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土地区画整理事業/専門家相談事例回想録‐vol.71

お客さまからご相談いただいた、ある土地区画整理事業の事件概要をご紹介します。掲載にあたっては、お客さまのご承諾をいただいております。

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〇〇〇年(〇)第〇〇〇〇号 損害賠償請求控訴事件

控訴人  〇〇〇〇

被控訴人 〇〇〇 

準備書面(2)

〇〇〇年〇月〇日 

〇〇高等裁判所 御中

〇〇〇都道府県○○区市町村〇〇〇丁目〇番〇号

控訴人 〇〇〇〇

訴訟代理人弁護士〇〇〇〇

 

一 訂正箇所

控訴人準備書面(1)9頁12行目中「疎明するに過ぎない。」を「意味するにとどまる。」に、10頁25行目及び28行目中「換地不照応と強減歩」を「換地不交付と強減歩」に、31行目中「、換地不照応と本件のような強減歩」を「、換地不交付と本件のような強減歩」にそれぞれ訂正する。 

二 被控訴人準備書面(1)について

1 特段留意すべき新しい主張は見当たらない。よって、これに対する反論は以下の記述にとどめる。なお、特に触れなかった部分については、これまでに提出した書面等を再読することにより控訴人の主張を確認されたい。

2 「第1 本件の特色について」について

(1)「原裁判所から問いかけ等があったにも拘わらず・・・・・・議論を不明確にしてきた」との記載について

① 被控訴人のいう「登記の増歩分」及び「仮換地指定に伴う減歩分」について、原裁判所から区別せよとの問いかけ等は行われておらず、そのような詳細分析を試みようとする訴訟指揮は皆無であった。

もっとも、控訴人は、両者については訴状等において「不実の基準地積」、「土地評価基準違反」、「換地設計基準違反」等として細かな項目建てを行い、詳細な説明を行ってきた。

② 非論理的な構成により、両者を一緒くたにして判決理由を示したのは原裁判所であり、控訴人ではない。

なお、控訴人の訴えは、損害賠償請求であり、損害は仮換地指定処分を契機として生じたものである。「不実の基準地積」の採用、「土地評価基準違反」、「換地設計基準違反」等が重層的に行われ、その集大成として仮換地指定がなされたのである。

また、違法性が阻却された場合は、損失補償請求となるが、損失についても仮換地指定処分をきっかけに生じたものであることに変わりはない。

要するに、損害額又は損失額を算定するにあたって、被控訴人のいう「登記の増歩分」及び「仮換地指定に伴う減歩分」を区別する実益はない。具体的な損害額又は損失額は、従前従後の資産価値の格差及びその持続期間を基礎に算定されるべきものである。

被控訴人の主張は、今日までの事実関係を細分化することにより、一つ一つを小さな問題として片付けようとするものである。細分化すればするほど一つ一つが小さくなるのは当然である。仮に一つ一つが小さな問題であっても、それらが重なることにより被害は甚大となるものである。

(2)「、今回の準備書面(1)9頁・・・・・・認めている。」との記載について

被控訴人の誤解、あるいは意図的に控訴人の主張を歪曲したものである。控訴人準備書面(1)8頁15行目から14頁36行目までの主張は、原判決の(被告側の違法性なしを前提とする)損失補償請求権の存否に係る判断に対して批判した部分である。

原判決が違法性なしを前提として損失補償請求権の存否を論じる構成をとっていることから、控訴人は敢えて違法性なし、すなわち適法であることを仮定したうえで反論しただけである。

書面をよく確認していただきたい。誤解されないよう「議論を簡明化するために、百歩譲って・・・・・・と仮定しても、」(9頁8行目~9行目)と記載している。

なお、控訴人は、仮に適法であったとしても、さらには、生じていることが明らかな最低限の損失の存在を敢えて説明したのであって、損害額、損失額を縮減したわけではない。

原判決の不当性を説明するために、敢えて百歩譲った仮定をし、さらには否定する余地のない最低限の損失を説明したに過ぎない。

また、控訴人は、「登記の増歩分」こそが根本的、本質的問題などとは一言も言っていない。適法性を仮定しても、否定し得ない損失の存在を説明し、原判決の瑕疵を訴えたのである。

(3)「控訴人の〇からは、・・・・・・問題は全く生じなかったものである。」との記載について

① 前回期日(〇〇年〇月〇日)において、裁判官の問いかけに対し、〇の言動に関する記録はない、また、当時の担当職員も退職していると説明していた。にもかかわらず、都合の良い推測に基づき、あたかも事実であったかの如く〇の行動を細かに描写している。裏付けとなる書証を提出すべきである。

② 仮換地の地積確定に至る経緯について、被控訴人からの説明は皆無であった。

つまり、〇が公簿地積を認識していたとしても、どのように縄延地積の按分がなされたのか、その結果、基準地積が何平米となったのか、またどのような土地評価が行われて減歩されたのかについては開示されていないのである。事実として、説明されたことを示す書証すら提出されていない。

これら詳細については、ただ被控訴人を信頼して疑わなかっただけである。被控訴人から仮換地の図案を示され、これに対し修正の要望案を提出したにもかかわらず、最終的には醜い地形を押し付けられたというのが現実であって、事実はそれ以上でもそれ以下でもない。

地積に不満がなかったというより“適正に按分された”実測値に近い基準地積に基づき、かつ“適正な”評価により減歩された結果の地積であろうと盲信していただけなのである。

③ 被控訴人は、意図的に公簿地積によることの問題に論点をすり替えている。控訴人は、申請期間の短さ、隣接地権者同意取得の困難さ、特に補助規定(更正規定及び按分規定)の形骸化についての不服を訴えているのに正面から向き合っていない。

採用されていた旧基準地積は実測値と大きく乖離しており、かつ、これに違法評価が拍車をかけ、著しい換地不照応となってしまった以上、換地設計の違法性は否定し得えず、施行者として結果責任を負うべきである。〇には責められるべき何らの落ち度もない。

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