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土地区画整理事業/専門家相談事例回想録‐vol.43

お客さまからご相談いただいた、ある土地区画整理事業の事件概要をご紹介します。掲載にあたっては、お客さまのご承諾をいただいております。

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〇〇〇年(〇)第〇〇号

原告 〇〇〇〇

被告 〇〇〇 

〇〇地方裁判所第〇民事部御中

〇〇〇年〇月〇日 

準備書面(7)

〇〇〇都道府県○○区市町村〇〇〇丁目〇番〇号

原告 〇〇〇〇

訴訟代理人弁護士〇〇〇〇

⑦ 建築物等の移転(法第77条1項)の必要性との関係

建築物等の移転又は除却は、これらの権利者に対して強制力をもって行うものであるので、必要最小限のものでなければならないのは当然であるが、一方、土地区画整理事業はそれを施行することによって建築物等の有している機能を奪うようなことがあってはならない(渡部188頁)。

仮換地が従前地の建物を全部収容している場合においても、例えば道路が玄関側から裏側になってしまったような場合には、建物の効用は損なわれ、生活に不便を来すので建物を回転させ、あるいは玄関をつけかえる工事が必要になり、このような場合も移転を必要とする場合に含めるべきであろう。

区画整理事業は、できるだけ、従前の生活関係、私法上の関係にマイナスの影響を及ぼさないで施行することが求められるので、移転・除却の必要性の有無の判断についても、この見地を没却すべきではない(松浦359頁)とされる。

本件祠が同項に規定される「建築物等」に含まれる(注)ことに異論はなかろう。上記のとおり本件処分①によって本件祠の位置は東側隣接地に異常接近させられ、従前有していた神社の尊厳は著しく損なわれ、その効用は破壊された。

社会通念に照らし、これを否定する者はいないであろう。これは、本来であれば照応した仮換地への移転が必要(同項)とされるべき大きな変化であるから、被告は同条第2項の規定に基づき前主への通知又は照会をなさなければならない。

しかしながら、従前有していた尊厳を回復できる適切な移転場所が歪(いびつ)化、縮小化した本件仮換地上には何処にも存在しない。それ故に被告は通知も照会もしなかったのであろう。この現実からも本件仮換地は照応していないことが立証される。被告がこれに対し反証するのであれば、尊厳の回復が可能と客観的に認められる適切な移転場所を指定しなければならない。

(注)法第77条の建築物等は、建築物、その他の工作物、竹木土石その他を指す(松浦357頁)。 

⑧ 総合照応説

総合的に照応していると判断するには、次の要件が満たされていなければならない。

Ⅰ 全項目が他の項目によって補完可能な下限を満たしていること

Ⅱ 全項目を全体的に評価したとき、それが総合的な照応の基準を満たしていること

Ⅲ 換地に極端な不利益を与えるその他の要因がないこと(下村74頁)

本件でこれら3要件が満たされているか否かについて、通説、判例を踏まえながら、上記④アからキを考慮して総合的に判断する。

まず、要件Ⅰについて

致命的な神社尊厳破壊に通じる「位置」、「地積」、「環境」、「利用状況」、「等(形状)」の不照応は、他の項目で補える限度を超越している。これに異を唱えるのは被告のみであろう。異論を展開するならば、被告は従前同様の尊厳が維持されると社会通念上考えられる祠の移転先を指定しなければならない。

次に、要件Ⅱについて

多くの項目が不照応と判定され、それらの多大な不利益を補って余りあるような他の項目が存在しない。要するに、プラスマイナスでイーブンとするプラス要因が何ら存在せずに、多くのマイナス要因しか存在しないというのが実態である。百歩譲って無理にプラス要因を探り出しても、遥か後方に設置された人気もない小規模児童遊園の存在(ただし、神社の効用には殆ど無縁である。)くらいである。神社の尊厳破壊を補完する要因が存在しないことから照応原則の目的、すなわち従前の利用ポテンシャルは失われたままである。なお、仮に今後時価による清算が行われたとしても経済的対価のみ、つまり「等」に含まれる1要因の評価額のみにより照応が満たされるものではない(注)ことから、総合照応基準を満たしていない。

金銭解決で済むのであれば、どのような換地であれ照応することになり妥当ではない。金銭解決で済むのは換地不交付の場合だけである。

最後に、要件Ⅲについて

本件従前地の特性たる神社境内地という状況に鑑みると、保護されるべき尊厳の破壊の程度は「極端な不利益」に該当するものといえ、これに異論を挟む余地はない。

以上のとおり3要件はいずれも満たされることなく、照応原則の目的を逸脱したものと判断するのが相当である。

(注)松山地判昭和26年2月28日(判例18)、東京高判平成13年11月29日(判例19))

⑨ 裁量権の逸脱

区画整理は、許容される宅地の特性の変化の範囲、すなわち、宅地の特性に必要な限度を超えた変更をもたらさないこと、換言すれば従前地と換地の対応関係が不適切でないことを制約条件としなければならないところ、本件は、地権者である前主に対し方針転換を余儀なくした(後記11)ものであるから、施行者である被告には明らかに法の趣旨をはき違えた違法があったと言わねばならない。

本件仮換地は社会通念上(通常人が考えても)本件従前地と大体同一条件にあるとは到底言えず、著しく条件が劣悪化し、横の関係においても著しく公平性を欠く(後記⑧で詳述、甲53)ことから、総合的に考慮しても社会通念上不照応と言わざるを得ない状況(最判平成元年10月3日(判例17))である。よって、本件処分①には法に反する違法があったと判断するのが相当である。したがって、後続の本件処分②及び本件処分③も違法性を承継することから、違法な処分に基づく損害は今なお反復継続的に日々発生しているものである。

なお、照応違反により違法とされた判例に大阪地判昭和49年5月17日(判例20)、福岡高判昭和55年4月17日(判例21※上告審は判例14)、東京地判昭和57年10月21日(判例22)、広島地判昭和59年10月17日(事情判決(判例23))、東京地判昭和61年12月22日(判例23)、高松地判平成2年4月9日(事情判決(判例25))、東京高判平成13年11月29日(判例19)、横浜地判平成22年10月20日(事情判決(判例26))等がある。

※このうち、国家賠償法に基づく損害賠償請求が認容されたものとして、東京地判昭和61年12月22日判決(判例23)がある。これは、本件同様、照応原則違反の仮換地指定(変更)処分に係る過失を認め、国家賠償法による損害賠償を認めたものである。

また、照応原則違反の換地処分に対し、国家賠償法による損害賠償請求が認容されたものとして次のものである東京高判平成13年11月29日判決(判例19)

⑩ 他街区及び隣接地との不照応

被告の不正な路線価設定により、各路線間の本来あるべき相対的な関係が歪められたことは既述のとおりである。特に、本件路線は旧来の都道府県道として事業区域内最高位の価格が付されていることからも、その沿線宅地の成熟度は高いものであった。これに対し、事業区域内部の農道や2項道路はあらゆる点で劣るにもかかわらず、各評価項目において軒並み平均値採用等により同等扱いとされている。よって、公平の原則、すなわち横の照応に違反する。詳細は本書及び訴状等既提出書面で説明したとおりである。

また、本件地が属する第〇-〇街区(以下「本件街区」という。)内の整理前後の概況は証拠資料(甲53)に示すとおりである。西隣の画地は背後の不整形箇所が緑地に編入されるにとどまり、形状的には改善されたと言える。東隣の画地はほぼ従前地形のままで、〇〇神社は特別の考慮(法第95条)を要するものとして減歩対象から除外されたのみならず、本件保留地設定に伴う新設街路の緊急築造により二方路線に接することとなり(しかも、市街化予想図に含まれない緊急的な街路築造であったことから背面路線加算もなされていない。つまり、恣意的な減歩緩和である。)、利便性が向上した。現在、本件従前地の一部(本件鎮守の森跡地(注))が駐車スペースとして活用されているが、これは新設街路(66号街路)からの進入が可能となったことによる恩恵といえる。

なお、過日、被告は仮換地指定に当ってはほぼ全員(前主、被直接施行者等一部の者を除く。)から同意書を徴した旨の説明を行っていたことから、隣接地権者は皆、同意した上で仮換地指定を受けたものと考えられる。

これら近隣の状況に比し、本件地は整理前より著しく地形が劣悪化、縮小化し、祠を中心とした左右対称性も失われ、しかもそれが神社の重要部分(鎮守の森)喪失という事態とも重複することにより、従前の利用状況を維持できなくなった。これにより方針転換(後記11)を余儀なくされた。そして、これらの犠牲を補って余りあるような改善部分は何もないのであるから明らかに縦横の公平原則、照応原則に反する。

(注)鎮守の森は、被告が買収した後、暫くの間、保存樹林指定されていたが、近年伐採され当該神社の駐車スペースとされた。

□(被告は、)鎮守の森とは言えないと主張していたが、前主から樹木をわざわざ有償で買い取った上で保存樹林として指定した事実について何ら反論できずにいる。

 

【主な引用文献(順不同)】

1 下村郁夫著「土地区画整理事業の換地制度」

平成13年7月30日初版発行(本文において「下村」という。)

2 松浦基之著「特別法コンメンタール土地区画整理法」

平成4年7月10日初版発行(本文において「松浦」という。)

3 新井克美著「登記手続における公図の沿革と境界」

昭和59年7月15日初版発行(本文において「新井」という。)

4 清水浩著「土地区画整理のための換地設計の方法」

昭和49年1月10日初版発行(本文において「清水①」という。)

5 清水浩著「土地区画整理のための換地計画の進めかた」

昭和56年5月17日初版発行 (本文において「清水②」という。)

6 土地区画整理法制研究会著「逐条解説土地区画整理法改訂版」国土交通省監修

平成18年12月10日初版発行(本文において「研究会」という。)

7 芦田修、阿部六郎、清水浩共著「土地評価と換地計画」

昭和50年6月30日初版発行(本文において「芦田等」という。)

8 渡部与四郎、相澤正昭著「土地区画整理法の解説と運用」

昭和50年3月25日初版発行(本文において「渡部」という。)

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