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土地区画整理事業/専門家相談事例回想録‐vol.54

お客さまからご相談いただいた、ある土地区画整理事業の事件概要をご紹介します。掲載にあたっては、お客さまのご承諾をいただいております。

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〇〇〇年(〇)第〇〇号

原告 〇〇〇〇

被告 〇〇〇 

〇〇地方裁判所第〇民事部御中

〇〇〇年〇月〇日 

準備書面(8)

〇〇〇都道府県○○区市町村〇〇〇丁目〇番〇号

原告 〇〇〇〇

訴訟代理人弁護士〇〇〇〇

(4)不当利得について

① 適正年利率(原告準備書面(7)頁)について

公共用地の取得に伴う損失補償基準細則

昭和3837日用地対策連絡会決定

最近改正平成21629

第11 基準第24条(土地の使用に係る補償)は、次により処理する。

1 近傍類地に賃借りの事例があるときは、本条第1項の正常な地代又は借賃を算定するに当たっては、使用する土地の正常な取引価格に次に掲げる率を乗じて得た額を1年間の地代又は借賃の参考とするものとする。

() 宅地、宅地見込地及び農地6パーセント(地代又は借賃相当額+公租公課等相当額)

() 林地及びその他の土地5パーセント(同上)

2 近傍類地に賃借りの事例がないときは、本条第1項の正常な地代又は借賃 を算定するに当たっては、前項に掲げる額を標準とするものとする。

適正年利率(原告準備書面(7)頁)は、土地収用に係る土地使用料率(年6%)を採用したものである。

② 被告の悪意

これはもう立証を要しないものと思料する。事業開始当初から今日まで一貫として地権者保護を欠く思想に根差した言動を繰り返している。

不正評価、不正な換地割付、不実の基準地積を未だに適法適正であると主張し続けているが、客観的にもこれらが不適法不適正であることは明かである。そして、原告に多大な損害、損失があることも明白である。

にもかかわらず、損害、損失は生じていない旨主張しているのだから、被告には施行者にあるまじき法の不知、すなわち重過失があり、悪意と同視できる。もっとも、故意といっても過言ではない強度の悪質性が満ち溢れている。被告の本音を端的に言い表せば、地権者の財産をどのように扱うかはすべて施行者の自由な裁量によるのであり、当然に無償収用も合憲合法な行為であるといったところであろう。

以上のとおり、区画整理のプロであるべき施行者に善意の受益は観念しえず、被告は徹頭徹尾悪意の受益者であるから、返還義務の範囲を減少させる理由は存しない。

③ 立証責任

被告は不当利得の不存在を一切立証していない(注)。

被告は上記清算金の原資に基づく運用益相当額の受益がないことを立証しなければならない。

(注)金銭の利益が存在しないことの立証責任は受益者(被告)にある(最判平成3年11月19日)。

被告は本件清算金の原資について用意があると主張しているのであるから、その保有形態の如何(現金の形であるか、債権の形であるか等)を問わず、受益がないことを立証しなければならない。

④ 侵害利得の側面1(鎮守の森の横取り、不法占拠)

被告は立木補償契約により樹木群の所有権を獲得し、これらを自ら保存樹林として指定し、当該敷地の占有を継続した。それはまさに違法処分に続く前主の錯誤に乗じた被告の詐欺に基づく契約(注1)を根拠とした不法占有であることから、その占有料(土地使用料)相当額は不当な侵害利得(注2)に相当するものである。

(注1)違法に当該敷地の使用収益を停止させたうえで、さらに当該敷地を緑地整備の名目で占拠し続けた(樹木群の所有者は被告となった。)。被告のいう緑地整備は書面上保存樹林と指定したにとどまり、何ら管理といえるだけの行為は行っておらず、単にそのまま放置しただけである。その結果、本件仮換地に荒地化の波が押し寄せてきたことは既述のとおりである。

(注2)法律上、施行者に仮換地の使用収益権を付与する規定は存しない。被告は、違法な処分により、まず前主の使用収益を停止させたうえで樹木群を買い取り無償で当該敷地を使用し続けてきたのである。このような利用利益も当然不当利得である。

⑤ 侵害利得の側面2(留保行為とは無関係な利得)

被告のこれまでの主張を整理する

ア 繰り返し何事もすべて適法適正に行ってきたとし、一切の非を認めていない。

イ 今の仮換地がこのまま換地となる。※裁判長に対しても明言しており、原告に対しても従前から説明してきたとおりである。

ウ 予備換地や予備保留地はない。

エ 今後、清算金で対価を支払う。

これらの主張の真偽は定かではないが、これらの自白(すべて自発的に主張しているのだから自白と言ってよいだろう。ここでは、原告は被告のこれらの自白を援用する。よって、その立証は不要と解する。)から次のことが言える。

他の地権者に過分な仮換地を付与する行為は適法適正ではないから、すべて適法適正に行った(注1)というのであれば、本件逸失差積相当の土地はすべて公共用地又は保留地候補地(注2)に転化されたものと考えられる(それ以外はあり得ない。)。

また、原告に対し仮清算は行っていない(この事実に争いはない。)。よって、被告は何ら対価を払わずに本件逸失差積相当の公共用地又は保留地(候補地)を支配下に置き、道路、公園等を増設、整備し、あるいは保留地を管理し、その処分金(甲〇)を得てきた。対価の支払いなしに施行者が用地の取得、使用、管理、処分、受益することは法の許すところではないから、土地収用実務に準じた対価を支払うべきであった(注3)と考えられる。

したがって、当該対価の支払いを免れてきたところに相当の受益が認められる(注4)のであり、その金額は公共用地の買収あるいは土地使用に準じて把握されるべきである。なお、工事概成時は未到来の見解(注5)を示していることから遡及的に土地使用料相当額が支払われる可能性もない(注6)ことを付け加えておく。

また、本件従前地は公共用地にも保留地にもなっていないとの反論があれば次のとおり再反論する。

区画整理は、対象区域内で事業利益を受ける土地からその利益割合に応じた土地を供出させ(減歩)、換地分合の手法により、公共用地、保留地、換地を合理的に割付ける事業である。

必ずしも従前地が直接的に公共用地や保留地とされていなくとも、間接的には無償収用あるいは無償使用が観念できる(注7)ものであるから、本件逸失差積相当の土地は何ら対価の授受なくしていずれかの公共用地又は保留地の素地に供されたと考えられる。これを敢えて特定するなら全公共用地、全保留地(候補地)のうちこれらの合計地積に対する本件逸失差積相当の割合として把握することになろう。

したがって、本件逸失差積相当の土地の使用収益権喪失に係る累積的な経済不利益(本件損失)と被告の当該無償使用の累積的経済利益(本件受益)とは社会観念上の連結が認められる。

もっとも、次のとおり特定不要とも考えられる。

被告が行った公共用地、保留地の割付け作業は、各地権者からの過剰減歩(注8)により生み出された余剰宅地の分合の連鎖、位置的集約化を図って行われるものであり、本件において被告は本件減歩相当範囲(保存樹林指定した鎮守の森敷地が主たる部分)に係る経済的対価を詐欺により収奪し、公共用地等に割付けして特定不能としてしまった。これはあたかも各地権者から詐欺により金銭をかき集め一つの預金口座に基金化した総額の一部を恣意的に施行者自らへ配分する行為と同視できるからである。

要するに、被告自ら特定不能にしてしまったのであるから損失者が特定するには及ばない。被告が受益のないことを立証すればよいだけであり、それが公平の理念にも適う。

以上のとおり従前地の期間的な使用収益権が仮換地の期間的な使用収益権に対応するのであるから、「本件逸失差積相当の土地の使用収益権喪失」は、換言すれば本件従前地の一部の本権(所有権)に対する期間的(暫定的)な侵害に相当するのであり、被告の受益はいわゆる侵害利得を意味するものといえよう。

(注1)仮に、本件従前地の基準地積の一部が他の地権者に配分されたと被告が主張したとしても、”ここでは”それは他の地権者の不当利得ではないとする。なぜなら、被告はすべて適法適正に事業を行ってきたと主張しているのであるからそのような不当利得が生じる余地はないからである。つまり、自治体ともあろう者が私有財産の横流し(地権者Aの財産を地権者Bの財産にしてしまう行為は、言語道断あってはならないことである。)を行うわけがないことを前提とする。したがって、”ここでは”その配分は他の地権者の正当な権利の一部であり、返還義務は生じないことを前提とする。

(注2)保留地候補地についても管理権を有し、適宜裁量による処分により当該処分金を収入として得ることから、公共用地として一旦買収した後、それを転売するのと何ら変わらない。つまり、公共用地及び保留地は、事実上被告の取得用地と言っても過言ではない。形式上は換地処分によって確定するものではあるが、停止条件付で取得した土地というのが適切な表現であろう。

(注3)公共用地の利用利益も受益といえる。

(注4)収用の対価が今後の清算金であると仮定しても、支払時点の相違によりその経済価値は異なることから、その利息相当額は被告の不当な受益である。

 (注5)被告の曖昧な見解により、工事概成時の時期が大きく変動するのは妥当ではない。地権者は絶えず時効のリスクに晒されているのである。

(注6)収用の対価が今後の清算金であると仮定しても、支払時点の相違によりその経済価値は異なることから、その利息相当額は被告の不当な受益である。

(注7)公共用地として所有地を直接買収された地権者に対する代替地として、本件従前地(一部)が買収されたと考えることができる。これが多数の地権者間で複合的に行われるのが区画整理といえる。

一般的な公共用地買収事業とは比較にならないほど複雑な仕組みを有する区画整理事業の混沌の中で看過されやすい部分であるが、実態的には全地権者が受益に応じた分の土地を供出しなければ公共用地は増えない。つまり、その寄せ集めたものが公共用地等になるのである。

(注8)不正評価及び留保行為に基づく減歩であるから不同意の違法な過剰減歩である。

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