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土地区画整理事業/専門家相談事例回想録‐vol.59

お客さまからご相談いただいた、ある土地区画整理事業の事件概要をご紹介します。掲載にあたっては、お客さまのご承諾をいただいております。

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〇〇〇年(〇)第〇〇号

原告 〇〇〇〇

被告 〇〇〇 

〇〇地方裁判所第〇民事部御中

〇〇〇年〇月〇日 

準備書面(9)

〇〇〇都道府県○○区市町村〇〇〇丁目〇番〇号

原告 〇〇〇〇

訴訟代理人弁護士〇〇〇〇

 

(4)侵害利得の側面4(本件保留地に係る処分金運用益及び素地使用料)

不当利得に関連事項として、本件保留地(甲38)の推定処分価格を記載しておく。

なお、保留地処分価格は、すべて不動産鑑定士の鑑定評価によって決定していることから、公的評価たる相続税路線価からの推定が可能である。

まず、1画地は〇〇年売却であるから、前面路線の相続税路線価90,000円/㎡(甲105)に時価倍率(1.25)を乗じて、さらに地積176.83㎡を乗じて算出された19,900,000円程度と推定される(注1)。次に、11画地の〇〇年売却であるから、前面路線の相続税路線価90,000円/㎡に時価倍率(1.25)を乗じて、さらに地積150.00㎡を乗じて算出された16,900,000円程度と推定される(注1)。

最後に、12画地は何度かの値下げの末に〇〇年に売却されたことから、前面路線の相続税路線価77,000円/㎡(甲106)に時価倍率(1.25)を乗じて、さらに地積339.34㎡を乗じて算出された32,700,000円に30%程度割引して23,000,000円程度と推定される。

これらの合計金額約60,000,000円は保留地処分金として被告の懐で運用されているのである。また、合計地積約670㎡の素地は少なくとも整理前平均単価(60,000円/㎡※当初事業計画書(甲16)9頁)程度の経済価値を有すると考えられるからその取得原価は約40,000,000円程度と推定される。

これは、換地対照図(甲37、53)を見る限り、本件従前地の一部あるいは本件逸失差積相当の土地を主とするものである(注2)。

したがって、当該処分金の一部(約4千万円)に係る利息相当額(運用益)あるいは当該素地の土地使用料相当額は被告の不当な受益であり、前主(原告)の不当な損失で相当な因果関係を有すると考えることも十分可能である。

(注1)推定価格の算出であることから個別要因は省略した(各保留地とも地形減価は行われているものと思料する。※画地12は不整形の程度が著しく10%程度の減価は必要であろう。)。

(注2)本件逸失差積相当に対する仮換地が前主に対し付与されていれば、本件保留地の当街区(〇街区)への割付は明らかに不可能である。

(5)説明拒否

本件事業区域内人口、評価員の経歴、事業進捗率につき質問書(甲77)により回答を求めたものの応答を拒否されたままである。これで説明義務を果たしてきたと主張しているのだから呆れるばかりである。

評価員については、土地建物の評価につき専門知識を有する者のみがその任をあずかれるのである。被告の杜撰な評価に対し、評価員がどのような意見を付したのかは非常に重要であるが、その前提として、その見識を有する者が評価員として任命されていたのか否かを確認する必要があることから回答を求めたものである。あの杜撰な評価に対し何ら意見を付さずに、あるいは適正だとお墨付きを与えたのだとすれば、評価員としての資質を疑われても反論の余地はなかろう。

もっとも、下請業者の作成したものがそのまま最終評価になったというのが真相であり、評価員は何ら検証せず、意見も付していないというのが実情であろう。

(6)立竹木位置図(甲107)について

被告は立木買収にあたり、隣接地権者の集合を呼びかけ土地境界の確認を行ったうえで、本図(甲107)及び契約書別表(甲10)のとおり立竹木一本一本につき樹種、寸法の認定を行い、位置の確認を行った。

この土地の範囲は机上測量で700~800㎡程度である。これと仮換地全体地積(1,868㎡)を合わせると明らかに過剰減歩であることは容易に認識しうる。書類上は公簿地積に按分地積を加えた2,050㎡程度が基準地積とされていたのであるから、10%程度の減歩ではないことに気付かないわけがない(注)。

施行条例の「明らかに事実と相違すると認める」に該当する事実であることは明白であった。「認める」の意味は客観的に認識しうることを指す。被告は無償収用主義であることから、恣意的にこの事実を黙殺したと考えるのが相当である。

(注)この点、前主に帰責性がないことは準備書面(7)12~13頁、準備書面(8)7~8頁で詳述したとおりである。

(7)祠屋根の銅板葺きについて

〇〇年に行った前主による祠屋根の葺替工事(甲93)には最高級資材である銅板が使用されている(甲108)。ここにも、前主の神社、先祖への敬意が見られる。前主は被告のなした無配慮な歪化、極小化が違法行為であることにも気付かず、末永く神社の維持継承を願いつつ、他界したのである。

(8)照応違反について

被告の緑地整備放棄により、今後、祠のすぐ脇まで駐車場化される事態も想定される。前主が永続を願いつつ、定期的に費用を投じその維持、保存を図った神聖なる祠に忍び寄る危険、不快な状況(注)も受忍しなければならない仮換地は、「位置」、「利用状況」、「環境」の点で明らかに不照応である。

(注)祠に向かって車両が突っ込み、排気ガスが吹きかけられる等の可能性もある。事業開始前には考えられない事態で、尊厳破壊に通じる明らかな照応違反である。

(9)請求の併合について

特に争点にはなっていないが、憲法第29条に基づく損失補償請求((注)行政訴訟)と国家賠償請求(民事訴訟)との併合も両者の関連性が密な場合には許される(最判平成5年7月20日)。

(注)最判昭和43年11月27日

本件については、法に損失補償に係る明文規定がないことは明らかである。収用委員会事務局からは明文の規定がある場合のみ裁決申請を受理するとの回答を受けているため、司法におけるご判断をお願いするものであります。

以上

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