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土地区画整理事業/専門家相談事例回想録‐vol.37

お客さまからご相談いただいた、ある土地区画整理事業の事件概要をご紹介します。掲載にあたっては、お客さまのご承諾をいただいております。

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〇〇〇年(〇)第〇〇号

原告 〇〇〇〇

被告 〇〇〇 

〇〇地方裁判所第〇民事部御中

〇〇〇年〇月〇日 

準備書面(7)

〇〇〇都道府県○○区市町村〇〇〇丁目〇番〇号

原告 〇〇〇〇

訴訟代理人弁護士〇〇〇〇

 

オ 公的評価からの検証

路線0-3(本件路線)と路線40-0の〇〇年1月1日時点の相続税路線価(甲33)を対比する。前者は第一種住居地域(60%・200%)で平米69,000円である。一方、後者は第一種低層住居専用地域(50%・80%)で平米68,000円であり、価格格差率は僅か1%(69,000/68,0001.014)に過ぎない。

両者とも評価上の住宅地域に属することから住環境面からの快適性、利便性に係る要因を主として効用、相対的稀少性、有効重要の三要素に与える影響の程度を対比するのが相当である。

以下、価格に影響する主要な点を掲げ総評する。

接近条件において、両者は都市計画道路〇〇線の駅までの開通による影響格差(駅距離)は、殆ど無視し得る程度(注)と解され、バス停、幼稚園、小中学校との接近性では前者が優位にあり、児童遊園との接近性では後者が優位にあり、日用品購入等に係る商業施設との接近性では同等である。

街路条件では、両者とも舗装済であるが、前者が道路種別、幅員でともに優り、系統連続性でもバス通りであることから相対的に優位にある。

環境条件では、前者は交通量が多く騒音、振動、排気ガス、安全面等のマイナス要因が大きく、また第一種住居地域とされたことから用途の規制が緩和され、将来住環境が損なわれる可能性を秘める。一方、後者は第一種低層住居専用地域として良好な住環境が保護されていることから相対的に優位にある。

最後に行政的条件においては、前者は許容される用途の多様性や法定上の容積率、建蔽率が後者よりは大であることから相対的に優位といえる。

これらを総合判定すると3条件で前者が優位に立つものの、戸建住宅地としての標準的使用の観点からは環境条件(自然的環境、社会的環境の良否)が重視されることから当該条件で優る後者との優劣格差は縮まり、価格的にはほぼ等位といえ、上記公的評価と一致する。

ここで明らかとなることは容積率等の格差がそのままダイレクトに価格差として反映しないという事実である。都心の高度商業地のように指定容積率の格差がそのまま利用容積率の格差(建物規模)に直結し、その違いが収益性、すなわち経済的価値の具体化である金銭に置き換えられる立地と本件事業区域の立地を同じ視点で捉えてはならない。

戸建住宅地としての標準的使用から考えると評価の視点は収益性よりも快適性、利便性に重きが置かれる。容積率緩和は、用途規制の緩和、すなわち用途の多様化を法的に許容することに繋がることから住環境悪化の危険性という副作用を伴うことを忘れてはならない。なお、両路線価について、〇〇年時の比較検討を下記(6)で行うので参照されたい。

なお、原告は当初、本件路線(整理前路線1-0)沿いは既存宅地群であったこと及び実態的な利用の変化も見られないことから指定容積率の変更がない限り「利用可能度」が上昇することはあり得ないと主張した。ところが、実際には指定容積率の変更(〇〇年)が行われていたのであるが、実態的な利用の変化が見られないという事実(市場価値として認められるだけの証拠、実態がないという事実)には変わりがない以上、用途地域の緩和が何ら受益につながっていないことをさらに裏付ける結果となった。

(注)路線40-0は、〇〇橋、〇〇橋のいずれを選択しても駅距離に大差はないが、若干〇〇橋を渡る方が近い。したがって、都市計画道路〇〇線開通による価格への影響は無視しうる。

□これに対し、被告は未だにu値は容積率をあらわすものだと主張し続けている。いつになったら真実に気付くのであろうか。どの路線も整理前と整理後で容積率に変化はない。変化したのは本件路線のみであるから、受益があったのは本件路線のみということになる。本件路線の受益を全体に平均化して計上したとでもいいたいのか。まったく理論的ではない!

 F(P)値の一律扱い等の恣意性、不法性

ア 不分割の不当性(補正措置がなければ違法)

この点については、原告準備書面(4)3~6頁等で詳述してきたので読み返していただきたい。

F(p)は個々的には、uなる価値を有する宅地に対する修正係数で、F(p)の算式中公共空地率を表すp及び公共配置密度を表すξの計算における面積、「計算区域の面積」は、換地区域ごとあるいは性質の異なった区域ごとに分割する(阿部46頁)。

公共空地率p、公共配置密度ξ(本件基準では「d」)は一つの地区でも性質の異なった区域がある場合はそれぞれ別々に計算することを原則とする(阿部53頁)。

上記のような取扱いをすることで、分割区域間、すなわち横の関係における防火保安性の程度、格差を適正に数値化しうるのである。

また、「計算区域」とは、必ずしも事業地区内に限定する趣旨ではない。

本件従前地は事業区域内の南端辺境に位置する。従来から広幅員の県道に面し、背後は準公共用地とでもいうべき〇〇神社の広大な森に囲まれ、〇〇小学校、同神社境内地といった災害時の避難場所も備え、抜群の防火保安性を有していた。

これは、整理後においても何ら変わるところがない(注)。この事実は整理前後の航空写真(甲73~76)を対比すれば明らかである。本件路線面積を計算区域に含めなければ、整理前後の変化率、すなわち縦の関係における防火保安性向上率を適切に算出することはできない。

また、本件従前地の遠く背後に新設街路、新設児童遊園等の公共用地が増えたとの理由により全体平均率を適用され、横の関係においても不実の受益が上乗せされているのである。そして画地評価等においても何ら是正措置がないのは明らかに客観的公平性を害する評価といわねばならない。

(注)本件従前地の周囲にはプラスの効用を受けるような新設街路は何ら築造されていない。最も近くに築造されたのが〇号街路であり、そこからの進入により駐車スペースとして我が鎮守の森跡地が活用され、本件神社は、自動車の急接近による騒音、圧迫感等に晒され、効用(尊厳)は著しく損なわれることになったのであるから皮肉な話である。

□被告は、整理前の公共施設面積が明らかに実態と乖離している事実に対し、何ら釈明していない。また区域区分する程相違がないと明らかに非常識な見解を示すにとどまる。

イ 道路幅員の延焼遮断防止効果について

土地区画整理事業では、幅員6Mを確保することとされており、4M以下での延焼遮断防止効果は極めて乏しく、85%は延焼してしまう(甲89)

被告が採用した「d;公共空地配置密度」では4m以上でその係数が15とされていることから明らかに不適切なF()値が算出されることとなる。

ウ 不適切な具体例

例えば、整理前において〇〇の密集住宅地域(以下「〇〇団地」という。(甲90))は幅員2.7~3.0mの狭隘道路(整理前路線46~48)に囲まれた極めて防火保安性の低い地域であった。〇〇団地の各宅地は原位置換地の原則により幅員16Mの都市計画道路〇〇線及びこれに接続する新設6M街路に囲まれた地域内に(仮)換地されたことで極めて防火保安性が向上した。

これに対し、〇団地(甲90)はもともと都道府県道付近ではあるものの幅員4m市道(整理前路線70~74)に囲まれた決して防火保安性の高い地域とは言えない状況にあった(〇道沿いの宅地を除く。)。それは整理後においても街路幅員は4mのままで変わらないことから何ら変わるところがないというのが実態である。しかも上述のとおり4mでは延焼遮断効果は殆どないに等しいのである。このように、両者の受益格差には著しいものがあるにもかかわらず、同率扱いとするのは明らかに不適正である(注)。ましてや本件従前地に至っては上記アのとおり何ら防火保安性の向上はない。

(注)〇〇団地の路線価と〇〇線の路線価が均衡を失している旨の審議委員の疑問に対し、被告は駅距離のみに関する疑問に論点をすり替えることにより審議委員を丸め込んでいる。

駅距離のみならず、バス停予測の排除、防火保安性及びY値の不適正な一律扱い等が積み重なって不適正な不実の路線価が作出されているにもかかわらず、このように巧みに審議委員をかく乱しているのである(甲81)。この審議委員の直観、すなわち理屈抜きに〇〇団地と〇〇線の路線価が変だという見解の方が、むしろ社会通念であり客観的な真実であることが多いのである。

下手な理論武装は最後には破綻するのが世の常である。

 

【主な引用文献(順不同)】

1 下村郁夫著「土地区画整理事業の換地制度」

平成13年7月30日初版発行(本文において「下村」という。)

2 松浦基之著「特別法コンメンタール土地区画整理法」

平成4年7月10日初版発行(本文において「松浦」という。)

3 新井克美著「登記手続における公図の沿革と境界」

昭和59年7月15日初版発行(本文において「新井」という。)

4 清水浩著「土地区画整理のための換地設計の方法」

昭和49年1月10日初版発行(本文において「清水①」という。)

5 清水浩著「土地区画整理のための換地計画の進めかた」

昭和56年5月17日初版発行 (本文において「清水②」という。)

6 土地区画整理法制研究会著「逐条解説土地区画整理法改訂版」国土交通省監修

平成18年12月10日初版発行(本文において「研究会」という。)

7 芦田修、阿部六郎、清水浩共著「土地評価と換地計画」

昭和50年6月30日初版発行(本文において「芦田等」という。)

8 渡部与四郎、相澤正昭著「土地区画整理法の解説と運用」

昭和50年3月25日初版発行(本文において「渡部」という。)

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