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土地区画整理事業/専門家相談事例回想録‐vol.74

お客さまからご相談いただいた、ある土地区画整理事業の事件概要をご紹介します。掲載にあたっては、お客さまのご承諾をいただいております。

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〇〇〇年(〇)第〇〇〇〇号 損害賠償請求控訴事件

控訴人  〇〇〇〇

被控訴人 〇〇〇 

準備書面(2)

〇〇〇年〇月〇日 

〇〇高等裁判所 御中

〇〇〇都道府県○○区市町村〇〇〇丁目〇番〇号

控訴人 〇〇〇〇

訴訟代理人弁護士〇〇〇〇

 

⑦ 13頁4行目からの上水道に係る記載について、〇道沿い既存宅地等事業開始前から地権者負担により上水道の使用が可能であった土地と田畑を同一扱いとする処理は甚だ公平性を欠くものである。

この点に対する補正措置も行われていない。本件路線には既設のものがあり、容量的にも充足していた。150㎜もの追加的な水道管敷設は明らかに不要であり、これは水道課の職員も認めている事実である。

もっとも、これは新開発型区画整理の土地評価基準の雛型をそのまま採用してしまったものであることに端を発した問題である。要するに何もインフラ整備されていない区域用の基準なのである。本件路線沿いや一部の団地には既に上水道引込済の住宅が連たんしていたのであり、何らかの補正をすべきである。それがなされないのであれば明らかな不正評価であり、評価員の資質も疑わざるを得ない。

次に、14行目からのF(P)値に関する記載について、相変わらず論点を意図的に外している。仮に計算式が適切であったとして、その適用が適切であったことを何ら証明していない。控訴人の指摘に対する反証がまったくなされていない点は従前と何ら変わりがない。本件路線と狭隘密集住宅団地とでは防火保安性の程度に雲泥の差がある。これを同一扱いするようではもはや評価ではない。評価員の責任問題でもある。

さらに、18行目からの相続税路線価による検証について、控訴人は被控訴人が言うような単純比較など行っていない。原審における準備書面等を確認されたい。繰り返すが、控訴人は土地評価の〇〇〇〇を有するが、素人でも容易に立証できる最低限度の主張しか行っていない。また、明らかに誤っていること以外は指摘していない。

最後に、27行目から次ページにかけての不整形補正について、全画地に不整形減価を行っていないと力説しているが、何が言いたいのか不明である。基準は何のためにあるのか。一切不整形減価は認めないという裁量が許されるものではない。鑑定の立場からはあり得ない処理である。もはや評価とはいえない。

皆同じ扱いなのだから公平だという主張であれば、公平性の意味をはき違えており失当である。基準の冒頭を再読されたい。様々な個性を持つ各画地の客観的な価値を算出するためには統一的な基準が必要であり、その適用に際しては公平な物差しにより平等に取り扱うことが重要なのである。整形な土地も不整形な土地も減価しないことが公平なのではない。

⑧ 「その他補正」が「不整形補正」の代わりである可能性があるとの記載について、被控訴人は、「その他補正」は本件地と隣接する〇〇〇神社にのみ適用されているものだと従前に説明していた。

不整形減価は全画地に不適用と強調しながら、本件地については不整形減価した可能性があるなどと言い、何と一貫性のない杜撰な説明であろうか。施行者としての資格はない。

⑨ 15頁3行目「〇の要望を受けた結果」との記載について、〇の要望を拒絶した結果の誤りである。〇の要望は、妥協案(乙2)に示されているように、神社の尊厳が維持されるように象徴たる祠の周囲のスペースを十分に確保したうえで、被控訴人から示された当初案の大凡の地積から乖離しないよう最大限の配慮をした地形である。

もっとも、地積について不満がなかったというのは被控訴人の勝手な解釈である。地積と地形とは別個に論じるべきものではない。いずれも土地の価値を構成する重要な要素であり、換地設計において、価値一定(従前地価額)を前提に、換地の地形が悪ければ地積を増し、地形が良ければその分地積を減じることで換地価額一定(従前地と等価)となるよう調整されるものであり、両者は密接な相関関係を有するのである。

つまり、地形は要望どおりではないかもしれないが、地積に不満はなかったということは、正確ではない。地積については、適正に定められたであろう基準地積(ここでいうのは、単なる公簿地積を指すのではない。適正な按分がなされたうえでの実測地積に近い基準地積である。)を基礎とし、さらには適正なる土地評価により定められた(減歩された)はずの地積であるからと、盲信していたから不満を口外しなかっただけである。

仮換地地積の算出過程については、何ら情報が開示されていないのであるから無理もない。30年間、地積更正登記しなかったのが問題だったのではなく、適正な按分による基準地積、適正評価に基づく適正減歩であろうと、つまり相応の価値増、受益があるのであろうと盲信させられていたことが問題なのである。要するに、信じた方が全部悪いのか、騙した方が全部悪いのか、あるいは両者の過失割合の問題かということである。

次に、7行目「本件従前地を全て神社としてそのまま残すのではなく、宅地として活用していくことを希望していた」との記載について、〇が宅地として活用しようとしていたのは、妥協案(乙2)に示されているように、神社の尊厳を維持するために祠の周囲のスペースを十分に確保したうえでの残余の部分、つまり当時の〇〇敷地及び〇道部分並びに現在の西側隣接地の私道部分を指す。

さらに、15行目からの路線価の件であるが、この部分の控訴人の主張は被控訴人が定めた路線価の誤りが違法であるから、それを基に定めた仮換地も違法であるという違法性が主たる論点である。

最後に、21行目から次ページにかけての「土地の経済価値」及び「清算金での対応」について、まず、被控訴人は控訴人の説明が論理的に破綻している旨主張しているが破綻などしていない。控訴人のいう「土地の経済価値」に関する論理は、鑑定理論や都市経済学における収益性の観点から価格を捉える考え方が最も説得的である。

被控訴人は、「土地の対価分」と「期間損失」を「土地の経済価値」という言葉の中に混同させている点で論理的でない旨訴えているものと思料する。しかし、土地の所有権に基づく経済価値とは、土地を使用収益する権利及び処分する権利の各経済価値により構成されるものなのである。土地は非償却資産であるから、その収益価格(経済学的には収益還元価格という。)は次の算式により求められる。

ア 直接還元方式

P=a1/(1+R)+a2/(1+R)2+a3/(1+R)3+a4/(1+R)4 +a5/(1+R)5+ ・・・・・・ +an/(1+R)n

P:収益(還元)価格 

an:第n期の純収益(地代) 

R:還元利回り

上記算式はnを無限大として変形すると P=a/R と表される。

イ DCF(discounted cash flow)方式

(式省略)

土地の経済価値を貨幣額表示したものが土地価格であり、収益性の観点から考察される収益(還元)価格は、将来において得られるであろうと予測される収益(地代及び処分価格)をその発生時期に応じて現在価値に割戻し、それらの金額を合計したものであり、上記2式は結論的には同一価格を指向するものである。ここで理解されるように、「土地の対価分」は土地価格を、「期間損失」は各期の逸失した収益(地代)に相当するものであるから、両者の関係を要約すれば前者を構成するものが後者であり、また後者の割引現在価値の総和が前者なのである。

なお、他の地積更正登記を行った者に対し期間損失を認めていないとしているが、だから公平だとでも言いたいのか、主訴が不明である。

「土地の対価分」を清算金でとの説明については、先般、被控訴人は裁判所からその論拠を示すよう求められていたので、その回答を待つことにする。なお、清算金単価は実勢を大きく下回る平米当たり54,000円(路線価指数1000個の場合)を標準に時点修正なしとされたことは前述のとおりである。

⑩ 17頁5行目から7行目までの「換地処分前の現時点では、・・・・・・争うこともできない。」との記載について、消滅時効を主張している事実と矛盾する。損害、損失の存否、その程度は施行者にその判定する権限が専属するものではない。客観的に判断されるべきものである。不服があれば、控訴人に被害がないことを立証すれば良い。

〇は生前約2600㎡もの土地を所有し、使用収益していたのである。それが仮換地指定を契機にどうなったか、考えるまでもなく大きな不利益を長期にわたって継続的に受けてきたのである。

次に、12行目からの清算方式について、被控訴人は恣意的に比例率を1に調整することで事実上差額清算方式を採用しているといえる。これは、地権者に利得を与えないようにするための調整であり、計算を誤れば減価補償金を支払わねばならない事態となる綱渡りの選択である。一方で黒字収支を確保したとして保留地収入を放棄し、公共用地編入増を図っている。何でもやりたい放題である。

次に、17行目から19行目にかけて、補償規定がないから請求権もない旨訴えているが前述のとおり規定がないほどの異常事態だということである。したがって、違法性があれば損害賠償、違法性がなければ土地収用法等の準用あるいは憲法による損失補償の各請求権が生じるとするのが妥当である。

次に、23行目から次ページにかけての強減歩については、前述のとおりである。

⑪ 18頁25行目から19頁2行目までの記載について、「約30年もの間、何ら地積に関しての指摘をしなかった」とあるが、そもそも基準地積が何平米であるか明かされておらず、当然に按分地積や土地評価による減歩率ですら非開示であったことの方を問題視すべきである。〇は施行者が何事も適正に行っていると信じ込んでいただけで、何ら帰責事由がない。

⑫ 19頁4行目「他の権利者へ多大な影響がある」と記載しているが、施行者の落ち度を地権者に転嫁するような発言である。具体的にどのような影響があるのか明確にせよ。

次に、12行目「結果的に他の権利者が負担することになる」との記載は、前述のとおり失当というより、失言である。多額の保留地収入を放棄している事実に照らし、正気の発言とは考えられず、呆れるばかりだ。

⑬ 20頁16行目「損失がない」としているが、17頁6行目では「損失の有無さえわからない」としており、主張に一貫性がない。

次に、18行目「工事概成時」については、被控訴人が清算金対応だと主張してきたことから、控訴人が持ち込んだ論点である。本件訴訟に関係ないというなら清算金も根本的なところでは本件訴訟には関係ない。

五 その他

被控訴人から〇〇年〇月〇日に送付された証拠説明書等に対する主張は、精査する時間的猶予が与えられていないことから、本書には含まれていない。

最後に、基準変更の具体的な理由(変更箇所ごとに詳細な理由)について、法廷の場で明確となるよう訴訟指揮をとられることを要望する。

以上

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