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土地区画整理事業/専門家相談事例回想録‐vol.97

お客さまからご相談いただいた、ある土地区画整理事業の事件概要をご紹介します。掲載にあたっては、お客さまのご承諾をいただいております。

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〇〇〇年(〇〇)第〇〇〇号 上告提起事件

上告人  〇〇〇〇

被上告人 〇〇〇 

上告理由書

〇〇〇年〇月〇日 

最高裁判所 御中

〇〇〇都道府県○○区市町村〇〇〇丁目〇番〇号

上告人 〇〇〇〇

訴訟代理人弁護士〇〇〇〇

3 換地設計基準違反による違法性

前記のとおり、原判決は「本件仮換地は、いっそう不整形な土地となっていることが認められる」と事実認定している。原判決も認める当該形状の悪化は、換地設計基準8条の「整理後の画地の形状は長方形を標準とする」との規定に反すること明らかである。

ところが、原判決は、同条には「特別の考慮を必要とするものについては、この限りではない。」とあるから違法ではないとしているが、区画整理なのであるから従後の形状が良くなるのは地権者共通の権利である。原判決は、要約すればその例外である「特別の考慮を必要とするもの」に本件は該当するから違法ではないとしたが、「特別の考慮を必要とするもの」がどのようなものを指すのか、本件がそれに該当する理由も何ら具体的に示していない。

控訴人らは〇〇〇が提出したせめてもの願い(資料8)を最低許容限度として主張してきた。この位置・形状・規模は、ほぼ従前地内に収まっており、〇〇〇の違法評価、換地設計基準(割付基準)違反がなければ十分認められるべきレベルにあった。

にもかかわらず、それが現在の歪な形状・規模となったことにつき違法を主張してきたのである。また原判決は「画地の状況等が照応していれば、照応原則に違反しない」とまったく非論理的な理由を掲げている。照応の適否を議論する中で、「照応していれば」と結論を仮定の中に置くのは論理矛盾を犯したものである。

また、同基準10条「整理後の側界線は、原則として街路境界線に直角に定めるものとする。」との規定にも違反しているとの主張に対しては、判断すら示していない。南西側に突出した部分は同条に反していることは明らかで、このような形状にされるべき合理的理由は何ら示されていない。標準や原則と異なる措置を採る場合には合理的理由を要するのが経験則である。

なお、〇〇〇が当該歪化に固執した事情は別添資料(資料6・資料7)に示したとおり、隣接神社境内地内の北東側部分に保留地を確保する必要が急遽生じたからに過ぎない。地権者より保留地を優先することが法の精神に反することはいうまでもない。この点につき、原判決は何ら触れずじまいである。

なお、形状は〇〇〇の要望である可能性を示しているが何ら証拠もないのに一方的に〇〇〇に有利となる判断を掲げており、公平性を著しく欠く裁判である。

これらの点につき、原判決には財産権侵害(憲法29条3項違反)、ひいては憲法解釈の誤り(民事訴訟法第312条第1項)があり、理由の不備(民事訴訟法第312条第2項第6号)がある。

4 照応原則違反

控訴人らの主張を要約した部分について、このような短絡的な説明で違法を訴えているのではない。原判決が掲げた最高裁判例のとおり、各要素に係る総合的な考慮につき詳述した(資料6)うえで「社会通念上不照応」だと主張したのである。

照応の適否は、その性質上多分に判定者の主観に依存する部分があるのは避けられないところ、施行者はその判定基準に最低限の透明性、客観性を付与するために公約として土地評価基準及び換地設計基準を定め、前者による評価額を基礎として、後者により換地設計を行うことで位置・地積・価格の面から最低限の照応を期するのである。

したがって、本件処分は、各基準に違反してなされたものであるから法89条1項の各要素を論じる前提において不照応を免れない。原判決はあたかも基準違反があっても照応する場合があるかの如き論理の展開を図っており、各基準と法との関係を見誤ったものと思料される。

原判決は、土地評価基準に反するとした控訴人らの主張を一部認めたものの理由も付さずに違法判断を意図的に曖昧にし、基準の事後改正を理由も付さずに合理的だとして、結果的に控訴人らの主張をすべて排斥している。

さらに、利用状況の無視・環境悪化と題し、控訴人らの主張を曲解のうえ、短絡的に要約し、控訴人らの主張を排斥しており、杜撰極まりない。

そして最終的には、横の照応原則違反はなく、結論として本件処分は違法ではないから、国家賠償請求は理由なしとしているが、原判決が個々の論点につき不公平かつ理不尽にも繰り返し違法判断を回避してきたことはこれまで述べてきたとおりで、縦の照応や照応各要素に係る控訴人らの詳細な主張(資料6)に対しては何ら具体的な判断を示さずに、違法はないと結論づけているのであるから、非論理的かつ理由不備、理由齟齬の程度が著しく(民事訴訟法第312条第2項第6号)、失当である。

二 争点二「不作為の違法性」については、本件処分に違法性はないとの前提置いて控訴人らの主張を排斥しており失当である。 

三 争点3「債務不履行に基づく損害賠償請求権の存否」については、本件処分に違法性はないとの前提を置いて、〇〇〇が控訴人らに不利益や損害を及ぼすことがないよう配慮すべき信義則上の義務を負っていたとしても、〇〇〇に同義務の違反はないとしており失当である。

土地区画整理事業の施行者に求められる一般的な義務については、「施行者としては、事業の施行にあたり、一般に、関係人に不当な不利益や損害を及ぼすことのないよう配慮すべき義務を負うことはいうまでもない」(最高裁判所昭和42年(オ)第668号同46年11月30日第三小法廷判決、最高裁判所民事判例集25巻8号1389頁、裁判所時報585号1頁、判例時報653号84頁、判例タイムズ271号177頁、最高裁判所裁判集民事104号493頁)と説示された判例があり、本訴えに係る損害、損失の大きさに鑑み、社会通念上、〇〇〇には〇〇に対する配慮が欠けていたと考えるのが相当である。

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