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〇〇〇年(〇)第〇〇号
原告 〇〇〇〇
被告 〇〇〇
〇〇地方裁判所第〇民事部御中
〇〇〇年〇月〇日
準備書面(7)
〇〇〇都道府県○○区市町村〇〇〇丁目〇番〇号
原告 〇〇〇〇
訴訟代理人弁護士〇〇〇〇
14 不当利得
(1)留保地積により増設した公共施設用地及び保留地
本件のような(被告のいう換地が不足する(被告準備書面(1)3頁、(3)4頁)事態を避けるために、按分地積を留保していた(換地不足に対処するための清算金を確保していた)というなら、当該留保地積のうち本件従前地の縄延地積は、公共用地あるいは保留地に転化したわけであるから、その運用益相当分は被告がプールしていたことになり、そこに不当利得としての受益が確実に存在する。しかも、留保行為は、被告自ら確信犯的に行ったことは自白済みであるから悪意であることは疑う余地がない。
具体的には、違法な按分区域設定により本件従前地には1筆を除く公簿地積に4.5%の按分地積が配分され(甲12)、権利地積は〇,〇〇〇.〇〇㎡とされた。これと実測地積〇,〇〇〇.〇〇㎡の差積〇〇〇.〇〇㎡を被告が留保したとも考えうるが、実際には不正評価、不正な換地割付により違法な換地設計が行われた(受益がないにもかかわらず鎮守の森等を剥奪され、かつ残地は歪化された)のであるから、留保地積は仮換地地積と実測地積の差積計〇〇〇.〇〇㎡(以下「本件留保地積」という。原告間の配分は、甲3、訴状別表のとおり)でその留保時点(〇〇〇年〇月〇日(本件処分①の効力発生日)時点)の資産価値は訴状に示す本件逸失差積分時価相当額(以下「本件留保金額」という。)と同様である。
以後、被告は本件留保地積を公共用地や保留地に割付けたと考えられるが、その受益を貨幣価値に換算すると、本件留保金額の適正年利率6%(注)による運用益程度と判断するのが妥当である。
なお、本件留保地積の経済価値は本件路線の価格変動率で変動すると考えるのが相当であるから本件留保金額は本件逸失差積分時価相当額と同様に毎期地価の変動と伴に変動し、利得額も損害(損失)額と同様と考えられる。
したがって、悪意の受益者たる被告は、原告に対して訴状記載のとおり当該利得に利息を付して返還しなければならない。
(注)土地収用に係る補償利率と同率
(2)管理地に係る不法占有
被告は本件処分①に続く詐欺により鎮守の森敷地部分を不法に占有(管理)した。自治体でありながら、当該管理部分の範囲、地積を把握していないといことは通常あり得ない。しかも保存樹林指定まで行っているのである。当該管理部分は本件従前地の一部であるから残部、すなわち仮換地と対比して過剰減歩であることに気付かないわけがない。
つまり、大幅な縄延びを認識していないということはあり得ないのである(注1)。しかも、立木補償契約書添付図面にはしっかりと辺長が記され範囲が示されているうえに、その前提として隣接者を集合させ境界承諾書(甲39)まで徴したというのである。
当該立会で前主の土地の範囲だと認識したからこそ、その範囲内の土地に生育している樹木の対価を前主に支払ったのではないか。
したがって、当該管理地(注2(保存樹林指定部分に相当)に対しては、悪意(注3)の不法占有であることから不当利得として訴状別表記載どおりの受益があったといえる。
(注1)立木補償契約添付図面(甲10、57-1)、保存樹木台帳の記載内容(原告準備書面(6)2頁)及び本件が書類上10%程度の減歩率で処理されていることを考えれば、 各種図面上(甲37)における仮換地の大きさとの比較から縄延びがあると容易に気付く。
(注2)当該管理地の地積は、本件逸失差積(訴状)にほぼ近似する。
(注3)少なくとも悪意と同視しうる重過失はある。施行者には地権者に損失を与えないよう配慮する義務がある。
(3)国有地不法占有者への不当利得返還請求
これが制度化(注)している事実に照らし、不法な留保行為、不法な管理権に基づく上記被告の受益は明らかな悪意による不当利得であるから、損失者である原告に対し直ちに返還されなければならない。
(注)財務省「誤信使用財産取扱要領」(甲94)
(4)その他
将来減価補償金が出ることが確定した場合は、蓄積された保留地処分金は地権者に配分されなければならないことを肝に銘ずるべきである。これも一種の不当利得に他ならない。
15 消滅時効等
(1)本訴えの意義
前記13(4)、(5)で触れたとおり、原告は被告の示した見解により全損害補填の方法を推定した上で採るべき行動を決めているのであるから、被告の言動により時効の起算点が変動すると解すれば、原告の権利を不安定な状態に陥れることとなり妥当ではない。つまり、同①の方法によれば、既に〇〇〇年〇月〇日以前の損害に対する請求権は時効消滅したことになるが、②の方法によればすべてが清算金の名で支払われるのであるから請求権自体が未発生ということとなる。
換言すれば、被告がすべて清算金対応と主張している以上その言葉を信用するなら、②の方法ですべてが償われるものと期待すれば良く、本訴えを提起する必要もない。しかしながら、不信感を抱かざるを得ない被告の言動(注1)から原告の考える代償が完全に支払われる保証がない、つまり、②の方法によった場合でもその詳細な中身が見えてこない(注2)ことを危惧したことから本訴えを提起するに至ったものである。
もっとも、①の方法による場合の損害賠償請求権は逐次時効により消滅(除斥期間説でも同様)してしまうのであるが、その進行を中断すべく本訴えによったものである。
(注1)具体的には、法第101条の損失補償はないとの見解、工事概成時未到来の見解及び他の地権者と同様の清算を行う旨の見解が示された(注3)ことである。また、本件訴訟においても工事概成時の見解について当を得た説明ができていない。
(注2)②の方法において工事概成時を工事完了時とする場合、当初仮換地指定効力発生日(〇〇年〇月〇日)又は立木補償契約日(〇〇年〇月〇日)から工事完了日までの期間損失は填補されないことを意味する。
(注3)本訴えの最中に他の地権者と同じとは言っていないなどと説明をあやふやにしていること自体が信義に反するものである。このように曖昧な見解を示すことで原告の請求権を不安定な状態にされるのは不当である。
清算金で対応する旨の説明は他の地権者(照応の範疇に含まれている多数の地権者)と同じ計算方法で対応すると捉えるのが通常である。そもそも施行条例に例外的な清算方法の規定がない以上他の方法を採用する筈がない。これを換地計画がまだだからという屁理屈により明確な回答が先送りされ、時の経過と伴に時効が進行するのでは公平ではない。
【主な引用文献(順不同)】
1 下村郁夫著「土地区画整理事業の換地制度」
平成13年7月30日初版発行(本文において「下村」という。)
2 松浦基之著「特別法コンメンタール土地区画整理法」
平成4年7月10日初版発行(本文において「松浦」という。)
3 新井克美著「登記手続における公図の沿革と境界」
昭和59年7月15日初版発行(本文において「新井」という。)
4 清水浩著「土地区画整理のための換地設計の方法」
昭和49年1月10日初版発行(本文において「清水①」という。)
5 清水浩著「土地区画整理のための換地計画の進めかた」
昭和56年5月17日初版発行 (本文において「清水②」という。)
6 土地区画整理法制研究会著「逐条解説土地区画整理法改訂版」国土交通省監修
平成18年12月10日初版発行(本文において「研究会」という。)
7 芦田修、阿部六郎、清水浩共著「土地評価と換地計画」
昭和50年6月30日初版発行(本文において「芦田等」という。)
8 渡部与四郎、相澤正昭著「土地区画整理法の解説と運用」
昭和50年3月25日初版発行(本文において「渡部」という。)
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