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土地区画整理事業/専門家相談事例回想録‐vol.42

お客さまからご相談いただいた、ある土地区画整理事業の事件概要をご紹介します。掲載にあたっては、お客さまのご承諾をいただいております。

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〇〇〇年(〇)第〇〇号

原告 〇〇〇〇

被告 〇〇〇 

〇〇地方裁判所第〇民事部御中

〇〇〇年〇月〇日 

準備書面(7)

〇〇〇都道府県○○区市町村〇〇〇丁目〇番〇号

原告 〇〇〇〇

訴訟代理人弁護士〇〇〇〇

⑥ 各照応項目の判定

以上の問題を踏まえ、本件従前地及び本件仮換地の特性を前提に各項目について次のとおり判定した。

ア 「位置」について

位置とは、他との関係もしくは全体との関係で占める場所のことである(松浦413頁)。さらに、詳細に項目化すると、周囲の宅地との物理的関係、周囲の土地利用、その他の立地上のポテンシャル等(下村62頁)が挙げられる。

本件仮換地は、接道路線としては現地換地と言えるが、そもそも本件従前地が有していた広大な神社の森、すなわち鎮守の森の大半を喪失してしまったのであるから照応云々を論じる大前提、つまり対応部分が問えない、存在しないのであるから不照応と言わざるを得ない。

イ 「地積」について

本件従前地について被告が適宜適切に職権更正を行うか、又は按分義務を適法に履行して(留保なし、かつ、適切な按分区域設定をして)いればここまでの異常事態は回避されていた。不正評価に加え、被告の定めた不実の基準地積と実測地積との大きな乖離、つまり職権更正不作為及び按分義務不履行(留保地積、不合理な按分区域設定)により地積においても著しく不照応となった。新清算指数表(甲14)に付された著しい減歩率から判断しても不照応を否定することはできない。

なお、不正な路線価評価及び不正な画地評価がなければ受益がないのであるから減歩されるいわれもない。よって、被告の定めた基準地積(地積更正前)が権利地積、すなわち仮換地の地積とされることから2,049㎡(甲12)を確保できた筈である。これは、妥協案(乙2)に描かれた画地の図上球積値とほぼ近似し、妥協案のとおり仮換地指定することも可能であったと考えられる。

ウ 「土質」について

土質とは、土の性質、地質といってもよいであろう。

土地区画整理事業においては、土地改良事業と異なり、特に土質が問題となることは少ない(渡部122頁)。これについても対応部分が存在しないことから問題となり得ない。

エ 「水利」について

水利は、通常、田畑についての概念とされ、宅地においては水道設備(松浦 頁)、井戸利用、水路へのアクセス(下村62頁)等が挙げられる。よって、本件において「水利」は不照応論点とはなり得ない。

オ 「利用状況」について

利用状況については、従前の宅地の利用状況を確保できるか否かが判断基準となる(渡部122頁)。

利用状況とは、役立つように用いる有様のことであり、土地の用途、利用者、利用の頻度や内容を総合して判断する(松浦413頁)。

また、建物工作物等の配置、構造、規模及び利用効果等も考えなければならない(芦田等168頁)とされている。さらに、詳細に項目化すると、周囲の宅地との物理的関係、土地利用規制、地積、地形、地盤、傾斜、排水、その他の立地上のポテンシャル等(下村62頁)が挙げられる。

なお、主観的使用価値を無視することは法の精神に背馳する(松山地判昭和26年2月28日(判例18)、渡部124頁)。

本件神社については、明治31年に祠が関係者等の有志等により建立され、明治38年に石碑や石灯籠が衆議院議員、県会議員、県知事や村長等から寄贈された。それから2度の大戦を経て本件処分①に至るまで約90年の長期にわたり、これらは本件従前地中央付近に周囲を広大な鎮守の森に包まれ神社を象徴する地物としてあり続けた。この事実は古資料(甲7~9-2)からも、古地図等からも明らかである。これらの象徴は、あくまで鎮守の森に包まれそれと一体化することによりその効用は維持され得ることから、繰り返し主張しているとおり、歪(いびつ)化、極小化されたことにより、その一体性は消失し、従来の利用状況の維持は不可能となった。よって、照応原則の目的たる『利用ポテンシャルの保護』(上記①)は満たされていない。これは、後記11に詳述する管理方針の転換をもたらした事実からも明らかである(注)。

(注)被告は前主の方針転換(不要部分の宅地化)をことさらに強調しているが、自ら不照応であったことを強調しているのと同義であるから滑稽としかいいようがない。これも法の無理解、組合感覚に起因するものであろう。

カ 「環境」について

環境とは、人間の生活を取り巻き、人間と相互作用を及ぼし合う有形無形のあらゆる外部的条件であり、自然条件としては、光、温度、空気、水、樹木など、人為的条件としては、物的条件(施設等)、経済的条件(地代、物価等)、社会的条件(行政、住民組織、人間関係等)といったもの(松浦414 頁)とされる。また、「位置」とも密接な相互関係を有することから周囲の宅地との物理的関係、周囲の土地利用、さらには、周囲の人通り、騒音(下村62頁)も挙げられる。

上記イで述べたこととも関連するが、概略図(甲5-1・2・3)や換地対照図(甲37)からも明らかなように尊厳の象徴たる祠の東側部分が欠けるとともに、当該欠落部分が他の仮換地とされたことにより、祠に対して隣接地境界線が異常接近することとなった。神社は中心となる祠の周囲を木々がゆったりと囲むことでその尊厳が維持されるものであるから、この状況の激変は、従前維持されていた本件神社の尊厳を著しく破壊するものであり、換言すれば著しい自然条件の悪化をもたらしたものといえる。これにより隣接地の利用状況の影響力が著しく大となった。なお、現在、喪失した本件鎮守の森の一部は樹木が伐採され駐車スペースとして利用され(甲57-1、58-2(注))、周囲の森(もともと本件従前地の一部)の破壊行為が物理的にも急接近している。

(注)これらの証拠は、被告に詐欺により剥奪された後保存樹林指定された我が鎮守の森のうち、契約違反により伐採され空地化したスペースである。

キ 「等」について

上記アからカ以外で照応判断の指標となるもので、土地の形状、評価額等が挙げられる(松浦414頁)。その他特異性がある場合には、その点をも考慮すべきである(芦田等168頁)。

形状については、改めて言うまでもなく著しく歪(いびつ)化されたことにより、他の照応項目である位置、利用状況、環境の悪化をもたらした。

また、評価額については、(被告の言う換地計画未作成を前提とする)二つの清算指数(甲12、14)の乖離及び減歩率(甲14)が通常では考えられない域に達している(注)こと及び本件逸失差積分時価相当額(訴状別表)から違法な換地設計であったことが証明されている。

よって、「等」の項目においても不照応である。なお、等の各項目はアからカまでの諸要素より照応判定での重要度は低いものとされる。つまり、カネですべてが治癒されるものではないということである。カネで解決できるのは換地不交付だけである。

(注)減歩率は受益率に対応するものである(甲89)。

 

【主な引用文献(順不同)】

1 下村郁夫著「土地区画整理事業の換地制度」

平成13年7月30日初版発行(本文において「下村」という。)

2 松浦基之著「特別法コンメンタール土地区画整理法」

平成4年7月10日初版発行(本文において「松浦」という。)

3 新井克美著「登記手続における公図の沿革と境界」

昭和59年7月15日初版発行(本文において「新井」という。)

4 清水浩著「土地区画整理のための換地設計の方法」

昭和49年1月10日初版発行(本文において「清水①」という。)

5 清水浩著「土地区画整理のための換地計画の進めかた」

昭和56年5月17日初版発行 (本文において「清水②」という。)

6 土地区画整理法制研究会著「逐条解説土地区画整理法改訂版」国土交通省監修

平成18年12月10日初版発行(本文において「研究会」という。)

7 芦田修、阿部六郎、清水浩共著「土地評価と換地計画」

昭和50年6月30日初版発行(本文において「芦田等」という。)

8 渡部与四郎、相澤正昭著「土地区画整理法の解説と運用」

昭和50年3月25日初版発行(本文において「渡部」という。)

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