として提出する。当該設計図に表示されているとおり、いずれも利用容積率は僅か50%に過ぎず、利用建蔽率も25%に過ぎない。要するに、当初の旧第一種住居専用地域(80%・50%)でも十分建築し得る規模であり、用途地域、容積率、建蔽率の変更は何ら土地利用状況に変化を与えず、市場価値の増加をもたらしていない。また、〇〇神社隣接の集合住宅ですら旧第一種住居専用地域(80%・50%)で収まる規模にとどまる。

なぜか?

理由はこうだ。駅距離が2キロ近いことから否応なしに敷地内には利用者数分の駐車スペースを要し、その結果、利用建蔽率が低位に収まることは必然となる。また、容積率についても北側は第一種低層住居専用地域で斜線規制、日影規制もあることから実効容積率はかなり低くなり高層化は不可能で、需要そのものもない。むしろ多用途型となり住環境を悪化させる建築物も正式に許容されることになったことから主用途たる住宅地としての需要は背後の低層住居専用地域に劣り、今後価格下落要因として顕在化する可能性すら秘める(現に公的評価の推移からその傾向が見られることは後述する。)。したがって、法定の200%という数字のみで受益と判断する被告の発想は浅はかとしか言いようがない。繰り返すが、土地評価においては単純に「緩和=利益」ではないのである。

次に、この現実を公的評価の観点から説明する。

 

【主な引用文献(順不同)】

1 下村郁夫著「土地区画整理事業の換地制度」

平成13年7月30日初版発行(本文において「下村」という。)

2 松浦基之著「特別法コンメンタール土地区画整理法」

平成4年7月10日初版発行(本文において「松浦」という。)

3 新井克美著「登記手続における公図の沿革と境界」

昭和59年7月15日初版発行(本文において「新井」という。)

4 清水浩著「土地区画整理のための換地設計の方法」

昭和49年1月10日初版発行(本文において「清水①」という。)

5 清水浩著「土地区画整理のための換地計画の進めかた」

昭和56年5月17日初版発行 (本文において「清水②」という。)

6 土地区画整理法制研究会著「逐条解説土地区画整理法改訂版」国土交通省監修

平成18年12月10日初版発行(本文において「研究会」という。)

7 芦田修、阿部六郎、清水浩共著「土地評価と換地計画」

昭和50年6月30日初版発行(本文において「芦田等」という。)

8 渡部与四郎、相澤正昭著「土地区画整理法の解説と運用」

昭和50年3月25日初版発行(本文において「渡部」という。)

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