不動産鑑定評価・相続対策等は、当センター(事務局:ことぶき不動産鑑定所)にご相談ください。東京、埼玉、千葉、神奈川を中心に全国対応。

不動産専門家相談センター東京

【事務局】ことぶき不動産鑑定所
〒110-0016 
東京都台東区台東1丁目29-3-1004

JR山手線秋葉原駅中央北口徒歩7分・御徒町駅南口徒歩9分
東京メトロ日比谷線秋葉原駅1番出口徒歩4分・仲御徒町駅1番出口徒歩5分
東京メトロ銀座線末広町駅1番出口徒歩6分

03-6555-2375

03-6869-4526

営業時間
10:00〜18:00 無休(土日祝対応)

お役立ち情報

土地区画整理事業/専門家相談事例回想録‐vol.46

お客さまからご相談いただいた、ある土地区画整理事業の事件概要をご紹介します。掲載にあたっては、お客さまのご承諾をいただいております。

***********************************************

 

〇〇〇年(〇)第〇〇号

原告 〇〇〇〇

被告 〇〇〇 

〇〇地方裁判所第〇民事部御中

〇〇〇年〇月〇日 

準備書面(7)

〇〇〇都道府県○○区市町村〇〇〇丁目〇番〇号

原告 〇〇〇〇

訴訟代理人弁護士〇〇〇〇

 

(3)清算金の評価時点及び評価額(不均衡是正と比例清算方式)     清算金の制度が、換地相互間の不均衡是正を目的とするものであり、また、土地区画整理事業が施行地区内宅地の利用増進を目的としていることから比例清算方式を採らざるを得ず、さらに交付清算金のうち従前の宅地の価額を超える分については損失補償金ではないと解すると清算金の評価時点及び評価額はどうように解すべきか。

損失補償金の性質を有しない交付清算金及び徴収清算金(清算金を徴収される換地はすべて平均利用増進率以上の利用増進がある

土地区画整理事業の施行地区内においては、工事が概成するとほぼ各仮換地について利用増進の度合いが顕現化することとなる。これを別の面から見ると工事が概成し、殆どすべての仮換地について使用収益が開始され、時が経過すると土地区画整理事業以外の要因により土地の利用状況も変わり、評価の要素も変わってくるので、評価に土地区画整理事業以外の要因を排除する意味において、工事が概成した時点で評価するのが合理的といえる。

工事概成時と換地処分時が異なるときは、できれば仮清算を実施することが望ましいが、仮清算をしなかった場合は工事概成時から換地処分時までの物価スライド等が必要となる場合もあろう。

そして、損失補償金の性質を有しない交付清算金及び徴収清算金については時価による必要はないと考える換地相互間の不均衡是正であるので、施行地区内の権利者の相当数が納得する価額であれば差し支えないであろう(渡部251頁)

損失補償金の性質を有する交付清算金

換地不交付の清算金のうち、従前宅地価額に相当するものについては、換地処分時の時価でなければならないものと解する(注)

法第100条による使用収益停止後換地処分時までの補償は法第101条第3項により行われる。なお、工事概成時の時価とした場合は、工事概成時からは法第101条第3項の補償は打ち切り、工事概成時から換地処分時までの物価スライド等による時点修正が必要である。工事概成時において仮清算した場合は特に問題はない。(渡部252頁)

したがって、強減歩の場合は従前地の一部に対する換地不交付であるから、仮清算をしない以上、工事概成時までの期間において生じた損害の賠償あるいは損失の補償を要すると解する。

(注)鹿児島地判昭和44年4月7日(判例28)

換地不交付の事案につき、交付清算金は損失補償金であるとされ、特段の定めがない以上、清算金額は、換地不指定が決定された時点(所有権喪失時点)において、本件土地を区画整理前の状態において算定した客観的な取引価格に一致するものでなければならないとした。        

(4)強減歩に対する時価評価の必要性

前記4(2)で小規模宅地対策で行われる強減歩(法定強減歩)について述べたところであるが、本件強減歩はそれが生じた因果関係の点では法定強減歩とは異なるものの、財産的価値の減少分に対応した換地が交付されない点では類似性を有することから、その補填方法には共通点を見出せよう(ここでは違法性の問題は別とする。)。

よって、以下両者を特に区別せず単に強減歩と表記して述べる。

時価評価と非時価評価が地権者間の公平や財産権にもたらす問題は、強減歩に対する清算に典型的に現れる(下村235頁)

被告が画策する非時価評価(固定資産税評価に係る時価概念(注1))による方法では、過小宅地者等清算金が徴収される者は、強減歩された者の犠牲のうえに従前地の権利価額とは直接結びつかない財産的価値を取得することになる。これは土地区画整理事業の趣旨に反する財産の再配分である(下村237頁)

公的施行において義務付けられている減価補償金(法第109条)の趣旨は地権者が有する財産的価値の保持を保証することにある。その趣旨を延長すると一方の地権者の有する財産的価値を収奪して他方の地権者に与えることを許容すべきではない。このとき問題は単に清算の評価の適切さだけではなく、換地設計を含めた換地計画の適切さなのである(下村237頁)。

繰り返すが、本件のような違法な強減歩は、照応を前提とする通常の清算と同列に考えてはならない。換地不交付と同様に時価評価による損失補償(注2)の対象(実質は損害賠償)として捉えなければならないのである。

(注1)固定資産税評価に係る時価概念とは、客観的な取引価格(真の時価概念)ではなく、その7割程度の価格を指す。

(注2)福岡高判昭和55年4月22日(判例6)では、「しかし、換地不交付となった土地や創設換地された土地、また、適正化により増換地又は強減歩を受けた土地については、換地照応の原則の適用外にあって、著しく損失を受け又は利益を得るものであり、不均衡是正という前叙の清算の特質になじまないから、実質的には損失補償金の支払又は不当利得金の徴収として処理するのが相当である。(一部抜粋)」とされている。

(5)非時価評価に係る正当性の条件

非時価評価が地権者に帰属すべき財産的価値の一部を奪う可能性は無視できないが、次の3条件が満たされるときに限り、不均衡是正のために非時価評価を行うことが許容される。なお、下記3条件を満たさない場合、非時価評価に代わる現実的な清算方式として、一律時価評価方式、別種事業方式、二重清算方式がある。

① 事前・中立性

② 適正な換地設計

第2条件は、換地設計が照応原則その他の換地設計基準に則っていること、さらに換地と権利地積又は権利価額の差異が極小化されていることを意味する。この条件は清算金が土地区画整理事業の換地設計上、不可避的に生ずる程度の限定的なものであることを保証する。

換地設計が適切であれば地権者に与えられるべき換地と実際の換地の間に大きな差異は生じないから、不均衡是正のための清算金が高額になることはない筈である。逆に不均衡是正のために清算金が高額であることは地権者に与えられるべき権利地積又は権利価額と実際の換地の間に大きな乖離があること、すなわち換地設計が不適切であることを示唆する。

③ 財産的価値の保持

第3条件は、換地の価額と交付される清算金及び減価補償金の合計額が従前地の価額以上であることをいう。この条件は、すべての財産的価値を総合して見れば、非時価評価の採用が地権者に実質的な損失を与えないことを保証する。(下村239頁)

(6)強減歩と換地設計の適否

土地区画整理事業の換地処分は地権者同意がない限り、宅地の財産的価値の減少をもたらすべきではないが、減少をもたらすか否かは換地の価額、清算金、減価補償金を総合して判断すべきであり、強減歩に対する清算についてもこれらの条件によって判断すべきであるが、もし強減歩が特定の地権者に不公平な損失を与えるのであれば、それは換地設計そのものが不適正なのであり、したがってその換地設計は許容すべきではない(下村242頁)。

 

【主な引用文献(順不同)】

1 下村郁夫著「土地区画整理事業の換地制度」

平成13年7月30日初版発行(本文において「下村」という。)

2 松浦基之著「特別法コンメンタール土地区画整理法」

平成4年7月10日初版発行(本文において「松浦」という。)

3 新井克美著「登記手続における公図の沿革と境界」

昭和59年7月15日初版発行(本文において「新井」という。)

4 清水浩著「土地区画整理のための換地設計の方法」

昭和49年1月10日初版発行(本文において「清水①」という。)

5 清水浩著「土地区画整理のための換地計画の進めかた」

昭和56年5月17日初版発行 (本文において「清水②」という。)

6 土地区画整理法制研究会著「逐条解説土地区画整理法改訂版」国土交通省監修

平成18年12月10日初版発行(本文において「研究会」という。)

7 芦田修、阿部六郎、清水浩共著「土地評価と換地計画」

昭和50年6月30日初版発行(本文において「芦田等」という。)

8 渡部与四郎、相澤正昭著「土地区画整理法の解説と運用」

昭和50年3月25日初版発行(本文において「渡部」という。)

①不動産鑑定評価、②相続対策、③借地と底地のトラブル解決、④価格・賃料相場等で頼れる専門家をお探しのお客さまは、当センターの無料相談をご利用ください。出張相談も可能です。必要に応じて、弁護士、税理士等の先生方と連携してサポートさせていただきます。

①財産評価、親族間売買、同族間売買、離婚時の財産分与、共有物分割、民事再生申立等

②遺産分割、生前贈与、相続税等の節税、相続不動産の有効活用

地代・賃料・借地料・更新料・建替承諾料・名義書換料、借地権・底地の売買

④土地価格の相場、家賃相場、地代相場等

ご相談・お見積り・解決策等のご提案はすべて無料サービスとして承っておりますので、どうぞお気軽にご連絡ください。※東京・埼玉・千葉・神奈川を中心に全国対応しています。

お役立ち情報

 お役立ち情報をご紹介しておりますので、参考にご覧ください。 

  • 不動産鑑定評価基準/運用上の留意事項
  • 不動産競売情報
  • 特殊な不動産の鑑定評価(更新料、底地、無道路地、高圧線下地等)
  • 相続対策
  • 借地権と底地(借地権の種類等)
  • マンション
  • 不動産取引等と税金
  • 不動産鑑定評価業務と税金(印紙税、譲渡所得税等)
  • 供託
  • 資産形成
  • 不動産投資/不動産担保ローン
  • 地域紹介/地価の推移
  • 土地区画整理事業専門家相談事例回想録

不動産のことは専門家に相談するのが無難ですね。

※新型コロナウイルス感染症対策として、Zoomミーティングを活用したご相談にも対応しています。

お電話でのご相談は下記へ

03-6555-2375

03-6869-4526
営業時間
10:00~18:00
定休日
無休(土日祝も対応)
✉メールをご利用の場合は下記をクリックください。

※遅くともメールいただいた翌日にはご返信しております。メールが届かない場合、迷惑メールフォルダに紛れ込んでいることがありますのでご確認ください。

Zoomミーティングによるご相談は下記をクリックください。