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不動産専門家相談センター東京
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ここでは、お客さまから地代、家賃等不動産の賃料に関するご相談をいただく際によく登場する「供託」についてお伝えします。
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1 弁済供託の意義
債務者は、契約等に基づき債務を履行する義務が生じるが、履行する意思があっても履行しえない場合があります。例えば、債権者が受領を拒否する場合や債権者の所在が不明な場合等の債権者側に生じた何らかの事情により履行できないケース、あるいは債権者が誰であるかを確かめることができないような状況にあるときは債務者は債務を履行することができません。
このような場合であっても債務者は絶えず履行の準備をしておかなければならず、また遅延損害金が発生するのを阻止することもできないとなると、債務者側の不利益は甚だしいといえます。
そこで、このような場合であっても債務者は債務の目的物を供託所に供託することによって債務を免れることとし、債務者側の利益に配慮する仕組みが弁済供託といえます。
2 弁済供託の要件
弁済供託により債務消滅の効果を生じさせるためには次の3要件を満たす必要があります。
(1)債務の目的物が供託可能なものであること
何かを付与する債務は供託することが可能ですが、何かをなす債務は性質上供託することはできません。前記のとおり、金銭、有価証券のほか、動産、不動産も供託物として供託の対象となります。
また、債務は、契約に基づくものに限らず、不法行為に基づく損害賠償債務や不当利得返還債務等についても供託することができます。
(2)債務が現存し、確定しているものであること
将来発生する賃料債務については、先払いに関する特約がない場合にはあらかじめ供託することはできないとされています。
賃料は一定の期間が経過するごとにその間における使用収益の対価としてその債権債務が生じるものですので、契約上先払いの特約がないにもかかわらず、賃料を前払いをすることは、生じていない債務に対して弁済の提供をすることとなり、受領を拒否されたとしても供託が可能となることはありません。
それでは、賃料の支払時期を例に、具体的に債務の現存及び確定をどのように判断されるのかみてみましょう。
①まず、賃貸借契約上「毎月末日払い」とされている場合は、毎月末日をもって賃料の支払期日と確定する約定と解されますので、借主が当月末日よりも前に賃料の提供をしたとしても、債務の本旨に沿った弁済の提供とはいえませんので、貸主が受領を拒んだとしても供託することはできません。
②では、賃貸借契約上「毎月末日までに払う」とされている場合はどうでしょうか。これは、賃料の支払時期を期間をもって定めたものと解されますので、当月分の賃料はその1日から末日までのいずれか任意の日に提供することができます。よって、受領を拒まれた場合はそれ以降いつでも供託可能となります。
次に、不法行為に基づく損害賠償額に争いが生じている場合についてみてみましょう。
この場合は、供託対象となる債務が確定していないようにも思えますが、客観的には初めから一定の債務額が確定しているものと捉え、民法第494条に規定される要件(受領拒否等)を満たす場合には確定債務として弁済供託することが可能です。
この場合の供託金額は、加害者(債務者)が相当と認める金額となり、不法行為に基づく損害賠償債務は不法行為の時から遅滞に陥る(判例)ことから、不法行為の時から提供日までの遅延損害金も合わせて供託する必要があります。
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第494条
債権者が弁済の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、弁済をすることができる者(弁済者)は、債権者のために弁済の目的物を供託してその債務を免れることができる。弁済者が過失なく債権者を確知することができないときも、同様とする。
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(3)供託原因が存在すること
民法第494条に規定される受領拒否(不受領意思明確)、受領不能及び債権者不確知(無過失)の3つの供託原因のうち、いずれか1つが存在する必要があります。
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