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土地区画整理事業/専門家相談事例回想録‐vol.45

お客さまからご相談いただいた、ある土地区画整理事業の事件概要をご紹介します。掲載にあたっては、お客さまのご承諾をいただいております。

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〇〇〇年(〇)第〇〇号

原告 〇〇〇〇

被告 〇〇〇 

〇〇地方裁判所第〇民事部御中

〇〇〇年〇月〇日 

準備書面(7)

〇〇〇都道府県○○区市町村〇〇〇丁目〇番〇号

原告 〇〇〇〇

訴訟代理人弁護士〇〇〇〇

(4)〇の生い立ち

〇は戦前(〇〇〇年)の生まれである。〇が幼少期に通った現〇〇小学校の校歌(甲8(25頁))には己の先祖である祭神の勇姿が謳われていた。〇が8才の時分、〇〇村(被告の前身)が発行編纂した伝記等(甲7、8、9-1・2)を一読すれば分かるとおり、当時の軍国主義下において、祭神は護国の英霊として地域の誇りとされた。

当然、〇のみならず当家一族の名誉であり誇りとするものであった。区画整理が当時行われていたとすれば、間違いなく「特別の考慮」(法第95条)を要する対象とされていたであろう。戦後生まれの〇が語るのも気が引けるが、戦時下に育った者の思考は、戦争を知らない我々とは比較にならないほど戦死者に対し忠義的である。ましてや、それが己の先祖であればなおさらである。〇が亡くなる前、〇に最後に託したのは紛れもなく神社及び実家(祭神の生家でもある。)の維持、承継であった。長年共に生活してきた〇として誰よりも〇のことは理解できる。また、そうであるからこそ断言できる。〇が神社破壊に通じる地形を容認することはあり得ない。その何よりの証拠が拒絶通知に他ならない。

(5)方針転換

そして、無慈悲にも本件処分①が下され、神社の尊厳が破壊されて久しく時が経過した後、歪(いびつ)化により非対称で醜くなった境内地に一定の見切りをつけ(方針転換)、内部の線形変更なら認められるであろうとの思いで本件処分②を要望した(甲72)のである。当該要望書に記された今後の土地利用に係るコメントこそ、照応原則の目的(前記9(6)②)を逸脱し、本件処分①が、宅地の特性に必要な限度を超えた変更(山林→宅地)を余儀なくさせたこと、従前地と換地の対応関係が不適切(事業開始前の神社維持が不可能)であったこと、利用ポテンシャルが保護されなかった(事業開始前の神社維持を断念させられた)こと、土地の特性に根本的な変化をもたらす(山林→宅地)ことを余儀なくされたことを意味する。こうも醜く変形されたら、通常人が考えても(〇でなくても)、代々受け継いだ神社維持の方法を考え直さざるを得ないであろう。

なお、宅地化したのは当該南西側の突出した部分のみである。要するに、当該突出部分は祠東側にあった森が剥奪されてしまい左右対称性が永久的に失われたため、“不要”なのである。その不要物を宅地化して切り離しただけのことである。その後、〇〇〇〇は廃業したが、その敷地部分には現在〇〇を置いている。

当然ながら、背後の高台部分の宅地化は非現実的であり、祠のみならず、鳥居、石碑、石灯籠等の神社を象徴する貴重な地物が多々あることから改変は未来永劫あり得ない。

また、妥協案は概測によると被告が当初定めた基準地積(〇,〇〇〇㎡)内に収まる図案となっている。そうすると、不正な路線価、不正な画地評価がなければ、妥協案のとおりに仮換地指定することも十分可能であったこととなる。もっとも、被告が本件保留地設定に固執している以上、現在の形状を更に醜く悪化させることにより、つまり、さらに南西側に醜く突出させる等により対処していたであろう。したがって、結果的には現状と大差ない。しかも、どれだけ歪化されても基準無視により不整形減価すらしない(注)のだから踏んだり蹴ったりである。

(注)不整形減価されていれば、換地設計式により単価が下がる分だけ地積が増えるのであるから酷い話である。

(6)その他

本来、区画整理は土地の形状を良くすることを目的とする筈である。何故にこれ程までに地形が醜く歪められなければならないのか。何故に神社が壊滅されなければならないのか。しかも、これが適法というのであれば、国家のために尊い命を犠牲にした祭神も浮かばれない。代々継承した先祖も同じ思いであろう。

なお、上記方針転換はもとより妥協案に付されたコメント等は、それがどのように解されようとも、仮換地指定に要求される照応判定とはそもそも無関係である。

なぜなら、(仮)換地は客観的に定まるべきものであって、地権者の都合や将来の土地利用方針、その後どのように土地利用をしたかにより決まるものではないからである。

肝要なのは繰り返し述べてきたとおり、「従前の利用状況を確保できるか否か」に尽きる。祠が敷地内に収まっていればよいというものではない。そして、その判定時点は事業開始時である。仮換地指定後の変化は事業に起因するものである以上考慮すべきではないというのが判例の一貫とした見解である。このことは、前記9(6)②のほか原告準備書面(2)においても土地区画整理事業運用指針(国土交通省(甲90))を引用し、説明してきた。したがって、被告が盗撮した現在の現地写真、〇の要望書の解釈、一部不要部分の宅地化の事実等は、本訴えの解決に当たっては参考程度にとどまる。被告が己の不正処理を棚に上げ、その点ばかり強調し(それしかできない。)、不実を捏造をする(それしかできない。)ので、やむを得ず丁寧に反論を繰り返してきたが、事の本質を見極めるに当たってはまったく無意味な反論の応酬に過ぎない。

12 土地評価、清算及び損失補償との関係

(1)非時価評価の問題点

国は、清算を不均衡是正と損失補償とに区分し、前者に対しては時価を基準として算定することを要しない(注)として非時価評価方式による清算を是認してきた(下村227頁)。

非時価評価が採用されるとき、権利者が支払わなければならない清算金は帰属する利益に比べて少額であり、権利者に支払われる清算金は帰属する不利益に比べて少額である。公平の観点、財産権保護の観点から許容されるかどうかが問題である。(下村227頁)

(注)建設省(現国土交通省)区画整理課監修「区画整理土地評価基準(案)」(建設省都市局区画整理課監修1978

(2)「不均衡」の意味

法第94条の規定による金銭による不均衡の清算が損失補償(損失補償説)であるのか、それとも損失補償とは別の不均衡是正(不均衡是正説)であるのか。憲法の定めにより財産権は保護されなければならず、公的事業によって損失が生み出されたときはその損失を補償しなければならない。したがって、清算が損失補償であるか不均衡是正であるかによって時価評価と非時価評価の適否が定まる可能性がある。不均衡是正に関する議論で用いられる「不均衡」は、損失補償を含む広義の意味ではなく、宅地間の利害調整に限定された狭義の意味である(下村232頁)。

損失補償は地権者が従前有していた財産的価値の全部又は一部を喪失することを前提とする概念である。そうすると地権者が宅地について有する財産的価値が減少しない場合には、この意味での財産的価値の喪失がない。そこでこのときには損失補償の概念が当てはまらない。実際多くの土地区画整理事業では事業の施行により地権者の有する財産的価値は増加する。そして公的施行によって地権者に帰属する施行地区内の宅地の総額が減少するときには減価補償金として補償金が支払われることになっている(法第109条)。このために現在では“通常の”の換地の清算については不均衡是正説が判例・通説となっている(神戸地判平成24年6月26日(判例27)、下村234頁)。

また、照応原則の建前は損失補償が問題となるような「損失」の発生をそもそも予期していない。したがって、正確な意味での損失補償説は、現行清算金制度の理解としては成立しないと言うべきであろう(注1)。この見解は、清算の性格を巡る主張の適切な要約である。不均衡是正説も損失補償の意味合いを持つ清算があることは認める。国も不均衡是正になじまない清算があることを認める(前掲「区画整理土地評価基準(案)」2122頁)。そして、損失補償である清算に時価評価が必要であることについてはほぼ異論がない。・・・・・・ 換地、清算金、減価補償金はすべて地権者が有していた従前地に由来するから地権者間の公平と財産権の保護はその総和について判断すべきである(下村234235頁)。

(注1)棟居快行著「清算金の性格」別冊ジュリストNo.103『街づくり・国づくり判例百選』8889頁)

 

【主な引用文献(順不同)】

1 下村郁夫著「土地区画整理事業の換地制度」

平成13年7月30日初版発行(本文において「下村」という。)

2 松浦基之著「特別法コンメンタール土地区画整理法」

平成4年7月10日初版発行(本文において「松浦」という。)

3 新井克美著「登記手続における公図の沿革と境界」

昭和59年7月15日初版発行(本文において「新井」という。)

4 清水浩著「土地区画整理のための換地設計の方法」

昭和49年1月10日初版発行(本文において「清水①」という。)

5 清水浩著「土地区画整理のための換地計画の進めかた」

昭和56年5月17日初版発行 (本文において「清水②」という。)

6 土地区画整理法制研究会著「逐条解説土地区画整理法改訂版」国土交通省監修

平成18年12月10日初版発行(本文において「研究会」という。)

7 芦田修、阿部六郎、清水浩共著「土地評価と換地計画」

昭和50年6月30日初版発行(本文において「芦田等」という。)

8 渡部与四郎、相澤正昭著「土地区画整理法の解説と運用」

昭和50年3月25日初版発行(本文において「渡部」という。)

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