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土地区画整理事業/専門家相談事例回想録‐vol.69

お客さまからご相談いただいた、ある土地区画整理事業の事件概要をご紹介します。掲載にあたっては、お客さまのご承諾をいただいております。

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〇〇〇年(〇)第〇〇〇〇号 損害賠償請求控訴事件

控訴人  〇〇〇〇

被控訴人 〇〇〇 

準備書面(1)

〇〇〇年〇月〇日 

〇〇高等裁判所 御中

〇〇〇都道府県○○区市町村〇〇〇丁目〇番〇号

控訴人 〇〇〇〇

訴訟代理人弁護士〇〇〇〇

 

(2)補足

① かつて、清算金制度の法的性格につき、原裁判所は換地不照応と強減歩はともに換地照応の原則の適用がない場合であるから不均衡是正をするという清算金の特質になじまず、損失補償的な性格を有するものとしている(さいたま地方裁判所平成19年(行ウ)第29号)。

このように、当局自ら換地不照応と強減歩を同一視しているのである。ここでいう強減歩の意味するところは法第91条第5項の規定に基づくもののみを指しているかは判然としないが、後述する経済的実質の観点からは、本件もこの強減歩と何ら異なるところはない。

したがって、原告主張を排斥するならば、換地不照応と本件のような強減歩との相違点を経済的実質の観点から明らかにした上で、つまり条文上期間損失補償を要するとされている換地不交付の場合との対比に基づき、本件においては当該補償を要しないと結論づけしなければならない。

この点、原判決はこの対比をまったくしておらず失当である。

② 以下、「経済的実質の観点」につき説明する。

被告の行った手続きに違法性、不当性が一切ないと仮定した場合であっても、本件仮換地は旧基準地積に基づくものであり、残余の減歩地積(562.88㎡)に対しては照応する仮換地が付与されていない事実は隠しようがない(争いもない)。

したがって、経済的には残余の減歩地積分は換地不交付と何ら異なるところはないのであるから、これまでの期間損失に対し、補償を要しないとする論拠を明確にするのが司法当局の使命である。現行法上、明確な規定が存在しないのであるから、それに代わる規範を定立すべきである。

もっとも、562.88㎡もの土地を無価値、つまり、後述のとおりあり得ないが市場価格がゼロであることを立証する以外にその論拠は存在しない。

なぜなら、基準地積を実測地積に基づき定めるのが合理的であるとしながらも、公簿地積によることも許容されるとする理由は、費用、労力の浪費及び事業遅延を回避するところに社会的公共的合理性が見出せるからに過ぎず、縄延相当の土地所有権が消滅するものではないからである。

換言すれば、公簿地積による方法はあくまで「やむを得ない措置(最判S32.12.25、最判S55.7.10)」に過ぎず、それ以上の意味を含有していないからである。

地権者側から見れば、拙速に土地を縮小されたうえに、補償すら要しないとされるのは、残余の減歩地積相当の土地に係る使用収益権剥奪を肯定されるのと同義であり、このような2重苦を強いる法解釈は現行法制下においては認められていない。この理は、たとえ後日清算金等の名で交換の対価(換地処分直前時の時価)が支払われたとしても変わらない。

なお、原判決が引用したと考えられる最判S56.3.19の第一審判決では、「すべての財産権は交換価値によって把握されるところから右私有財産権の保障は必然的に右交換価値の保障を意味することになる。そこで本件損失補償の当否の判断は交換価値の損失の有無にかかっている」としている。

繰り返すが、原審では、交換価値の比較すら行おうとしていない。また、判決理由は被告の主張を漫然と書き写しただけのものであり、職責放棄も甚だしい。

損害賠償、損失補償の請求事件なのであるから、原告の主張を排斥する上では少なくとも具体的な計算式の表示を行ったうえで、損害額、損失額がゼロであると結論付けしなければ到底承服できるものではない。

③ なお、従前地の価値について、「地区境広幅員沿いは高く、中央部は低く、平均では60,000円/㎡」(甲16(P5))とされており、従前地路線価が地区内最高を示す1000点とされていることからも、残余の減歩地積相当分の経済価値がゼロであったということはあり得ない。

また、残余の減歩地積562.88㎡は背後の〇〇団地を例にとれば、数棟分の宅地規模であり、到底無視し得る誤差、乖離とは言えず、かつ、これに均衡する仮換地が付与されていない、そして、将来的に増換地されることもない(被告は清算金対応する旨表明しているのであるから明らかである。)点は争う余地がないのであるから、残余の減歩地積相当分の土地の使用収益に係る経済価値は事業の受益により回復(還元)が見込まれるものではない。

よって、「利用価値の増加が見込まれる」素地そのものがないのであるから、換地不交付同様「直ちに損失が生じたもの(〇〇〇年〇月〇日以降)」と考えるのが相当であり、これを覆す論理は存在しない。

したがって、適法適正処分を仮定したとしても、残余の減歩地積562.88㎡の土地については、日々使用収益相当額の損失が生じているのであり、争うべき論点はその損失金額はどの程度が相当かということのみである。

なお、被告は説得力ある論理が示せないものだからただ「争う。」(原判決19頁)とするだけで、また、原裁判所は何の思慮もなく被告の主張に追随するだけであるから何ら損失ゼロとする計算式すら示せないのである。

④ ちなみに、本件処分の適法適正を仮定した場合の対象期間における各月損失額は、残余の減歩地積相当分の土地に係る地代相当額により求めるのが合理的であるから次の計算式によりその概算額が算出される。ただし、1月に満たない期間の場合は日割計算となる。

なお、残余の減歩地積相当分の土地に係る交換の対価あるいは不均衡部分の対価は清算金により対応する旨を被告が表明している以上、将来的に増換地がなされることはないのであるから、地代率は土地収用に準じ、年6%とするのが相当である。

【控訴人らの合計】

〇〇〇年中各月地代相当額

205,026円×0.95×562.88㎡×6%×1/12 ≒ 548,174円

〇〇〇年中各月地代相当額

199,375円×0.95×562.88㎡×6%×1/12 ≒ 533,065円

〇〇〇年中各月地代相当額

116,875円×0.95×562.88㎡×6%×1/12 ≒ 312,486円

〇〇〇年中各月地代相当額

108,625円×0.95×562.88㎡×6%×1/12 ≒ 290,428円

〇〇〇年中各月地代相当額

100,375円×0.95×562.88㎡×6%×1/12 ≒ 268,371円

〇〇〇年中各月地代相当額

96,250円×0.95×562.88㎡×6%×1/12 ≒  257,342円

〇〇〇年中各月地代相当額

96,250円×0.95×562.88㎡×6%×1/12 ≒  257,342円

上記損失額を基礎に遅延損額金を加えた額が請求額となる。

【控訴人〇〇分】

〇〇〇年中各月地代相当額

205,026円×0.95×5.52㎡×6%×1/12 ≒ 5,376円

〇〇〇年中各月地代相当額

199,375円×0.95×5.52㎡×6%×1/12 ≒ 5、228円

〇〇〇年中各月地代相当額

116,875円×0.95×5.52㎡×6%×1/12 ≒ 3,064円

〇〇〇年中各月地代相当額

108,625円×0.95×5.52㎡×6%×1/12 ≒ 2,848円

〇〇〇年中各月地代相当額

100,375円×0.95×5.52㎡×6%×1/12 ≒ 2,632円

〇〇〇年中各月地代相当額

96,250円×0.95×5.52㎡×6%×1/12 ≒  2,524円

〇〇〇年中各月地代相当額

96,250円×0.95×5.52㎡×6%×1/12 ≒  2,524円

上記損失額を基礎に遅延損額金を加えた額が請求額となる。

【控訴人〇〇分】

〇〇〇年中各月地代相当額

205,026円×0.95×557.36㎡×6%×1/12 ≒ 542,798

〇〇〇年中各月地代相当額

199,375円×0.95×557.36㎡×6%×1/12 ≒ 527,837円

〇〇〇年中各月地代相当額

116,875円×0.95×557.36㎡×6%×1/12 ≒ 309,422円

〇〇〇年中各月地代相当額

108,625円×0.95×557.36㎡×6%×1/12 ≒ 287,580円

〇〇〇年中各月地代相当額

100,375円×0.95×557.36㎡×6%×1/12 ≒ 265,739円

〇〇〇年中各月地代相当額

96,250円×0.95×557.36㎡×6%×1/12  ≒ 254,818円

〇〇〇年中各月地代相当額

96,250円×0.95×557.36㎡×6%×1/12  ≒ 254,818円

上記損失額を基礎に遅延損額金を加えた額が請求額となる。

※各残余の減歩地積について、〇-〇と〇-〇の両筆に係る各旧基準地積は現基準地積の比率により按分して求めた数値を採用。

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