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土地区画整理事業/専門家相談事例回想録‐vol.75

お客さまからご相談いただいた、ある土地区画整理事業の事件概要をご紹介します。掲載にあたっては、お客さまのご承諾をいただいております。

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〇〇〇年(〇)第〇〇〇〇号 損害賠償請求控訴事件

控訴人  〇〇〇〇

被控訴人 〇〇〇 

準備書面(3)

〇〇〇年〇月〇日 

〇〇高等裁判所 御中

〇〇〇都道府県○○区市町村〇〇〇丁目〇番〇号

控訴人 〇〇〇〇

訴訟代理人弁護士〇〇〇〇

 

一 判決理由に対する要望

繰り返しになりますが、本件判決にあたっては次の二点について論理的かつ明瞭な理由づけがなされるよう強く要望致します。

(1)期間的な損害(損失)の有無の判断

(2)(1)において有りと判断された場合における請求権の有無の判断 

二 乙第24・25号証について

本件において清算金が交付されるのであれば、それを拒む意思はない。ただし、それだけでは受けた全損害(損失)が償われるわけではないことを何度も主張してきた。

被控訴人が今回提出したこれらの書証は、期限後更正登記に対応して基準地積を正したうえで清算すべきことを示唆しているに過ぎず、それのみで幕引きが正当化されることを保証するものではない。

清算金の算定法にまで言及しておらず、どのような清算をすべきかは個別に判断されるべきものだからである。

なお、乙第25号証90頁31行目に按分更正に係る留意点が示されている。そこには、山林、農地等は縄伸びが多い区域である旨、施行地区内の縄伸びの状況を十分調査した上で区域分けすることの必要性が強調されている。

つまり、十分調査していれば、本件のような事態は起こり得なかった。業者に丸投げしただけで、実態調査などまったく行っていないのであるから過失責任、結果責任を負うべきは被控訴人である。 

三 被控訴人準備書面(3)について

1 〇が公簿地積によることを問題にしていなかった旨の記載について

被控訴人は随所にこの主張を繰り返しているが騙されてはならない。

〇は基準地積が何平米であるかについては知り得なかったのである。知っていたのは公簿地積と仮換地地積のみである。

被控訴人は言葉巧みに公簿地積=基準地積を正当化しようとしているが、基準地積は施行者の裁量を許すものではない。

判例を掲げ示したとおり、基準地積は施行条例に基づき定めなければならないものなのである。本件においては、更正規定及び按分規定を適用したうえで定めなければならない。

被控訴人は、更正規定や按分規定の重要性を看過したが故に、公簿を原則とすることの適否へと論点を誘導しようとしているのである。つまり、司法の目が職権更正の是非や按分の適否に向かわぬよう謀っているのである。

なお、〇の認識としては、何平米かは知らないが適正に縄伸び按分された筈の基準地積と仮換地地積の差積は事業による受益と相殺されるべき適正評価に基づく適正な減歩だと盲信したに過ぎない。

2 2頁27行目から3頁11行目までの記載について

前半部分については、構造物(祠)より記載距離に近い間隔を取らなかったことが何より致命的なのである。

また、後半部分の同意書は、方針転換後における全体形状を固定したうえでの内部線変更に係るものであり、本件の論点とは無縁である。

なお、最後の公簿地積によることの問題は、これまで説明してきたとおり問題の本質を巧妙にすり替えたものである。

繰り返すが、〇には基準地積が何平米であるのか一切知らされていないのである。基準地積の決定は決して施行者の裁量に委ねられたものではない。実測値又は適正な按分補正をなしたもののみが適正な基準地積と言い得るのである。

〇が把握していたのは公簿地積と仮換地地積だけであり、基準地積は適正な按分がなされて定められている筈だから、これと仮換地地積の開差率すなわち減歩率は事業による受益の程度、すなわち増進率の裏返しであろうと盲信しただけである。

そこには、〇がやることに間違いはないであろうという一種の信頼があったものと思料する。

公簿原則に係る施行条例の規定に違法があったと訴えているのではなく、補助規定の重要性を看過した点を訴えているのである。

3 3頁12行目から22行目までの記載について

清算金対応については冒頭で述べたとおりであるが、期間損害(損失)に対し、賠償(補償)しなくても良いとする論拠が欠けている。

4 4頁2行目から11行目の記載について

同じことの繰り返しとなるので再反論は控えたい。被控訴人は、土地評価の違法性について議論したくないようである。

5 4頁12行目から22行目の記載について

地積は如何ともし難い、換言すれば正しく按分された基準地積及び適正評価に基づき決められた仮換地地積であろうと盲信しただけのことである。

妥協案(乙2)を見れば明らかである。希望すればいくらでも地積を増やして貰えると考えていたのであれば、あのような不整形な地形をわざわざ要望する理由はない。

限られた地積の中で、神社の尊厳に配慮し、要望したのである。地積が増えるのを拒む者などいるわけがなく、地積には不満がなかったと決めつけるのは被控訴人の身勝手な解釈に過ぎない。

もっとも、妥協案は机上計測によれば、訴外相続人分を含む仮換地全体地積を10%程度上回っている。このことからも地積の点でも満足していなかったことが窺われる。

6 4頁30行目から34行目までの記載について

被控訴人の自己都合による作り話である。広げられた可能性が考えられるとすれば、それは東側の〇有地部分である(甲37・42)。

もっとも現在の南西側に不自然に突出した醜い敷延部分は当初から〇が予定していた土地利用計画の具体化ではない。

当該突出部分を使用している訴外相続人は〇が有していた別の土地(近隣)を借り受け、そこに新居を構える予定であった。

ところが、その土地が市街化調整区域であったことから〇建築当局から市街化区域内の当該突出部分に建築するよう行政指導されたのである。

要するに、市街化区域内に土地を持っているのだから、市街化調整区域内での建築は認められないとされたことによるのである。

被控訴人は、現在の土地利用形態があたかも仮換地指定時の〇の予定どおりであるかの如くシナリオをつくり、司法を欺こうとしているのである。

なお、土地利用の方針転換については原審における準備書面(7)で詳述しているので再読されたい。

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